魔女と魔獣
ラプトル 様
月夜の晩。
「あんたに惚れてるの」
「お前に惚れられる覚えはない」
「生憎私にはあるの」
「俺にはない」
「どうしてあんたに惚れたのかしら」
「………」
「ねえ教えてよ」
「知るか」
「忘れなさいよ」
「何を」
「わかってるでしょう」
「………」
「いつまで想い続ける気なの」
「さあな」
「虚しいわね」
「知っている」
「哀れよね」
「何が言いたい」
「馬鹿馬鹿しいとは思わない?」
「………」
「想いは刀。それでいいじゃない」
「妬くお前がわからない」
「言ったでしょう。あんたに惚れてるって」
「それだけか」
「それだけよ」
「戯れか」
「違うわ」
「間に私も踏み込ませて頂戴」
「無理だ」
「どうして」
「出来ん」
「お願い」
「何度も言っている」
「そう…」
「お前はお前だ」
「………」
「お前とあいつは違う」
「わかってるわ」
「生きるか。死ぬか」
「ええ」
「俺は何処までも行く」
「それがあんた」
「俺はお前を斬るかもしれない」
「それでもいいわ」
「果てにあるものが死でもか」
「あんたが傍に居ればいいの」
「それでも俺と共に生きるのか」
「ええ」
「死んでもか」
「ええ」
「大した女だ」
「知ってるわ」
「忘れる事など出来はしない」
「もうどうでもいいわ、そんな事」
「そうか」
「想い出も大切だけど私が居ることを忘れないで」
「ああ」
「結局勝てないのね。それだけには」
「お前でもな」
「でも隣を歩くのは私」
「覚悟アリか」
「当然」
「上等」
「月に魅せられたわ」
「なら俺は魔獣か」
「私は魔女」
「魔女が魔獣に堕ちたか」
「お互い様」
「フッ…そうだな」
「「さあ共に何処までも堕ちようか」」
FIN
(2005.07.09)Copyright(C)ラプトル,All rights reserved.
<管理人のつぶやき>
ゾロがくいなを引きずってると知りつつ恐れず踏み込んでいくナミ。
ゾロも最後には憎からずその気持ちを受け止めて・・・。
セリフだけでちゃんと伝わってきたですよ。セリフの一言一言が研ぎ澄まされています。
ラプトルさんの9作目の投稿作品でした。
久々のご投稿ありがとうございました!!(逢人も待ってるデシ)