bath・tab ☆ ぱにっく
            

みづき 様






「・・・あれ?」

「何だ、お前か・・・。」

見張り台へ昇ったチョッパーは、ゾロの姿を見て首を傾げる。
アラバスタ到着まで後数日・・・今日の夜の見張りはチョッパーなのだが
何故かその見張り台にはゾロがいた。

「何でゾロが見張りしてるんだ?」

見張り台に降りたチョッパーは、そう言って帽子を両手で掴む。

「別に。昼間寝ちまった所為で今寝られねぇから見張りしてただけだ。」

「ふ〜ん・・・そうなのか。」

「あぁ。見張りは俺がやるからお前は寝てろ。」

ゾロはそう言うと向き直り、毛布を掛け直す。 言い方はぶっきらぼうだが、チョッパーは彼のこういう所も好きになっていた。

「じゃ・・・じゃぁ俺、船の中見回りしてから寝るな。」

「見回りって・・・こん中は平気だろう?」

再びチョッパーを見たゾロは、気難しそうな表情でそう言う。

「今日は俺が見張りだからちゃんとやるんだ。だから見て回る!」

しかしチョッパーは、そんなゾロに真剣な表情を向けた。

「そうか・・・頑張れよ。」

「・・・。」

ところがゾロに『頑張れよ』と始めて言われると 次にチョッパーはきょとんとした表情になり目をパチクリさせた。

「・・・何だ?」

「な・・・何でもないぞ。」

言われて嬉しくなったチョッパーは、帽子を深く被り直す。

「じゃ・・・じゃぁな。」

「あぁ。」

そのまま下へ降りたチョッパーは、キッチンから操舵室などを見て回り
ルフィ・ウソップ・サンジが男部屋で眠っているのを確かめると、次に女部屋へ向かう。

「あれ・・・ナミがいない。」

しかしそこにナミの姿はなく、ビビとカルーが仲良く眠っている姿だけがそこにあった。

「何処行ったんだ?」

心配になったチョッパーは静かにドアを閉めると走り出す。

「・・・あ。」

・・・が、すぐに自分の鼻が利く事に気付くと立ち止まり、その青い鼻をヒクヒクさせた。

「・・・こっちだ。」

そのチョッパーが向かったのはユニットバスで、中からはナミの鼻歌が聞こえいる。

「ナミ〜!聞こえるか〜?」

『な〜に、チョッパー?』

扉の奥からちゃんとナミの声が聞こえたので安心したチョッパーは、そのまま言葉を続けた。

「あのな・・・今日の見張りゾロが代わってくれたんだ。だから俺、先に寝るな 。」

『分かったわ。お休み、チョッパー。』

「お・・・おぉ。」

これで全ての見回りを終え、チョッパーはユニットバスと繋がっているこの場所 ー倉庫ーを後にする。 ・・・ところが。


「チョーッパv」

少し歩いた所で、ドアの閉まる音がしたと同時にナミに呼び止められた。

「何だ?」

素直に振り向いたチョッパーは直後反射的に彼女から離れ
真横の食料入れの影に行くといつもの様に反対に隠れる。

「お・・・おおお・・お・・・!?」

実は振り向いた時バスタオル一枚という姿のナミが屈んで目の前にいた為

チョッパーはもの凄く驚いたのだ。

「お・・・お・・・お前、何てカッコしてんだよ!?」

「そお?」

「そおって・・・お前なぁ!」

言いながらも、チョッパーはまだ驚いている。
ナミはそんなチョッパーの前に行き再び屈むと、いつも被っている帽子を取った。

「あ・・・な・・・何すんだよ!?」

「一緒に入ろv」

そしてナミは笑顔で言う。チョッパーはさらに後ずさった。

「な・・・なな・・・な・・・。」

「だって、チョッパーいっつも男連中の誰かと入ってるんだもん。だから一緒に入ろv」

「『だから』って・・・それ理由になってねぇぞ!」

すると・・・。

「あんたねぇ・・・せっかく女から誘ってるのに断る気!?」

ナミは睨むようにチョッパーを見てそう言った。

「う・・・。」

この瞬間勝負はつき、ナミの勝利が決まる。こうなった時の彼女に勝てる相手は基本的にいないのだ。

「ホラ、おいで。」

「・・・?」

