ゾロとナミは幼なじみだ。家が隣同士で、親同士がとても仲が良い。
だからゾロとナミも仲が良い。仕舞いには同じ高校に通ってて小学校の時からずっと同じクラス――腐れ縁といってもいい。
この話はそんな二人のいつもの帰り道――






いつもの帰り道
            

ねここ 様

ゾロとナミはいつも二人で帰っている。そんな二人を周りは「付き合っている」と思っている。
だが実際二人は付き合っていない。ただ「家が隣同士だから」一緒に帰っているだけの間柄だった。
けれどナミはそんな関係でも満足している。

ナミは昔から自分を守ってくれる幼なじみのゾロにいつの間にか恋心を抱いていた。


きっとゾロは自分が好きだろう(本人は気づいてないだろうが)。自分のことをいつも気にかけてくれているのでよくわかる。
それに、他の人との態度が違う。ゾロはナミに優しい。
けれどナミはちゃんと『私のことをどう思っているのか』――それを聞きたかった。
けど、それが聞けなかった。

けれど、やっと聞く決心が付いたのだ。今日こそは!とナミは意気込んだ。

まずは今のところ一番気になっていることを聞いてみた。それは――

「ねぇ。ゾロって彼女居るの?」

いきなり聞いて不自然だっただろうか?
(・・・よく考えてみたらいつも私と一緒に帰ってるんだから、彼女なんて居ないわよね)
そう思いながらもゾロの方を見てみる。
彼は眉間にしわを寄せて、怒っているかのように見えるが――?


いきなり『彼女はいるのか』と質問されたゾロはというと、
(なんだよ。俺に彼女作ってほしいのか?ああ、そうか。おれがいちゃ、お前は彼氏が作れないもんな。そうか。俺は邪魔者って訳か)
誰もそんな事言ってないのに、勝手な解釈をしている。


・・・反応が全くない。

ナミは拍車をかけてみた。

「そういえば私、告白されたのよね〜」

ゾロが意外に嫉妬深いのをナミは知っている。
その嫉妬深さを利用してもゾロがゾロの中のナミへの気持ちに気づいてくれる可能性はとても少ない。けれどそのほんの数%にナミは賭けたかった。

それを聞いたゾロはというと――?
一瞬、鼓動が早くなったように思えた。
(なんだよ、そんな奴と付き合うのか・・・?そんな奴と付き合うのなら――)

次の瞬間ゾロはナミの腕を掴んで言った。

「そんな奴ふっちまえ。それで俺にしろ――ナミ・・・」

ゾロは自分がナミになにを言ったのかわからなかった。

「ゾロ・・・?」

「俺はお前が好きだ。ナミ。」
そう言って、抱きしめた。知らないうちに口から出てきたこの言葉。口にして初めて、自分のナミへの気持ちをゾロは気がついた。

「ナミ、お前はどうなんだ。答えてくれ」

ナミはまさか自分の賭が成功するとは思ってなかった。
だが実際賭には勝った。自分が言うのはただ一つ、自分の気持ちだけ。

「・・・私だってあんたのこと好きよ。大好き」

その言葉が嬉しかったのか、ゾロはナミを優しく抱きしめる。
それにナミも応える。


あたりには誰もいなく、もう暗かった。この二人の話を聞いていたのは月と星々だけ。
二人はクスクス笑いながら家路への歩をゆっくりと進めていった。




FIN


(2006.06.09)

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<管理人のつぶやき>
幼馴染で高校生なゾロとナミが、相思相愛になる瞬間ですね^^。
ナミにはゾロのキモチが透けて見えてるのに、ゾロは無自覚というのが「らしい」なぁ(笑)。

ねここさんの3作目の投稿作品で、初パラレル作品でした。どうもありがとうございました!
次作も待ってますヨ。

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