想いと言葉
結衣 様
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不安、苛立ち。
君は何を想って私を抱いているの?
緑色の髪と、低い声。
私よりずっと大きな背中。
魅せられた私が悪いの?
君から目が離せない。
私の精一杯の気持ちを伝える
行為の最中。
聞こえてるの?
聞こえてるなら何か言ってよ
女は言葉で伝えてくれないとわからない生き物なの。
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ねぇ、私のこと好き?
隣で眠る君に問いかける。
返事がないのはわかってる。
いつもより幼く見える寝顔に口付けて部屋を出た。
もう空が白んでる。
君は私のこんな不安を知ってるの?
少し前に伝えた私の気持ち。
君は照れたように笑って私にキスをした。
私、こんな気持ちになったことなんてないのよ。
こんなに人を好きになれるなんて思ってもいなかった。
ねぇ、冗談か何かじゃないのよ。
君の気持ちを聞かせてよ。
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涙が頬を伝う。
完全に日が出て、まわりが明るくなった。
コックさんの朝食の時間を伝える声。
涙を拭いてキッチンへ向かう。
いつも通りのにぎやかな朝食。
笑えない。
心配そうなコックさん。
心配なんかしないで。
私はあなたの気持ちを裏切っているようなものだから
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みかんの木たちは、オレンジ色の実をつけている。
熟したものから収穫していく。
実を入れたかごがいっぱいになった頃、
見覚えのある、緑色の頭が階段を上がってくる。
「ナミ」
「何よ」
「みかんくれ」
「ダメ」
「なんで」
少し拗ねたような表情をする。
「・・ゾロ、私のこと好きじゃないでしょ?」
「はぁ?」
「だって、私のこと好きって言ってくれないじゃない」
「そんなんしょっちゅう言えるか!
あのクソコックじゃあるまいし。
それとみかんとなんの関係があるんだよ」
「でも・・」
ダメだ。涙がにじんでくる。
俯くと涙がこぼれた。
「私は言って欲しいのよ」
嗚咽交じりに言う。
------瞬間、抱きしめられる。
何が起こったのかすぐには理解できなくて動けない。
「・・・ゾロ・・?」
彼は私にやさしく口付けて、
「好きだ」
と言った。
穏やかな晴天の午後。
FIN
(2005.03.22)Copyright(C)結衣,All rights reserved.
<管理人のつぶやき>
態度で示すが言葉では言わない・・・・実にゾロのゾロたる所以な部分ではありますが、そんな彼と実際付き合うとなると、女の子としては不安になるもので。
でも最後にはちゃんと言ってくれた。根は優しいんだなぁ。よかったね、ナミ!
結衣さんの初投稿作品です。ご投稿ありがとうございました♪