しかしナミはすぐに優しい表情をチョッパーに向けると、手を取って再びドアの前に連れていく。

「帽子はここに置いとくからね。・・・はい、タオル。」

「・・・。」

そして彼女は帽子を下に置きタオルを渡すと、一緒にユニットバスへ入っていった。

「う〜んっ・・・気持ちいい〜v」

しっかり体が冷えてしまった為、ナミはすぐ湯船に浸かる。
チョッパーもその間に支度を終え、腰に先程のタオルを巻いていた。

「ほら、チョッパーもおいで。」

「え・・・い・・・いいよ、俺待ってるからさ。」

「いいからっv」


断ったチョッパーだったが、問答無用で言われすぐに彼女に捕まると一緒に湯船に浸かる。
ナミが細身なのもあり、浴槽には丁度2人で浸かる事が出来た。

「ちょっと温めだから大丈夫でしょ?」

「あ・・・あぁ。」

するとチョッパーは、まじまじとナミの顔を見る。

「ん?何?」

「あ・・・あのさ・・・ちょっとそこの所触っていいか?」

「え・・・何処?」

ナミが言われたのは、バスタオルの上の部分である胸元だった。

「いいけど、高いわよv」

「お・・・おぉ・・・。」

本人に了承を貰ったチョッパーは、その胸元に『ぴとっ』と触れるとすぐに手を離す。 その後すぐ、チョッパーは目をパチクリさせた。

「手みたいに軟らかかった・・・。」

「そ?」

「あぁ。」

彼女に言われたチョッパーは、目をパチクリさせたまま頷く。
そんな彼に、ナミは小さな笑みを向けると・・・。

「あたしと一緒に入れるなんて幸せなんだぞ、このっ!」

「うわっ・・・!?」

そう言ってチョッパーにお湯をかけた。

「じゃぁチョッパーには、早速今のお返しをして貰おうかな。」

「へ?」

そしてナミはそう言うと『ニカッ』と笑う。

「背中洗いっこしよう。・・・ねっv」

「ああ!」

チョッパーも、そんなナミに笑顔を向けた。

「・・・任せろ!俺、背中洗うの上手いんだぞ!」

こうして、浴槽のお湯を抜いた後に背中の洗い合いが始まり

彼女に背中を洗って貰ったチョッパーはその後身体全体を洗い
ボディソープで泡だらけになった身体をナミにシャワーで落として貰う。

「気持ちいいでしょ〜。」

「おお!」

チョッパーはよほど嬉しいのか、鼻をヒクヒクさせてそう言った。

「・・・今度はナミの番だぞ。」

「うん。じゃぁ、お願いね。」

次にナミの番になり、彼女はボディソープをタオルに付け泡立てると、それをチ ョッパーに渡す。
今の立ったままではチョッパーが届かないので
彼女は背を向け足を寄せて座ると、バスタオルを取り胸元へ持っていった。

「これで大丈夫?」

「あぁ。じゃぁ、洗うぞ。」


「オッケーv」

そのままチョッパーはナミの背中を洗い始める。洗いながら、チョッパーは感じ た事があった。

「あ・・・あのさ・・・。」

「ん?」

「ナミの背中って凄い綺麗だな。ゾロの背中とおんなじだ。」

「あら・・・ありがと、チョッパーv」

彼女は顔を後ろに向け、チョッパーに笑顔を見せる。

「でも、違う所もあるぞ。」

「え・・・どんな風に?」

「う〜ん・・・。」

聞かれたチョッパーは、一旦手を止めると上を向く。

「ゾロの背中はおっきくて、ナミの背中は優しい感じだ。」

そしてそう言うと、チョッパーは再び手を動かした。

「え・・・そう?」

「あぁ。俺が言うんだから間違いないぞ。」

自信を持って言うチョッパーを見て、ナミは嬉しくなる。 そんなチョッパーの手が再び止まったのは、それから少ししてだった。

「・・・よし!終わったぞ。」

「うん。ありがと、チョッパー。」

洗い終えたチョッパーはタオルをナミに返すと
浴槽から出て、手に付いている泡を腰に巻いているタオルで拭く。

「じゃぁ俺、外で待ってるからな。」

「え・・・どうして?」

「だ・・・だってお前着替えなきゃなんないだろ?まだ髪も洗ってないみたいだし・・・。
俺先に出て待ってるから、声掛けてくれよ。ここの掃除一緒にしてやるからさ。な?」

