私は今日、高校生になる。
鏡の前で制服のリボンを結びなおす。
オレンジ色の髪は目立って仕方が無いが、生まれつきなのでどうしようもない。
「よし!!」
気合を入れて玄関を開けた、その瞬間。
「おーす。・・・ナミか」
「朝、一番に会ったのがゾロ・・・」
「悪ぃか」
翡翠色の派手な髪。
朝一番で溜め息をつきたくなった。
High school・days
離羅 様
ゾロの耳には相変わらず金の三連ピアスが、納まっている。
金のピアスは、朝日を弾いた。
肩には通学鞄と、竹刀が入っているであろう大きな袋。
「・・・・また剣道部に入るの?」
「悪ぃか」
ゾロ。
私の幼馴染でアパートの隣人。
家は、剣道道場を営んでいる。
そのせいか、ゾロは小学校、中学校と剣道部に入ってきた。
その実力はなかなかのもので、中学のときは県大会優勝を収めたが、その後の交通事故によって腕の骨を骨折。
そのせいで、全国大会には出れなかったのだ。
「・・・早起き、苦手なくせに」
「う、うるせぇ」
早起きが大の苦手なゾロ。
今日はたまたま早く起きただけだろう。
と、言うより「万年寝太郎」なのだ。
中学のとき、授業中に寝ては教師に叩き起こされそのたびに
「お、朝か?」
などと、ふざけたことを言っていた。
授業中、あれだけ寝ていたのに高校に受かったことは「奇跡」であろう。
「・・・・しかも、私と同じ「一番高いレベルの高校」ってのがさらにムカつくのよね〜・・・」
「・・・・それは俺に対して言ってんのか?」
信号が赤だったので、立ち止まり思っていた事をつい、口に出してしまった。
「ええ。他に誰の事かしら?」
「うるせぇ」
「本当。全く・・・・なんでこんな「剣道馬鹿マリモ万年寝太郎迷子」なんかと同じ学校なの?」
「てめぇ、「マリモ万年寝太郎迷子」は余計だっ!」
「・・・・一つでも、嘘を言ったかしら。私?」
「俺は迷子なんかじゃねぇっ!」
そう言いながらも目指す駅とは正反対に進んでいる。
私は最近になって気づいたことがある。
そう。長年一緒に行動してきたゾロに対する「恋心」。
いや、今更遅いとも思うのだが。
こんな風に一緒に登校するのも「楽しいなー」と最近は思えてきたりもする。
「ゾロ〜・・・・駅はこっち」
「・・・・・・。」
迷子はいつまでたっても治りそうに無い。
こんなんで、「学校まで一人でたどり着けるのか」と。
「私無しでは通学もできないのでは?」など。
通学するだけでこんなにも、心配することがある。
通学するだけでこんなに楽しい。
学校生活はもっと楽しいものになるだろう。
<FIN>
(2008.12.30)
<管理人のつぶやき>
初々しいvvv 高校生になりたてのふたりです^^。幼馴染ですよ、でもナミは「恋心」を自覚するようになって・・・。ゾロはどう思ってるのかなー?これからどうなるのか気になって仕方ないですね!
離羅さんの初投稿作品でした!どうもありがとうござました。続き待ってますーーー!(笑)