あの時。
初めて意識した。
「女一人に何人がかりだ」
雷猫 様
暑い炎天下の中、まずは麦藁帽子の少年に出会った。
あどけない表情をしていた。
「私の目標はね、何がなんでも一億ベリー稼ぐ事!!そしてある村を買うの!!!」
話して疲れる奴。ただのバカ野郎にしか見えないもの。
「お前”航海士”として俺達の仲間になってくれよ!!海賊の仲間に!!!」
それから、バギーにこびを売って、上手いことお宝と海図を手に入れて・・・。
全ての事は上手くいくはずだった。
「やれ。」
ゾッとした。ここで殺らなければ私が殺される。
体が勝手に動いた。
ガンッ
音がした思うとさっきまで話してた奴が私の前に倒れていた。
「何だお前、今更俺を助けてくれたのか?」
「勢いでやっちゃったのよ!!・・・たとえマネ事でも、私は非道な海賊と同類にはなりたくなかったから!」
何を言ってるんだろう。
「私の大切な人の命を奪った・・・!大嫌いな海賊と同類には・・・・!!!!!」
「ハデに殺せぇ!!」
見ると導火線には火がついてた。踏んでも消えない。
奴等がかかってくる・・!!
私のせいであいつが死ぬ。そう思うと体が熱くなった。
たとえそれが、海賊と同類になりたくないという理由でも。それでも助けないと、と思った。
手で消すしかない。頭よりも体がさきに動いてた。
「後ろっ!!」
「女一人に何人がかりだ。」
「ゾロォ!!!!」
「ケガは。」
「・・・!ええ・・平気。」
ロロノア・ゾロ―――
別名・海賊狩りのゾロ
そんな奴がなんでここに・・・・・!?
戦いの後――――――――
一人で酒を飲んでいるあいつがいた。
麦藁はぐっすり寝ているようだ。
「・・・・・・ねぇ。」
後ろからいきなり声をかけたからだろうか、少し驚いた顔でこちらを見る。
短い緑色の髪、左耳の三連のピアス。
どれも珍しい奴だ。
「なんだ、アンタか。」
「アンタ、なんて。他人行儀な言い方ね。」
「他人じゃねぇか。」
フッ、と笑って酒瓶を置いた。
腹にまいている血のにじんだ包帯が痛々しい。
「・・・・ケガは?」
「あ?・・たいしたことねぇよ。」
「それがたいしたことないわけないでしょ!無茶ばっかしてるからよ。さすが野獣ね。」
「余計なお世話だ。」
組んでいた腕をほどいて隣に座った。
ゾロは少し向こうによっていった。
「あのさ。」
「・・・・・・ん?」
「ありがとう。」
ゾロはこっちを向こうとしたが、途中で止めたようだ。
そのままの状態で目を閉じていた。
「どういたしまして。」
そうしてまた酒瓶を手に持った。
「ねぇ、ゾロ。」
「なんだよ。」
「私、アンタ達についていってもいいわけ?」
「どういうことだ?」
「仲間ってわけじゃないわよ。そうじゃなくて・・・、手を組んであげてもいいわってあいつに言ったから・・。」
「アンタの好きにすればいい。だけどな。」
ゾロはこっちを向いて口の端を上げて見せた。
「アイツは恋愛とか興味ねぇぞ。」
「・・・っは?何いってんの!好きとかなわけじゃないわよ!今日会ったばっかりなのに・・・!!!」
「いや、アンタは恋してるな。見てたら分かるんだよ。」
「ニブそうなのに?」
「・・てめぇ・・・・・。」
ハハハと、久しぶりに笑った気がした。
「”海賊狩りのゾロ”って、もっとおじさんかと思ってたのに。1歳年上なだけなんてねっ。」
「実力だ。」
「アンタさっき私に恋してるとか言ったわよね?」
「・・・・・・・・・ん・・・。」
「言っとくけど私が好きなのはルフィじゃなくてっ・・・。」
「・・・・・・・ぁぁ・・・。」
「私が好きなのは・・・・・・!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・?ゾロ・・・・・?」
返事がなくなったのでアイツの顔をのぞいてみた。
「・・・・・・・寝てるし・・。」
まだまだ先は遠そうである。
END
(2004.08.06)Copyright(C)雷猫,All rights reserved.
<管理人のつぶやき>
ゾロナミストなら瞠目の二人の初邂逅シーンですv
戦いの後の二人の会話。いち早くナミを名前で呼んだゾロが、まだ「アンタ」と呼んでるのが妙に新鮮だ。しかもナミが肝心なことを言おうとしたとこで寝てるし!
こんな男に惚れちゃ先が思いやられるねぇ(苦笑)。
余談ですが、導火線を手でもみ消すナミを見て、私はナミを好きになったのです(告白)。
雷猫さんの11作目になります。す、すごいな!どうもありがとうございましたーv