雪がふわふわと舞い降りる、冬の日のお話・・・
死ぬほど好きと言うこと。
*みかん* 様
ナミはサンジが運んできた、ちょうど良いあたたかさのコーヒーを口にしながら、リビングで一人、今まで書いた航海記を読んでいた。
「う〜さむさむ・・・今日は船の中まで冷えるわね・・・」
ナミが椅子に体育座りをしながら、そんな独り言を言っていると、ドアが静かに開いた。
姿を見せたのは、ロビン。
「あらロビン。どうしたの?みんなで何かして遊んでたんじゃないの?」
「ええ、ありきたりのトランプをして遊んでいたわ。楽しいわね、トランプ」
「でもうるさいでしょ、ルフィ達」
「ふふっそうね。剣士さんしか、冷静じゃなかったわね」
「ゾロは冷静なんじゃなくて、面倒くさがっているだけよ」
「あら、つまらない人ね」
ロビンはそう言いながら、ナミの隣に座った。
ナミは残りのコーヒーを飲み干すと、ポットから新しいコーヒーを注ぎ、それをロビンに渡した。
「ありがとう。コックさんが入れてくれたの?」
「そ。頼まなくてもやってくれるからね、あの人は」
ナミはあきれ顔でそう言い、ロビンはそうね、と優しく微笑んだ。
「・・・あのね、ロビン・・・」
「なに?航海士さん」
ナミは少し照れたような表情をしながら、ロビンに言った。
「私ね、もしかしたらゾロのこと・・・好き・・・なのかも」
「剣士さんのこと?」
「あれ・・・あんまり驚いていないわね」
「ええ。だって少し気づいていたんだもの」
「え・・・!」
「顔に書いてあるわよw」
「・・・・!」
ナミは顔を真っ赤に染め、そばにあった毛布で、咄嗟に顔を隠した。
「あらあら、照れちゃってw で、何が言いたかったの?」
「・・・どーすればいーんだろーかなって・・・・」
「言っちゃえばいいじゃない。好きよって」
「・・・ロビンだったらどうする?」
ナミは毛布から顔を出し、ロビンの顔をのぞき込むように聞いた。
「そうね・・・私だったら、言ってしまうと思うわ」
「えっ!?」
「でも、同じ仲間同士、恋愛感情はキツイかもしれないわね」
「・・・」
「でも、諦める方が、もっと辛いんじゃなくて?」
「!」
ロビンは今にも泣きそうなナミの肩を優しく抱いた。
「諦めたくない・・・っ」
「はいはい よしよし。泣かないの、航海士さんらしくないじゃない」
「ロビンは・・・どっちを選ぶの・・・?」
「私?私は・・・」
ロビンは、瞳を閉じて静かに言った。
「どちらも選ばない」
ナミはその言葉に、顔を伏せたまま驚いた。
「私は・・・どちらも選ばず、もう一つの方法を考える」
「・・・・ロビン・・・」
「・・・剣士さんのこと、死ぬほど好き?」
「・・・!」
ナミは体を小さく丸め、呟いた。
「それは・・・聞かれてみると・・・分からない」
「・・・そうね。難しいかもしれないわね。でも・・・」
ロビンはナミの肩をゆっくりさすりながら言った。
「諦めることを考えたら、心臓が止まるほどつらく無かった?」
「・・・・うん」
「・・・つまり、死ぬほど好きってコト何じゃなくて?」
「!」
ナミは少し顔を上げ、ロビンを見た。
「・・・大人だね」
「ふふ。あなたよりも10年早く生まれたからかしらね」
「・・・そうだね」
ナミは微笑み、目のすみにたまった涙を、指先ではらった。
ロビンはそれを見ると、スッと椅子を立った。
「それから先は、自分で考えなさい。私が入るコトじゃないわ」
「・・・・ありがとうね。ロビン」
「仲間が泣いていたら、助けるのが常識でしょう?」
「・・・そうね」
ナミは笑って、ロビンにお礼を言った。
ロビンも笑い返し、リビングを出て行った。
次の日から、ナミが異常に可愛くなった理由は、本人とロビンだけが知っていた。
−end−
(2006.04.12)Copyright(C)*みかん*,All rights reserved.
<管理人のつぶやき>
気の置けない女同士の会話、いいですネ!
ナミはホントにゾロのことが好きなんだねぇ(しみじみ)。会話を通して、更にその想いを自覚したみたい。急に可愛くなったナミを見て、ゾロは何か感じ取ってくれるかな?
ところで、ロビンの言う「もう一つの方法」が気になりますよ。
*みかん*さんの5作目の投稿作品でありました。うーん、すごい!!