ケダモノの嵐

roki様



「ねぇ、本当に効くの?」
チョッパーはドキドキと不安が入り交じった顔でウソップを見上げた。
「なに言ってるんだ…このウソップ様がそんなまがい物をつかまされる訳がないだろー…」
そう言いながらも、太い眉とギョロッとした目は、いまいち自身がなさそうに揺らいでいた。
手には茶色の瓶が握られており、黒いラベルが貼られている。奇妙な形をした実のイラストが描かれたその下にはこう書いてあった。

『INSTANT DEVIL FRUIT』

「…本当にそれを飲むだけで、悪魔の実の能力が…?」
「ああ。2〜3時間ぐらいらしいがな。人によって効く時間は違うらしいって後ろに書いてある」
2人はメリー号の食堂で、その怪しげな瓶を前に首を傾げていた。
船はある島の港から少し離れた場所に停泊している。交代で船を降りては羽を伸ばしている所なのだが、町から戻ってきたウソップの、がらくたのような戦利品の中にそれはあった。
「だいたいそんなもの、何処で手に入れてきたの?」
「いや…妙な骨董品屋があってな…冷やかしで入ったんだが、おかしなもんがたくさんあったぜ。店主も変だったけどな。そこでまあ色々と話に花が咲いてだ。この俺の武勇伝に感銘をうけた主人がこれを見せてくれたんだよ…」
本当の所、仲間に能力者が3人もいると聞いた店主が、面白がって見せてくれたのだがそれは言わないでおいた。
「…骨董品屋に薬があることじたい変じゃないのかな…?」
「…む!お、お前俺がそれに気づかなかったとでも思うのか?ちゃんと聞いたぞ!本当は店主の親父さんの頃からの薬屋だったらしいんだ。だが今の店主が骨董にはまったらしくてな。それで趣味が実益に変わっちまったらしい」
そう言うと瓶を手の中でくるくると弄ぶ。
「その親父さんはだいぶマニアックな薬売りだったらしくてな…何に使うか判らない薬草や変な茸がまだ処分しきれないで残っているらしいだ。収集家な所だけ遺伝しちまったって笑っていたよ。あれはお前の方が興味あるんじゃないのかな?」
「俺そこ行ってみたい!」
チョッパーは目をキラキラさせながら、ウソップを見上げた。
「連れて行ってくれよ、ウソップ!」
「まぁ、そう頼まれちゃイヤとは言えないな〜。いいぜ、誰か戻ってきたらな。だが当面の問題はこれだ。どう思う?」
「…うーん……」
チョッパーは瓶をウソップから借りると、静かに瓶を振って中の状態を観察した。
「………ちょっとこれだけじゃ何とも言えないな……」
「…実はその親父も半信半疑だったんだ。だから格安で手に入れられたんだけど…どうも怪しいよなー?こんなに手軽に手に入るもんなのか?パチもん臭いんだよなー」
「一番よくわかるのは…」
「あぁ、試しに飲んでみることだな」
お互い顔を合わせて沈黙する。

こんなの誰が飲むっていうんだ?

冷蔵庫に保管されてあったそうで、保存はいいらしい。もっとも製造年月日がわからないので、いつからそのままなのかがわからないのだが。
飲めば毒かもしれないし、仮に本当だとしても能力が出たまま戻らなかったら?
「開けてみていい?」
「ああ」
チョッパーはそれをテーブルに置いて、静かに蓋を開け中身を嗅いでみた。
「………うーん…こんな匂いだったかな…かすかに果物みたいな匂いはするけど…」
「…そうか…おい、お前ちょっと飲んでみろよ」
「えぇ?!や、やだよ!俺はもう能力者だもん!そんならウソップ飲めよ!」
「えぇ?!い、いや俺は薬を飲むと死んでしまう病にかかっているからダメだ!不治の病なんだ!もう能力者なんだからいいだろ!」
「何言ってるんだよ!それよりさ、実験器具持ってきてちゃんと調べようよ」
「おう!そうだな!俺もそれを言おうと思っていたんだ!よし手伝ってやるぜ」
2人は瓶はそのままで食堂から出た。ちょうど欠伸をしながら階段を上ってくるゾロとすれ違う。
「なんだゾロ。降りてなかったのか」
「……あぁ…寝てた……ふああぁ…喉が乾いたぜ…」
食堂の扉を開けて中に入っていく。水でも飲むのだろう。
それを見送った後、チョッパーがはっと思い出して立ち止まった。
「いけない!さっきの瓶を開けっ放しで置いてきちゃった!」
「おっと…そうだったな。ゾロに一応言っておくか…」
今出たドアを開けて、ひょいと中を覗き込む。
「おいゾロ。そのテーブルに置いてあるのには手をつけるんじゃ…」
「ん〜?」
ゾロは今まさに問題の瓶の中身を飲み干して、戸口の2人を振り返った。
「うえ!なんじゃこりゃ?ずいぶんとマズイな…ん……?」
愕然として口も利けずにガタガタ震えている2人を後目に、ゾロはあまりの苦さに顔をしかめる。

