伝えよう
ねここ 様
(‘気持ちを伝える’ねぇ・・・)
伝えると言っても、どうすれば良いんだ?
そしてゾロは大きなため息を一つ吐いた。
「なぁ、ゾロ」
ルフィが船首から話しかけてきた。
「なんだ?」
「おまえさぁ、ちゃんとナミに『好き』って言ってるのか?」
「・・・何でお前がそんなこと聞いてくるんだよ。」
それ以前に俺とナミがその・・・付き合ってるって言うのは誰にも言ってないはずだぞ?なのに――
「何で知ってるんだよ?」
無意識にこの言葉が出てきた。
「え?だってよ、お前がナミに向ける眼差しが違うんだよ。ナミがお前を見つめてる瞳も妙に熱っぽいし・・・。だからよ、お前ら好きあってるんじゃないかって思ったんだよ。それにお前らよく一緒にいるしな!」
どうもルフィはほとんど勘で言ったようだ。もう一つはたまに、ホントにたまに見せる鋭い洞察力みたいだ。
「それにお前ら!たまに夜二人で酒飲んでるし、キスもしてたもんな〜♪」
「だからっ!何でお前がそれを知ってるんだよ!!」
「ん?俺だけじゃねぇぞ船員のみんな知ってるぞ?」
「だからなんで・・・」
(知ってんだよ・・・)
そう言えばたまに視線を感じるときがあったな――覗き見してんのか?あいつら?
とか思いながらも、つっこみはしない。
「と、言うわけだから、ナミを悲しませんなよ?それと、ちゃんと『好き』っていってやれよ。ナミ絶対喜ぶから」
(喜ぶ――か。今日の見張りは確かロビンだったよな?・・・女部屋行ってみっか)
そして夜。
「・・・いるか?ナミ」
「うん。・・・入っても良いよ」
この部屋のドアは開けると少し音がする。
(・・・まさかあいつらこの音聞いて――とか。・・・ありえないな)
そう思いながらも部屋に入った。
その頃男部屋では――
「おい、ルフィ!お前が言った通りゾロ、女部屋はいったぞ!」
「おお!やっぱりか!今日言うと思ってたんだよな〜」
うんうん、とルフィはうなずく。
「やっぱよ、気持ちはちゃんと伝えた方が良いよな〜」
「そうだよな〜」
などと言う話を二人は知らぬうちに大きな声で話していた。
それが聞こえていたのか、翌日、二人はゾロに殺されかけられた――
「で、何の用?」
「あー、その、伝えることがあってよ。そのさ、俺たちの関係って言うかなんて言うか・・・みんなにばれてる」
「ふ〜ん、そう・・・って、えぇ〜〜〜!!なんでよ?もしかしてあんた、話したの!?」
「いや、俺じゃねぇ。・・・ルフィだ」
「・・・ルフィ、ね。そっか。ルフィか。なら仕方ない」
「あと・・・もう一つ伝えることがあるんだが・・・耳貸せ」
そしてゾロはナミの耳元で囁いた。
「・・・・!!」
ナミは聞いたとたん、顔が真っ赤になった。
「じゃ・・・じゃぁ俺もう行くわ!」
そう言ってゾロは足早に部屋を去っていった。そんなゾロの顔も、とても赤かった。
残されたナミはというと――
「信じらんない・・・まさか、言ってくれるなんて」
もう、ずっと言ってくれないのかと思ってた。けど、彼は言ってくれた。
『好きだ』と。『愛してる』と。彼の口から聞けた。それだけで、何故こんなにも嬉しいのだろう?
(私――今のでもっとゾロを好きになったかも?)
そんな自分の中の疑問を胸に、ナミは早く明日がくると良いと願った。
朝起きてまたキッチンに行けば、彼が居る。仲間がいる。これ以上の幸せなどあるものか。
ナミは幸せに満ちたまま眠りについた。また明日、彼や仲間達にあうために――
FIN
(2006.06.30)Copyright(C)ねここ,All rights reserved.
<管理人のつぶやき>
てなわけで、メデタシメデタシ♪気づいてる仲間たちの存在が微笑ましい^^。
ゾロと仲間たちに囲まれた幸せなナミさんを見れてシアワセ!(笑)
ねここさんの5作目の投稿作品で、「わかってる」の続編でもあります^^。