気になるアイツ
ねここ 様
「おい、マリモ。お前も恋の一つはした方が良いぞ」
いきなりこのぐる眉はなにをいってんだか。
「気になるひと一人ぐらいいんだろ?」
よけいなお世話だ。だが、気になってるのはいるにはいる。
たまに学校で見かける、オレンジの髪の女だ。
名前も学年も知らない。けど、見つけたら知らず知らずに目があいつを追いかけていた。
「俺が一番気になってるのはナミさんなんだよなぁ〜。ああ、あのスタイル、最☆高だぁ〜〜vvもうあの人はすべてが良い!!性格は・・・まぁ置いとこう」
なんなんだよコイツは。しかもナミってやつは性格はだめなのか?
「もう話は終わりか?なら帰る。じゃあな」
ちょっと待てと止めるサンジの声を無視して家に帰った。
翌日は雨だった。
普段なら雨の日でも自転車で学校に行くところだが、生憎昨日帰る途中に何故かチェーンが切れた。
今は忙しいらしくて、修理が終わるのが明後日らしい。
だから今日はバスで登校だ。俺は人混みが嫌いだからバスも嫌だ。だが背に腹は代えられん。
なんせ歩いていったら30分近くかかる。
〈いや、普通は10分程度のところだから〉
・・・なんか今声が聞こえた気が・・・
兎に角。もうバス停まで来ているのだから乗ろう。遅刻するのもなんだしな。
バスに乗り込んだら案の定、人が沢山いた。
今は登校時間でもあるから学生服の奴も沢山居る。
そこでひときわ目立つオレンジの髪の女が目に入った。
(まさか・・・『アイツ』か?)
がんばって少し近づいて顔を見たらやっぱりアイツだった。
(何でアイツがここにいるんだよ?)
〈ゾロは知らないけど、彼女はバス通学〉
良く見たら彼女の辺りが空いている。
身をよじらせ彼女の側まで来た。
ゾロは初めて彼女をこんなにも間近で見た。
いつも遠くで見ているだけだった。と言うよりも、彼女は必ずと言っていいほどゾロの居る方には来なかった。
まるで避けているかのように。
その時、バスが急なカーブで揺れた。
その弾みでゾロは彼女を後ろから抱き寄せる感じになってしまった。
「あの・・・だ、大丈夫か?」
「あ、あの、す、すみません!」
その時見た彼女の顔が赤かったのは俺の気のせいだろうか?
彼女に触れたこの手が妙に熱いのは・・・なぜだ?
今胸を渦巻いているこの感情は何なんだ?
なんでこんなにも胸が高鳴っているんだ?どうしたんだよ俺。
早く学校に着いてくれ――・・・今はただそれを願うのみだった。
「おいマリモ!恋は見つかったか?」
「ってお前!昨日の今日で見つかるかっての!!」
「はぁ〜。だめだなぁお前は。そんなことより!てめぇなに俺の愛しのナミさんに近づいてんだよ!」
「いつの話だよ。その『ナミ』はお前の彼女じゃないんだろ?」
「これからなる予定だ!だから今朝だよ!け・さ!!バスん中で!!!」
「・・・あのオレンジの髪の女か?」
「なんだ。わかってんじゃねぇか。そうだよ。その人がナミさんだ」
ふぅん。良いことを知った。アイツの名前はナミって言うのか。
それよりもサンジの奴、同じバスに乗ってたなら声をかければいいものを・・・。
そういえば朝のあの感情はなんだったんだ?
以前似たような感情が湧いたことはがあった。この気持ちは、なんといった――?
「・・・・・ゾロ〜、お前なんか『恋』してるみたいだな〜」
「「ルフィ!!」」」
突然現れたルフィはニシシッと笑いながら続けた。
「なんかさ、明後日の方向見てなんか考え事してるっぽいのがさ、以前のマキノにそっくりなんだ」
ルフィの言ってることはこの気持ちを言葉にしたら、一番近いと思う。けど、この気持ちはアイツを・・・ナミの事をどう思っているか、ということを言っているんだと思う。俺はアイツを『気になっている』と思っていたが訂正しなければならない。この感情は確か――『好き』
「てことは・・・おいゾロ!てめぇ好きな人いるんじゃねぇか。どいつだ。さぁ言え!」
「そうだ!言え!!」
「いっっ、言えるか!このボケ!もうこの話は終わりだ、ハイ終了!」
ブーイングが聞こえるが、無視しよう。
俺のクラスの次の授業は移動教室だ。運が良ければナミを一目でもみれる。
さて、ナミの奴にあえるかな?これは運に任せていこう。
さぁ、これからどうやってナミと知り合っていこうかな――?
FIN
(2006.07.27)Copyright(C)ねここ,All rights reserved.
<管理人のつぶやき>
友人達の助けもあって(汗)、「気になる」が恋心であると気づくゾロ。
ロロノア・ゾロの初恋ですv(こう書くと照れるのはナゼ・笑)。
自覚してしまえば前向きなヤツですな。もうナミとどう知り合うかの算段とわ^^。実に頼もしいですね。
ねここさんの10作目の投稿作品でした。どうもありがとうございましたーー!
この続きを書いておられるとか・・・・楽しみにしてマス!