甲板で 〜ALIVE・ver
            

みづき 様






「よし・・・これで大丈夫だぞ。」
「ありがと。」



今あたしの左肩には包帯が巻かれてて、目の前には安心した様子の顔したチョッパー。
あたしは今チョッパーに治療をして貰ったトコで
包帯を巻き終えたチョッパーはそのまま怒った様な顔になってた。

「サンジに聞いたぞ・・・何でゾロの後ろに立つなんて危ない事したんだ、ナミ。
ルフィが腕を伸ばして避けさせたから弾がかすっただけで済んだんだぞ。」

「うん・・・ホントにご免ね。あの時自分でも信じられない位身体が勝手に動いちゃったのよ。」

「どういう事だ?」
「ゾロの背中をね・・・護らなくちゃと思ったの。前あいつ言ってたから・・・背中に傷は作らないって。」

「でも、ゾロその時気付いてたってサンジ言ってたぞ。」
「うん・・・確かにゾロ気付いて銃弾を弾いてた。でもあたし、あの時ホント夢中だったの。」
「ナミ・・・。」

そしたらチョッパーは泣きそうな顔になってた。



心配させちゃってご免ね、チョッパー。



「はい、この話はもぅお終い!」
「お!?」

言いながら手を叩いたらチョッパーは目をパチクリさせてて
あたしはすぐ笑ってみせる。

「かすっただけだし、それでオッケー。」
「・・・じゃないぞ、ナミ!もし弾が当たってたらどうするつもりだったんだ!」



そうね・・・。



「その時はその時。」
「おおおおお!?」

って・・・そんなに驚いて退がる事なくない?



「大丈夫よ、チョッパー。」
「へ?」
「あたしにはやる事がある・・・それがあるのに死んだりしないわ。」
「ナミ・・・。」

そう言って笑ったら、チョッパーもやっと笑ってくれた。

「そうだな!うん、そうだぞナミ!」
「でしょ?」

「でも無茶はダメだからな。」
「はい、すいませんでした・・・。」



そうして笑い合ったら急に船が大きく揺れて
あたしもチョッパーも反射的に見上げると、今度は大きな音がいくつも聞こえて来た。

「何!?」
「この匂い、ルフィとゾロだ!他の皆も上にいる。」



すぐチョッパーと顔を合わせた後甲板へ行ったらゾロとルフィは闘ってて
サンジ君やウソップ・・・ロビンもいた。



「ちょっと、どうしたの!?」
「どうしたんだ!?」

「おぉ、お前等。」

3人の所へ行ったらウソップは顔を引きつらせてて
隣にいるサンジ君とロビンは真剣な顔して2人を見てる。

「それがルフィの奴いきなりゾロに仕掛けてよ。」
「ルフィが?」

「どういう事だ、サンジ?」
「さぁな。」
「あたしとコックさんが来た時は、もぅあの状態だったわ。」



あたしとチョッパーが聞いても3人はそう言うだけで、あたしは2人を見るしかなかった。



ゾロもルフィも睨み合ったまま動きを止めてて・・・。



何やってんのよ、ホントに・・・!



「何してんのよあんた達、やめなさい!」



けど2人は何も言わないで剣と腕をぶつかり合わせてた。



ちょっと・・・あたしの声を合図にしないでよ・・・!



「良かったじゃ済まされねぇんだからな・・・。」

ルフィ・・・?

「かすったから良かったじゃ済まされねぇんだからな!
あのままだったら死んでたかも知れねぇんだぞ、ナミは!
お前がいて何でナミがあんな危ねぇ目に遭うんだよ!」



ルフィ違うの、それは・・・!



「ルフィ違うのよ、あたしが勝手に・・・!」
「当たり前だ!!!」



え・・・?



