ありがとう! みんなにお祝いしてもらえるなんて、うれしい!
うわあ、ありがとう! 開けていい? えっ、こっそり?
何よ〜、見られて困るものなの?
....やあだあ〜! こんなの着られないよ〜。
勝負下着? それにしてはハデハデじゃない?
いずれ彼氏ができたら....うん、そうね。
えっ?
えーとね、実は...
ごめーん! 隠すつもりだったわけじゃなくて。
...そう。いるんだ。
9歳、あっ、今日で私が19だから、8歳上の27歳....おじさんとかいうなー!
えっと...高校の時の、先生だったんだ。
犯罪とかいわないで〜! んー...あっちから、かな?
だから、犯罪とかいうな!
なにこれ? 今日は私をいじる会ですか? 祝う会じゃないんですか?
もー、最悪。
写真? ダメ、見せたくない。
違う! ブサイクじゃないよ! ほら!
...でしょ〜?
名前は、ゾロ。ロロノア・ゾロ。
たとえば、そんな彼の話
ぞの 様
私ね、母子家庭だったんだけど、高校3年のときに母が亡くなって、
親戚の家に引き取られたんだ。
姉は遠くの大学に行ってて。だから、学校も変わったのね。
その学校にいた体育教師が、あいつだったんだ。
もーすごいの。
イマドキ竹刀持って学校の中歩いてる先生なんていると思う? しかも3本。
初めてみた瞬間、大爆笑。
それで早速目ェつけられて。廊下で会う度に口ゲンカよ。
やれスカートが短いの、やれシャツのボタンは2つ開けるなだの。うるさいのなんのって。
え? そんなわけないよー。
あ、まあでも、あいつって無愛想でダサいくせに、女子からは人気があって。
でも、あいつが自分から話しかけるのは私だけだって、誰かがいってたかも。
私にしたら、何こいつ、ウザッ! って感じだったけど、きゃはは!
で、転校したのが夏休みのちょっと前だったんだけど、親戚の家は居心地悪いし、
お母さん亡くなったショックでちょっと荒れてたっていうか。
不良じゃないよ。
ってゆうか、不良ってもう死語じゃん!
だから、夜遊び的な? って言っても田舎だからゲーセンとか、カラオケとかね。
学校の中でも遊んでる感じの子たちとつるんで。
...そうそうそうなの。
見回り? みたいなので当番だったみたいで。
カラオケ屋の店員にすごんで、部屋まで押し入ってきたの。
教師じゃなくてヤクザよ、あれは。
で、他の子たちは帰ったんだけど、私だけ帰りたくないって暴れて。
...んなわけないじゃん! そんな簡単に好きにならないよ。
それであいつ、
理由は聞かないけど、夜遊びされても困るから帰れって。
それで私もぶちキレて、それでも教師かっ! って。
コンビニの前座り込んで動かなかったの。
なによそれ、私そんなに男を翻弄してるイメージ? ひどいなあ。
そしたら、あいつがコンビニに売ってる花火買い占めて。
花火がなくなるまでだったら相手してやる、って。
終わったら、帰れよ、って。
...でしょ? ずるいよね。
あー全然、全然。
そうなると、私ってやっぱり手のかかる生徒くらいにしか思われてないんだなーって実感して。
でもくやしいから、しょっちゅうわがまま言っては、構ってもらってたんだ。
ん? 成績はそんなに悪くなかったからね。
親戚の人は問題さえ起こさなければいいって感じで。放任、放任。
でも、さすがにあいつに全然相手にされないってわかると、なんかもういいやって思っちゃって。
真面目に受験勉強始めたんだ。奨学金もとりたかったし、そこそこいい大学にも行きたかったから。
だから、秋の終わりくらいからほとんど話さなくなって。
あいつも、私が普通に真面目にしてると、何も言うことがないみたいで。
年が明けて受験が始まると、あんまり学校にも行かなくてよかったし。
ん? もちろん、受けたところは全部受かったわよ。
残すは本命ってとき。
なんか学校で勉強してたら遅くなっちゃって。
教室にひとりで残ってたの。
先に言わないでよー。
そう、そこにあいつがいきなり入ってきて。
いつまで残ってんだ、早く帰れ、って。
うん、やっぱり久々に話したから、ちょっとよそよそしくて。
でも、長く話したかったから、明日本命受けるんだ、って言って。
そしたら何て言ったと思う?
