私達は何。この関係は何。
どうしたらこの関係から進めるの。
幼馴染から……。
幼馴染
ラプトル 様
高校からの帰り道。ロロノア・ゾロとナミは共に高校一年生。更に幼い時からの幼馴染でもある。
何をするにもいつも一緒だった。遊ぶ時も、ご飯を食べる時も、登校、下校も、常に一緒だった。
変わった事と言えばゾロは男らしくがっしりとした身体に。ナミは女らしく出るとこは出て、引っ込むとこは引っ込んでてと。
年月が移るにつれて随分と変わったものだ。
ただ変わってない事は。
幼馴染という関係。仮にも男と女。互いを意識してもおかしくはない。
ずっと保ってきたこの関係。いつ、どちらが前に踏み出すか。
「道草でも食ってくか」
「いいわね」
珍しいわと思いつつ返事をしてしまった自分がここにいる。
自分達の家の近くの河川敷。歩いて5分の空き地でいつも遊んでいたが
たまにはあまり行ったことが無いここに来るのも悪くない。
小さな道草。二人だけの道草。この時間がちょっと嬉しいと思ってるのは自分だけなのか。
「たまにはいいもんだな」
ここもと言うと同時にゾロは土手に生えている広大な芝生に寝転がった。
「そうね」
座りながらナミはそう言った。
空は夕暮れ。茜色に染まる西の空。この風景がゾロもナミも好きなのだ。
こうしていると言いたくなってしまう。今まで溜めていた自分の想いを。
この大馬鹿者で不器用なこの男に。
いつから恋心が生まれたのかは分からない。
ただ一緒にいることが当たり前で。一緒に遊ぶ事も当たり前で。
もしかしたらその中で生まれたのかもしれない。ゾロは分からない。少なくとも私はそう。
でもこの関係から一歩を踏み出すのが怖くて。ゾロの想いがわからなくて。
だからこの関係を維持してきた。
「どうした」
そうゾロは聞いてきた。
何がと答えた。
「何かあったか」
「どうして」
何故そんな事を聞いてくるのかわからなかった。
「お前が浮かねえ顔してるからよ」
それがあんたのせいだってどうしてわからないのよ。
「ねえ」
ゾロはなんだと返してきた。
「私達は幼馴染よね」
「そうだな」
さも当然とばかりに答えた。
もう限界。ナミは一歩を踏み出す。
「私達は幼馴染よね」
それで何が言いたいのか理解した。
「私ねあん」
「俺に惚れてるか」
言ってやった。こっちから踏み出してやった。
この関係から。一歩。
踏み出そうとしたのはナミ。踏み出したのはゾロ。
薄々は分かっていた。こいつが俺に惚れてると。しかし確信が無かった。
だからここに誘ったのかもしれない。こいつの言葉で確信が持てれば良かった。
そして確信が持てた。踏み出した。
「俺に惚れてるか」
自分の言葉にこいつの言葉が被さった。
狡いわ。そっちから踏み出すなんて。
「自惚れね」
悔しいからそう言ってやった。
「事実だろ」
むかつくわ。どうしてそんなに偉そうなのよ。
でもそうね事実よ。
「分かってたのね」
「薄々な」
そう。もう怒る気も失せたわ。
でもね
「乙女の気持ちを焦らしてた罪は重いわよ」
そうよ。許せないわ。乙女を弄ぶなんて。
「おい、ちょっと待て。そんなつもりはさらさらねえぞ俺は」
無罪だ。いや、そんな罪があってたまるか。
「うるっさい」
「ぐっっ」
何気に今のこいつは押しが強い。
「罰としてかばん持ち」
「なんで俺が」
「いやなのね」
ここは従った方がいいのか
「くそっ」
「わかればいいのよ」
先に言うんじゃなかったぜと悔やみながらもどこかで嬉しい自分がいる事がわかる。
「なっ!おい待ちやがれ!」
あの女!向こうで私のかばん忘れないでよね〜とかなんとか言っている。
「っきしょう!!」
「そこで待ってろてめえ!」
一発ぶん殴ってやる。
「早く来なさい馬鹿ゾロ!」
「んだとこらぁ!!!」
二人は幼馴染という微妙な関係から……。
踏み出して踏み出した。共に想いを紡いだ。
辿りつく先は二人しか知らない。
FIN
(2005.03.19)Copyright(C)ラプトル,All rights reserved.
<管理人のつぶやき>
ラプトルさんの投稿作品第2弾です。今回はパラレル設定でございます。
幼馴染なゾロナミv いいですな〜幼馴染同士の恋!
ナミが今言おうと、言おうとしてたのに〜、ゾロが先越しちゃった。でもそんなところが「らしい」のな。
さて、ラプトルさんの投稿はまだ続く。次行ってみましょう〜。