1st lovers
もも 様
「ねぇ、あんたセックスしたことあんの?」
その日はナミの誕生日だという7月3日。
女好きのコックがナミのためにと作った料理は悔しくも絶品で、こんなにも楽しい晩餐は経験したことがなかった。
酒を飲むようになったのはいつだったかなんてこと忘れてしまったが、こんなにも自分のペースについてくる女なんてのにも出会ったこともない
「…ついに酔いがまわってきたか。もうガキは寝ろ」
「答えになってない!エッチしたことあんのかって聞いてんのよ!」
グイと胸倉を掴み、今にも触れてしまいそうなほどの距離でゾロを睨みつけると「あんの?ないの?」と詰め寄った。
「…関係ねェだろ」
「童貞なんだぁー!その顔で!?だっさー!」
「んなわけあるか!そういうお前は…」
「処女よ」
予想外の答えにポカンと口を開け目をパチパチさせることしかできなかった。
「…嘘だな。お前みてェな女が処女なわけねェ。ほらさっさと風呂入って寝ちまえ」
フン、と鼻で笑いながらプラプラ手を振った。
こういう「女」との面倒な会話は嫌いなのだ。ベラベラと一方的に好きなことを放つお喋りな女も苦手だし、男女の色恋なんつーモンには特に興味がない。
今まで抱いた女だって、誰一人名前も覚えていないし、教えられても呼んだ記憶なんてない。
女を抱くことに性欲処理以外の感情なんか持ち合わせたこともないのだ。
「あたしの処女、壊してくれない?」
「は…」
それは突然のことだった。
目の前には長い睫毛。フワリと纏う柑橘系の香水と先ほどまで飲んでいた強い酒の香り。
熱をもった柔らかな感触がさっきまでの酒盛りを物語っていた。強い香水は嫌いなゾロだが、不思議と嫌な気分にはならなかった。
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