「人を助けるのに理由なんかいるか!」





そうか・・・。



だからあたし、あの時夢中でゾロの前に立ってたんだ・・・。



「何でお前あの時気付かなかった・・・お前が気付かなきゃいけなかったろうが!」

ルフィ・・・。



「お前が仕掛けて来た理由はそれか?」
「あぁ、そうだ。」

ゾロ・・・?



「気付いたに決まってるだろが・・・お前の腕の方が一瞬早かっただけだ。」



そう言ったと思ったら、ゾロは剣圧からの風でルフィを吹き飛ばしてた。

「おおお!?ルフィ!」
「おい、ルフィ!」

チョッパーとウソップが呼んだらルフィはすぐに立ち上がって、何事も無かった様な顔してる。



「何だ、そうだったんか。」
「・・・じゃねぇぞ、テメェ!勝手に勘違いしてんじゃねぇ!」
「いやぁ、悪ぃゾロ。」

しかもそのいつもの笑った顔・・・ちっともゾロに悪いと思ってる様に見えないわよ。



「ナミ。」
「え?」

「ゾロを助けてぇ気持ちは分かっけど無茶すんな。
お前にはやる事もあるし、この船にはお前が必要なんだからよ。」



ルフィ・・・。



「・・・あんたからそんな事言われるとは思わなかったわ。」
「しししし。」

そしたらルフィはまたいつもみたく笑って、両腕を頭の後ろに組んでる。

「何か腹減ったな〜。サンジ、飯まだか〜?」
「って、緊張感無さ過ぎだテメェは!!!」
「そうか?」

ホント・・・サンジ君の言う通りね。

「いやぁ、一時はどうなるかと思ったぜ。なぁ、チョッパー。」
「おぉ。どうなるかと思ったぞ。」
「ホントに面白いわね、あなた達。」

ロビン・・・何かそれ微妙。

「まぁいいじゃねぇか。メシにしようぜ、メシ。」



その後は皆、ルフィの声に続いてキッチンへ向かってた。



「痛むか?」
「・・・?」

声に気付いて隣を見たらいつの間にかゾロがいて、心配そうな顔してあたしを見てる。



へぇ・・・あんたでもそういう顔するんだ。



「平気よ。ホントにかすっただけだから、傷跡も残らないだろうってチョッパー言ってたし。
肩だからこんなに包帯巻いてるけどね。」

「そうか・・・。」



そしたらあたしは、その後少し乱暴にゾロに髪を撫でられた。



ゾロ・・・?



「悪かった。」

それだけ言ってゾロは皆に続いて行った。
何か言いたそうに見えたのはあたしの気の所為かしら・・・?



「・・・。」



聞こうとも思ったけど、ゾロの背中を見たら聞かなくてもいいと思えた。
あたしを心配してくれてたのが不思議と背中から分かったから。



だから、いっか。







FIN




 

<管理人のつぶやき>
私の誕生日祝いにと、みづきさんがSSを書いてくださることになりました。
リクエストしたのは「ルナゾ」。ええ、私の大好物です(ふふふふふ)。
でも、このお話の中でガツンと胸に響いたのは、ルフィの「人を助けるのに理由なんかいるか!」のセリフでした。本当にその通りだなーと思って。危急の時は咄嗟に体が動いてしまうものですよね。
今回のことは、どちらかというとナミが勝手に修羅場に飛び込 んでいったという感じなのに、ゾロもルフィも一切そのことで ナミを責めたりしない。それはつまり、ルフィだけではなくゾ ロも「人を助けるのに理由なんかいらない」と知っているから。 こういうルフィとゾロのツーカーの関係に弱いのです、私(笑)。

さて、題名に「ALIVE・ver」とあります。なぜか。実は「DEAD・ver」がもともとの作品だったのです。私が死ネタに弱いので、配慮して変更してくださったのです。どうもありがとう・・・。でも一方でそっちもすごく気になるの・・・(←困ったちゃん(^_^;))。

みづきちゃん、素敵なお話を本当にどうもありがとうございました!

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