かわりはいらない
しぇりー 様
停泊している港町で久しぶりの買い物をしていると
ナミの足があるお店の前でぴたりと止まった。
『テディベアショップ』〜あなたのお気に入り連れて帰ってください
やっぱり似てるわ、そっくりね
カラン
「いらっしゃいませ」
「すみません。あれください」
「あの緑色のですね?かしこまりました」
「いくらかしら?」
「3000ベリーになります」
(案外高いものなのね。まぁいいわ)
「ありがとうございました」
カラン
う〜ん、もうちょっと服を見たいところだけど・・・
そろそろ船に戻ろうかしら
「あら航海士さん、あなたにしては早いのね」
「私だってたまにはこういうこともあるわ」
「気に障ったかしら?ごめんなさい。
あら?かわいらしいお人形ね」
「あぁ、これね。思わず買っちゃったのよ」
「それは誰かに似ているからではなくて?」
「うん、そうなの。緑だし他のクマに比べて目が細かったり」
「ええ、そうね〜本人はどう思うかしら?」
「えっ?」
「いいえ、なんでもないわ」
「ナミすわぁ〜ん、ロビンちゅわぁ〜ん、ディナーができたよ」
「いまいく〜 いこうロビン」
「ええ」
キッチンにナミがはいってきて俺のとなりに座った
俺はナミが膝の上に人形を置いているのに気がついた
深い意味は無いがなんとなく、俺はその光景が気に入らなかった
食事も終わりクールーは各々の場所へとキッチンをあとにした
いまこの空間はゾロとサンジのふたりだけだ
「ナミさんはなんであんな胸糞悪いやつを連想させるくまなんて買ったんだ?
どうせ買うならこの俺みたいなかっこいいくまを買えばよかったのに・・・」
「ナニが言いてぇ?」
「てめぇはナミさんを寂しがらせてんじゃねえかっていってんだ」
「クソコックに言われる筋合いは無えし、そんな覚えも無い」
「へぇ〜」
「なんなら包み隠さず話してやろうか?夜のこととか」
「うるせい!そんなもん聞かせるな、俺のナミさんが汚れる!」
そんな二人のエンドレスバトルの後ゾロはキッチンを出て、みかん畑に行った。
そこでは、珍しく作業に疲れたナミが昼寝をしていた。
そんな様子をゾロは遠くで腰を下ろし見つめていた が
ゾロはその胸に抱かれているくまを目にした。
ちっなんなんだよ!まさか嫉妬してんのか?
この俺があの人形に? ばかな、んなことあってたまるか。
しばしの葛藤の末、ゾロはナミのところへと歩いていった
「―ミ ナミ、起きろ」
「ん、なに?なんかあったの?」
まだ頭がぼんやりとしているナミはゾロのほうを見た
「・・・気に入らねぇ」
「はぁ?いきなりなに言ってんのよケンカ売ってんの?」
「ちげぇよ、その人形だ」
「なに?これがどうしたのよ?意味が分からないわ」
「俺はおまえに寂しい思いさせたのか?」
「えっ そんな、私寂しくなんかないわよ」
「なら、かわりはいらねぇだろが」
そういってゾロはナミからくまを奪った
「ちょっ なにすんのよ!」
「ちょっと黙れ」
ゾロはナミを抱きしめた
「ゾロ、もしかして嫉妬したんでしょ?」
「っ!」
(余計なこと言いやがって !!!)
ゾロは意地の悪〜い薄ら笑いをした
「ま、おめぇも寂しかったんだろ?しかたねぇから、
その分いまから可愛がってやるよ たっぷりな」
「え`` 私寂しいなんて一言も・・・」
ナミの姿はゾロの肩にかつがれ女部屋へと消えてゆきました
みかん畑に残されたくまは無事チョッパーに発見されチョッパーのものになりましたとさ
END★
(2009.09.15)