「そうか・・・俺のいない間にそんな事があったのか・・・。」

日は明けて此処はベルメールとナミの自宅。
昨日の一件の後連絡を受けたウソップも家へ訪れ日を明かしており
携帯の留守電でメッセージを聞いたサンジも仕事帰りに直接訪れ
チョッパーから事の全てを聞き終えた所だった。

「そろそろ薬が切れてナミは起きる頃なんだ。
店長とビビとウソップは朝飯作ってる。ルフィは・・・まだ起きそうにないな。 」

言いながらチョッパーは横で眠っているルフィを見ると、タオルケットを掛け直す。

「・・・あいつはどうした?」
「それが昨日から寝ずにナミを看てるんだ。
今日まで起きないって言ったのに、俺達が寝た後も起きてたみたいでさ・・・。 」
「そうか・・・まぁ、あの事もあったし無理もねぇな・・・。」

そしてサンジを見たチョッパーは、ベルメールも昨日似た事を言っていたのを思い出した。

「なぁ・・・店長も言ってたけど、それ何なんだ?」

「お前が来る前にな・・・ちょっとあったんだよ。そのうちあいつが話すだろ。 」

「ふ〜ん・・・。」

丁度そんな時、朝食を作り終えたウソップがトレーを手にして3人のいるリビングへやって来る。

「悪ぃ2人共・・・ちょっとコレ並べるの手伝ってくれ。」
「お・・・美味そうだな。」
「いいぞ。」

すると、やはりというべきだろう・・・その朝食の匂いに気付いたルフィが目を 覚ました。

「・・・んあ?お・・・メシだ、メシ!美味そ〜!」

身体を起こしたルフィは朝食を見るなり手を伸ばしたが その腕をウソップに軽く叩かれてしまう。

「って・・・。」
「ったく・・・何で起きてすぐだってのにそんな身軽なんだ、お前は・・・。」

ウソップに続いてリビングへやって来たビビとベルメールもその様子を見ており
4人の所へ行くとすぐに言葉を続けた。

「ダメですよ、ルフィさん。まだ並び終えてないんですから。」
「今日は休みなんだし、焦って食べる必要は無いんだ・・・少し待ってな。」
「ん!」

そしてベルメールは、頷くルフィを見た後チョッパーに声を掛ける。

「チョッパー・・・もう用意出来るからゾロ呼んで来てもらえる?」
「おお!分かったぞ!」





頼まれたチョッパーが向かったのは皆のいるリビングより奥にあるナミの部屋。
そこにはベットで横になり眠っているナミと、椅子に座りその様子を見ているゾ ロの姿があった。

「ゾロ・・・朝飯出来たぞ。皆待ってるしルフィもすぐ食いたがってるから早く 一緒に食おう。」
「俺は後でいい・・・。」
「ダメだぞ。お前昨日から寝てないんだ・・・これで食わなかったら倒れるぞ。 」
「・・・。」
「ナミはもうすぐ目を覚ますから大丈夫だ。それに食いに行かなかったら店長に 怒ら・・・。」
「チョッパー・・・?」

ナミが目を覚ましたのは、心配したチョッパーがゾロに話している時・・・。
見ると2人の前には確かに、自分達を見ている彼女がそこにいた。

「ナミ!」
「ナミっ!」
「え・・・何で此処にいるの・・・?」
「俺達だけじゃなくて皆もいるぞ。昨日の事覚えてるか?」
「昨日・・・。」

チョッパーに言われ身体を起こしたナミは昨日の事を思い出す。

「あ・・・そうか・・・買い物行く途中で・・・。」
「コーデリアっていう強い睡眠薬嗅がされたんだ。身体どうだ?」
「ん〜・・・ちょっとダルい感じかな・・・。」
「そっか・・・大丈夫だと思うけどちゃんと診るからな。今道具持って来る。皆 にも言ってくるからな。」
「うん・・・ありがと、チョッパー。」

そのままナミは小さな笑みを向けチョッパーを見送ると、次にゾロを見た。

「・・・寝てないでしょ?」
「あ?」
「目・・・少し赤いわよ。」
「・・・。」

言われたゾロは少し眉を寄せ、彼女から顔を逸らす。

「また迷惑掛けちゃったわね・・・。」
「お前の所為じゃねぇ。」
「・・・ありがとね。」
「それは昨日、店長から言われた。」

そして言葉を返しながらナミの頭に手を置くと、少し乱暴に髪を撫でた。

「あ・・・ちょ・・・。」
「まだ起きたばっかりなんだ・・・横になってろ。」
「大丈夫だってば・・・。」

ゾロはボサボサにされた髪を直すナミの身体を寄せる。 そのまま2人はチョッパーの声が聞こえてくるまでの少しの間、唇を合わせていた。





「ナミ〜。入るぞ〜。」
「ナミさん、大丈夫ですか?」
「大丈夫そうじゃねぇか、ナミ。」
「気分はどうですか、ナミさん。」

チョッパーに続いて皆も部屋に入り、それぞれが彼女に声を掛ける。
しかし一人・・・ルフィだけは違っていた。

「・・・ん?ナミ・・・首んトコにゾロの髪付いてんぞ。何かしてたんか?」

「「「「「「 ・・・。 」」」」」」

その瞬間全員がルフィを見たまま動きを止める。
どうやら今身体を寄せた時に付いたらしいのだが、2人は全く気付いていなかった。

「おおおおお!?」
「お・・・お・・・お前等・・・。」
「え・・・え・・・?」
「てめぇ・・・ナミさんに何しやがった!」
「ちょっと・・・どうしたんだよ?」

そんな所に現れたのはベルメール・・・。 彼女は皆の様子を見るなりルフィに声を掛けていた。

「あぁ・・・何かよく分かんねぇけど、2人して何かやってたみてぇだぞ。」
「ふ〜ん・・・。」
「ルフィ!」
「ルフィ!てめぇ、何言ってやがる!」

ナミとゾロは揃ってルフィに大声をあげる。
そんな2人を見たベルメールは小さく溜息をついてルフィを見ると・・・。

「ゾロがこの娘に何かしてるのはいつもの事だろ。分かったら早く来な・・・朝ご飯冷めるよ。」

「「「「「「「 ・・・。 」」」」」」」

それだけ言い残し、何事も無かったかの様にリビングへと戻って行き
残された7人はというと、先程の様に再び動きを止めてしまったのだった。






FIN






<管理人のつぶやき>
名探偵ゾロと助手のワトソンチョパ、情報屋のバーテンサンジ、そして高校生探偵ルフィ(工藤新一ではない・笑)。
登場人物とともに、段々といくつかの事件の背景が明らかにされていき、やがては一つの真実に結びついていく・・・・。実にお見事です!特にナミを助けに行った現場で展開されるゾロの推理シーンは、鼻血吹きそうなほどカッコイイ!!
また、要所に散りばめられた現代的な捜査手法や科学的な根拠の描写には脱帽です。

私は、名探偵コナンにもよろめいているくらいですから、探偵モノ、推理モノが大好きなんです。みづきさんもコナン好きvパラレルを書くに当たって、速攻で推理モノと決心されたそうです。
『FEINT−21』様でたくさんの珠玉のSSを出されているみづきさん。そんな彼女の初パラレルSSを、私が頂けるという栄誉を授かるとは思ってもみませんでした。
みづきさん、大巨編、大傑作をどうもありがとうございました!

ところで、このゾロとナミの間には昔、何があったのか、やはりすごーく気になります(^.^)。

 

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