告白は簡単だ!

            

森魚 様


こんな日がくるなんて、思ってもみなかった。
嫌いになった訳ではないよ。
ずっとあなたのことが好きです。
それなのにこんなに苦しい。
愛してる切なさなんて話じゃない。そんな苦しさなら喜んで受けよう。
届かない悲しさに、胸が痛んで、うつむけば涙が出る。
いつからこんなに涙もろくなったのだろう。


    さ よ う な ら

まさか自分の声で聞くことになるなんて。
2人の距離は3歩半。ちょっと斜めに傾いて、うっすらぼやける相手の顔。
このまま遠く、眠りにつきたい。

* * * * *

目をあければ、さっきの夢の続き。2人の関係は現在でも軋んでいる。
告白したのは俺の方。



「私が好きなものはお金とみかん」
知っています。
「私には夢があるわ」
俺にもあります。
「命も大事よ」
粗末にしませんっ
「…あと…………」
少し考えた彼女。
「サンジ君、私の4,5番目の人になるけど…それでも良い?」
もちろんです!!




最初から俺は、彼女の1番ではなかったんです。
それは覚悟の上でして。
不安があったんです。彼女が少し考えた時に。
何を言おうとしたのか、ほんの少し分かっています。
俺の前に入っている人物。
彼はナミさんにとって絶対的で、きっと信じている存在で。
順番なんか付ける対象ではないのです。永遠不変の0番なんです。
そんな船長に嫉妬した時もありました。
そんな剣士に敵意をむきだしにした時もありました。
気付いていたでしょうか?

ナミさんは俺を愛していてくれました。
優しく美しく在ってくれました。
一緒に笑ってくれました。
大好きです!
瞳には俺の姿が映ってましたが、その奥には彼らの姿がありました。
もう、見たくはないんです。

告白したのは俺の方で、俺はナミさんの4,5番目でも良いと誓っていて。
それが厭だから「サヨナラ」だなんて、随分ムシの良い話。
こんな事ならナミさんにフラレよう。
やっぱり1番が良かったよ。



こんな日がくるなんて、思ってもみなかった。
嫌いになった訳ではないよ。
ずっとあなたのことが好きです。
それなのにこんなに苦しい。
愛してる切なさなんて話じゃない。そんな苦しさなら喜んで受けよう。
届かない悲しさに、胸が痛んで、うつむけば涙が出る。
いつからこんなに涙もろくなったのだろう。


    さ よ う な ら

どうぞナミさん、僕に言ってください。





FIN




<管理人のつぶやき>
付き合うことはできたけど、それだけではダメなんだ。
その人にとっての1番になりたいと思うのは、当然の欲求。
恋する人であればあるほど、その欲求は高まるもの。
たとえ割り切って付き合っても、やがては破綻が来る・・・。
負けるな、サンジ!いつかは誰かの1番になれ!

ONE PUSH様(閉鎖されました)で開催されていたサンジ誕企画『ちいさな失恋のおはなし』(その名の通り、サンジ君の失恋物語集でした(T_T))でのDLフリー作品です!
森魚さん、切なサンジくん話をどうもありがとうございましたvvv

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