私にハッピーバースディ

 

みづき 様


「・・・・・・?」



いつもと同じ様に天候のチェックをしに甲板に上がって、あたしは少し珍しいものを見た。



(ゾロ・・・と、ルフィ? 何してるのかしら、こんな遅くに・・・?)



目に入ったゾロとルフィが メリーの横で呑んでるのに気付いたのがそれ。





2人で呑んでるなんて、一体どうなってるワケ・・・・・・?





「どうしたのよ、2人で呑んでるなんて珍しいじゃない。」


「おぉ、ナミ!!!」
「・・・。」



そう思いつつも声を掛けたら 2人共すぐに顔を向けてくれて
ルフィは酒瓶を持つ手を軽く上げてる。



まったく・・・・・・。



「アンタ達・・・そのお酒、サンジ君に黙って持って来たわね?」


「・・・俺じゃなくて、コイツがな。」

「おう! 腹減って目ェ覚めちまってよぉ。
何か食おうと思ったんだけど、冷蔵庫はサンジの罠があって開けられねェだろ〜。
んで 仕方ねェから酒持って来た。 ゾロが見張りだし、一緒に呑もうと思ってよ。」


「アンタねぇ〜。」
「しししし。」



いつもみたいに笑うルフィを見たあたしは すぐに呆れるしか出来なくて
そのまま2人の所へ着くと、今度は逆にゾロから聞き返された。



「お前こそどうした、こんな時間に。」
「あたしは天候のチェックよ。済んだら眠るわ。」
「・・・。」





見上げた空を一目見て、明日の天気が快晴なのが分かる。
風もこのまま変わらなそうだし、朝になったら出航出来そうね。





「なぁ 明日どうだ? 晴れるか?」

「うん、大丈夫。朝にはちゃんと出航も出来るわ。
明日はビビの髪みたいな綺麗な青空になるわよ、ルフィ。」

「おぉ、そっか!!!」



それからルフィにそう言ってあげたら、さっき以上に嬉しくなった顔をあたしに向けてくれた。



やっぱりルフィにはこの顔が一番似合うわね。





「それで? 2人して何の話してたの? 何か盛り上がってたみたいだけど。」

「おう、丁度お前の話してたんだよ。 な、ゾロ。」
「・・・。」



・・・ん?? あたしの話?



「何ソレ? まさか2人して、あたしの悪口でも言ってた訳?」
「んん! そりゃぁ言えねェ! 俺とゾロの約束だからな!」

「はぁ? ・・・ちょっと どういう事、ゾロ?」
「さぁな。」



ルフィの言う意味が分からなくてゾロに聞いても
ゾロはそう言って顔を逸らすだけで、さっぱり訳が分からない。

一体どうなってるのよ、もう・・・。



「まぁ いいじゃねェか。別に悪口言ってた訳じゃねェから気にすんなって。」
「あのねぇ・・・そういう問題?」
「おう、そういう問題だ。 しししし。」
「・・・。」



あの・・・気にするなって言われても、こっちが困るんですけど。





「・・・まぁ いいわ。じゃぁ あたし戻って寝るから。ちゃんと見張り頼むわよ、ゾロ。
アンタいっつも昼間は寝てるんだから、こういう時位ちゃんと仕事しなさいよね。」

「テメェなぁ・・・。」



気にはなったけど、これ以上聞いてもどうせ話してくれないと思ったから
顔を逸らして誤魔化したゾロへ一言余計に言ってみる。

案の定ゾロは眉を寄せて睨んできたから、そのままあたしは笑い返してやった。



「じゃぁね、おやすみ。」



それから戻ろうと思って、背を向けた・・・までは良かったんだけど。



「・・・・・・え?」



そしたら急に右腕を掴まれて、握ってたのは自分の腕を伸ばしてたルフィ。



「ルフィ・・・? 何?」
「・・・。」



顔を合わせると ルフィはまたいつもの様に笑ってて
腕を戻すのに合わせて、あたしはそのままルフィに抱き留められる形になった。



「え!? ちょっと、ルフィ!?」
「・・・。」



ホントにいきなりだったから驚くしかなくて
そのまま見ると、今度はニカッと笑うルフィの顔が目の前にある。





「誕生日おめでとな、ナミ。」
「え・・・?」



誕生日・・・・・・?





「なんだぁ? お前、自分の誕生日忘れちまったのか? 今 3日になったじゃねェか。」
「・・・?」



ルフィがそう言って顔を向けたのは、ゾロが手にしてた懐中時計。
見張り用のそれを見ると、確かに時計は0時を過ぎた直後だった。



「あ。」
「な? 3日になってんだろ?」
「う、うん。 ありがと、ルフィ。」
「おう。 しししし。」



変わらずにルフィはニカッと笑ってて、あたしもそんなルフィに自然と笑みが零れる。



「・・・・・・!?」



そしたら今度は、少し乱暴だけど髪を撫でられた。



「え・・・? ゾロ?」
「・・・。」



見たらゾロは顔を逸らした所だったけど、髪を撫でてくれたのがすぐに分かる。
まったく・・・ホントに口下手で不器用なんだから。



「ありがとう、ゾロ。」
「あぁ。」



けどあたしは凄く嬉しくて、やっぱり自然とゾロのその横顔に笑みを向けてた。





「で・・・? お前らいつまでそうしてるつもりだ・・・?」

「んあ?」
「え?」



そしたらゾロは すぐにまたあたしとルフィに顔を向けると、今度はそう言ってきた。



そうだ・・・あたしルフィに抱き留められたままだったんだっけ。



「いつまでって・・・暫くこうしてるぞ?」

「・・・・・・はいっ!?」
「・・・。」



ちょっと・・・・・・ルフィ!?



「だってよぉ〜。 ナミ柔らけェし あったけェし、気持ちいいんだもんよ。」

「あ、あのねぇ! 何よソレ、思いっ切りセクハラじゃない! いい加減離さないと殴るわよ!」
「ヤダ。」



ヤダって、アンタね・・・。



「・・・じゃぁ ビビに言い付けてもいいのね!?」
「それもヤダ。」



こ、こいつわ〜〜〜!!!



「いっつもゾロだけナミを独り占めしてっからな。 悔しいから仕返しだ。」
「仕返しって、何よソレ・・・! ちょっと、ルフィ!?」
「しししし。」


「・・・・・・。」





ルフィはそう言ってからも嬉しそうに笑ってるだけで、あたしを離そうとしてくれなかった。
ゾロはゾロで、ルフィと顔を合わせてすぐ いつも以上にしかめっ面になってるし・・・。



まったくもう、何がどうなってる訳!?



ちゃんとあたしに話しなさい・・・!!!




END


<管理人のつぶやき>
誕生日を迎えた途端にルフィに抱き留められ、ゾロに頭なでなでされたナミ。
ある意味サプライズなバースデーでありました。いつまでもナミを離そうとしないルフィが小悪魔的。ゾロのしかめっ面が目に浮かぶようですよ^^。
それにしても、ルフィとゾロは一体ナミのことでどんな話をしてたんでしょうね?(笑)

毎年のことですが、ナミ誕の投稿募集は不安がいっぱい。投稿がひとっつも無かったらどうしようとクヨクヨしてしまう。でもそんな時、いつも「書きますので何かリクください〜」と頼もしい言葉を掛けてくれるのが
junble shopのみづきさんなのです!
みづきちゃん、いつも本当にお世話になってます(>_<)。
そして、素敵なお話をどうもありがとうございました〜。

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