チョッパーは、ナミに出来る限りの気遣いを見せる。
その気遣いを察したナミは、チョッパーに再び笑顔を向けた。

「ありがと。じゃぁ待っててくれる?風邪引いちゃうからそこの新しいタオルでちゃんと拭くのよ。」

「分かったぞ。」



その後ナミがチョッパーに声を掛けたのはだいたい15分後。
それから2人はここのユニットバスの掃除を終えると一休みする為仲良くキッチンへと足を運んだのだった。





「・・・おい。」

「・・・?」x2

見張りを一休みしてキッチンへやって来たゾロは、ナミとチョッパーの姿を見るとすぐに驚いた顔を見せる。
彼は、全員がもう眠っていると思っていたのだ。

「ゾロ!」

「あ・・・お疲れ〜。」

そんなゾロの気を知ってか知らずか、チョッパーとナミは明るい声で言う。

「何でまだ起きてんだよ?」

「何でって・・・一緒にお風呂に入ってたからよ。ねぇ、チョッパー。」

「お・・・おぉ。」

そのまま明るい声で言いながらお酒を飲むナミとは対称的に、ゾロは目と眉を引きつらせる。

「・・・おい。」

「へっ!?」

そしてすぐ、手にしているコップをチョッパーから取り上げるとテーブルの上に置き
直後片手で彼を持ち上げると、部屋の隅へと移動してしゃがみ込む。


「てめぇ・・・見回りしてたんじゃねぇのかよ。」


ゾロはナミに聞こえぬ様、小声でチョッパーに言う。 その顔は先程と同じく引きつったままだった。

「ちゃ・・・ちゃんと見回りしたぞ!最後にナミに声を掛けたんだ。そしたら一緒に入ろうって・・・。」

「あのなぁ・・・だからって普通一緒に入るか!?」


・・・すると。


「あら、いーじゃない。あんただってチョッパーと一緒に入ってるでしょ。」

聞こえたのか、ナミは2人の頭上からナそう言うとチョッパーを両手に抱え
ゾロから離すと立ち上がらせてあげた。

「そういう問題じゃねぇだろ。お前がこいつと一緒に入ったのが悪ぃって言ってんだ。」

ゾロもすぐに立ち上がると早口でナミにくってかかる。

「なぁ・・・何でナミが悪いんだ?ゾロだって、ナミと一緒に入ってる時あるぞ 。」

「・・・。」

ところが彼は、チョッパーにそう言われ固まってしまった。

「・・・。」

ナミもチョッパーを見たまま動きを止めている。

「な・・・何だ?どうしたんだよ、2人共?」

そんな2人を交互に見たチョッパーは目をパチクリさせた。

「チョッパー・・・お前何で・・・。」

「俺はトナカイだからな。匂いで分かるぞ!」

「つかぬ事を伺いますが・・・誰かに話したりした?」

「話してないぞ。だって一緒に入ってるんだろ?」

ナミに言われながら、チョッパーは首を左右に振る。 彼はそれを普通の事だと思っているらしく、気にしてはいない様だった。

「そ・・・そうね。でも、誰にも言っちゃダメよ。皆がびっくりしちゃうから。 」

「そっか・・・分かったぞ。」

「ありがと〜v チョッパー大好き〜v」

「う・・・うわ、やめろよ!」

ナミはすぐチョッパーを抱えて立ち上がる。
少しの間彼は手足をジタバタさせていたのだが、彼女は気にする事なくそのまま彼を抱いていた。

「じゃぁ、行こっか。」

「へ?行くって何処へだ?」

「あたしの部屋。今日は一緒に寝ようね、チョッパーv」

「な・・・お・・・俺、ルフィ達のトコで寝るからいいぞ!」

「ダーメ!」

再び手足をジタバタさせるチョッパーを見て、ナミはその可愛さから笑みを見せる。


・・・ところがここに一人、明らかにその彼女とは逆の表情な人物がいた。


「・・・ん?どしたの、ゾロ?」

「何でもねぇ・・・。俺は見張りに戻る・・・とっとと寝ろ。」

ゾロは思いきり不機嫌な表情やぶっきらぼうな声で言うと、勢いよくドアを閉め キッチンを後にする。

「な・・・なぁ・・・ゾロ怒ってたぞ?」

「大丈夫よ。明日には機嫌直ってるわ。」

「ホントか?」

「ホント。」

そんなゾロを見て心配になったチョッパーだったが、ナミがそう言ったのでひとまず安心する。

「ナミ、凄いな。ゾロの事何でも分かるんだな。」

「まぁね。・・・じゃぁ、寝よっか。」

「お・・・おぉ。」

そしてナミとチョッパーはキッチンを後にすると、眠りに就く為部屋へと戻っていく。





丁度その頃・・・。

(我ながら情けねぇ・・・。)

見張り台へ戻ったゾロは、再び毛布にくるまって夜の海を眺めていた。

「何だってあいつがチョッパーとフロ入って寝るからって、頭にこなきゃなんねぇんだ・・・。」


その夜の海を前に彼は独り言を漏らすと、ずれてきた毛布を掛け直す。
・・・勿論、その頭にきた理由はゾロ自身が一番良く分かっていたのだが。


「まぁ・・・仕方ねぇか。」





END




 

<管理人のつぶやき>
無邪気なナミさんがかわいいvvvチョパ、うらやましすぎ!私と代わってくれ(笑)。どさくさに紛れて、すごいところ触っちゃうしー。
チョパとはいえ、ナミが他のオトコとお風呂に入ったことが気に入らないゾロ(そりゃそうか)。お風呂に一緒に入る関係のゾロとナミなんだけど、チョパはいまいち分かってないようだ・・・。
チョパがまるで、二人の子供みたいでしたね。

この前、すんごいパラレル小説をくださったみづきさんが、ナミ誕にも投稿してくださいました。ありがたいことです〜(>_<)。
みづきさん、素敵に楽しいお話をどうもありがとうございました!

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