がんばれよとか言わないよ、あいつは。
だったらなおさらさっさと帰れ、だって。
ムカつくでしょ〜。
もし帰りたくないって言ったら、また花火買ってきてくれるの?
ムキになって言い返したら、急に黙り込んで。
ちーがーうー! 告白とかって雰囲気じゃないから。
そしたらあいつ、
本命受かったら、打ち上げ花火の一発でもあげてやる、だって。
ねー。こうなったら絶対受かってやる、って思うでしょ。
そうそう。結果は見てのとおり。
そう、花火。
合格発表の次の日が卒業式でね。
先生、私ちゃんと本命受かったわよ。花火上げてよね、って。
うん、そしたら。
...夜に学校に来い、って。
ちょっと! ヒューヒューうるさい!
そりゃ私だって、すごーく期待しちゃったわよ。
で、夜に学校に行ったわけ。
...ないない。代わりに普通の花火いっぱい買ってきて。
あんな高けェもん買えるわけねェだろ、だって。
でしょー。そこから口ゲンカよ。
お前はああだった、こうだった。
先生こそあのときは、どうのって。
で、花火しながら、なんか懐かしいなーとか思って。
そしたら、急に真面目な顔して、大学受かってよかったな、って言うから。
ね〜! ドラマでそんな感じのシーンあるよね。
ここでテーマ曲だよね。
でも、私はなんか、あーもうこれって思い出語り合って、花火して、ほめてもらって...ドラマでよくあるサヨナラのパターンだなあって思っちゃって。
そしたらなんか涙ぼろぼろ流れて。
先生ともう会えなくなるよ。先生は面倒なのが片付いてほっとしてるだろうけど。先生は、先生は...ってわけわかんなくなって。
...ちょっと、何その期待した顔。
っていうか、ニヤニヤしすぎよ! もうこの話、終わり。
そしたら?
...んー
わかった! わかったわよ! 話すから。
...先生、先生って泣いてたら、なんか急にぎゅってされて...
「オレがお前に会いに行く。だからもう先生って呼ぶな」
って...
ぎゃー! 恥ずかしい。
ちょっと何これ? 今日って私の誕生日よね?
なんでこんなに汗かいてんの、私?
身の上話大サービス状態じゃない!
はい、以上! おしまい!
ん? まあね。
基本、電話とメールかなー。
ケンカばっかりだけどね。
今日?
うん...来るよ。
いやいやいや、でもね!
あいつってば、ものすごい方向音痴なの!
だから本当に来るかどうかなんてわかんないわよ。
えっ? バイト?
何よ取ってつけたように。
ちょっとみんなも急にどうしたの?
もうちょっといいじゃない。
おなかいっぱい? 何よそれ!
うん、でも今日は本当にありがとう。
みんなにお祝いしてもらえて、うれしかった。
ありがとう! うん、またね。
えっ?
着けないわよっ! こんなハデハデなの。
ほ、報告なんてしないからねっ!
もしもし、ゾロ? いまどのへん?
...それって反対方向じゃない?
もー、しっかりしてよねー。
ナビついてるのになんで道間違えるかなあ。
ちゃんと今日中に着いてよね。
花火いっぱい買って待ってるから。
−end−
<管理人のつぶやき>
19歳の誕生日をたくさんの友達から祝われるナミさんv
贈られた勝負下着から彼氏の話に・・・。ナミの彼氏はロロノア・ゾロ、高校時代の先生でした。ということは、先生と生徒の禁断の恋!?友達が喰いつくのも分かります(笑)。
二人の絆を深めた花火が、最後にもう一度出てきたことにじ〜ん;となりました。
【ZEALOTS' ZENITHAL ZONE】のぞの様が投稿してくださいました。
ぞの様、楽しい作品をどうもありがとうございましたーーー!