変化は、その直後に現れた。


「………!!!」


ウソップとチョッパーが上げた凄まじい奇声に、岩陰に止まっていたアホウドリが驚いて飛び立った。


****


「……ゾロ……大丈夫か……?」
チョッパーがほとんど泣きそうな声で聞いてくる。

「………ビビッた………本物だったのか……」
ウソップは腰をぬかさんばかりになって、ただでさえ大きな眼をさらに大きく見開いている。

「………今はそんなに悪かねェよ…」
ボソリとゾロが呟いた瞬間、ウソップとチョッパーはキャッ!とバネ仕掛けのように飛び上がった。
「うーわーー!!喋ったーーー!!!」
「ギャーー!!!」
鼻水を垂らしながら、そこら辺をドタバタと全速力で走り回る。
「ウルセェ!!喋って何が悪いんだ!!」
「キャーー!!く、食わないで食わないで!!」
「お!俺はそんな見た目ほど(?)美味しくないよーー!!」
部屋中に轟くような声でゾロが吠えると、2人は部屋の隅っこに行き抱き合ってミーミーと泣き出した。
「………」
それを見て、盛大な溜息をつく。
自分の姿を見てみれば何かが起こった事はわかる。そしてこの2人は明らかに事の成り行きを知っている。聞き出さなければならないのに、怯えられては話にならない。
「…おい、お前ら…まず事情を話せ。いったい俺が飲んだアレは何なんだ?俺がこんな姿になっているのは、アレのせいなんだろ?」
「う、うん。うん」
チョッパーが、壊れた人形のようにコクコクと頷く。
「…ゾロよぉ…!お前ルフィじゃないんだから、意地汚いマネするなよぉ!何で飲むんだよぉ!」
ウソップがさめざめと泣いて鼻をすすり上げ、ゾロも気まずげに肩をすくめる。
「……悪かったよ…しかしまさかこんな事になるとは思わねェだろ…ところでコレってもしかして…悪魔の実か?」
「思わねェってお前、ラベルをまず読めよ〜!どうしてそう身の危険に注意が足りないんだ?書いてあるだろ!ちゃんとココに!」
ウルセェ!んなもん出しっぱなしにしておくなっ!」
「キャー!(泣)吠えるなヨォ…今のお前が怒ると、なお怖いんだよォ!」
ウソップが泣きながら顔をそむけている。流石に頭に来て殴ろうかと思い、止めた。今の自分に拳を作る事は出来そうにない。のど笛を食いちぎるぐらいはは出来そうだが。
「……なぁゾロ…お前のその能力って俺と同じゾオン系だと思うんだけど……人型に……戻れないのか?」
チョッパーが、おずおずと聞いてくる。
「…あぁ、俺もそう思うんだが…ダメだな。どうやっていいのか全然わからん」
「…お前そんないい加減に…」
「おかしいなぁ。俺は自然にわかったんだ。歩く事を知っていたのと同じぐらいにさ。うーん…やっぱり効力自体は弱いのかもしれない…」
最初のショックが薄れてきたのだろう。チョッパーはだんだん持ち前の好奇心が戻ってきたようだ。
「で?俺は、ずっとこのままなのか?」
「いや…2〜3時間で切れるとあるぞ…って、お前なんでそんな冷静なんだ?」
「なっちまったもんはしょうがないだろ。ただこの手だと刀が持ちにくいのがどうもな。…口にくわえるか…」
「出来るか!」
「心意気だ」
「3本ともか?よせよぉ!だいたいお前のそのじたいが刀みたいだぞ」
「なるほど…じゃあ試してみるか?」
刀のようだと言われた牙を剥き出しにして笑ってみせると、近くまで寄ってきていたウソップは一気に壁まで下がっていく。
脅して気晴らしをすると、ごそごそと今はまとわりついてるだけの服をはがし始めた。
「ど、どうするんだ?ゾロ」
「2、3時間だろ?ちょっと散歩してくるわ」
「えぇ!!」
ウソップとチョッパーが同時に叫ぶ。ゾロは気にせず洋服を全部脱ぎ捨てて、ぶるっと身体を震わせた。
「裸なんだと思うと変な感じだが…何故か今はあんまり気にならねェな」
「お!おい!ホントに外に出るのか!?」
「ん?おかしいか?」
「お、おかしいかって言うか!別におかしくはないけど…いやおかしいけどさッ!ただ…でもその…大丈夫なの……?」
おろおろとチョッパーが心配そうに覗き込んでくるのを、ゾロは軽くいなした。
「なんとかなるだろ。第一ここにいてもしょうがねェし。服と刀を預かっていてくれ」
「…それどうする?ピアス」
「ん?邪魔になるもんじゃねぇが…まぁ、はずしておいてもらおうかな」
ウソップは止めたもんかどうしようかと悩みながら、それでもゾロの耳のピアスをはずしてやった。確かにゾロの今の手では、そんな細かい作業は出来そうにない。
「おいゾロ!気をつけろよ!時間に余裕を持って帰ってくるんだぞ!!そのままで元に戻って町中でストリップさらす事になるぞ?!」
「ああ、わかった」
ゾロは呑気にそう言うと、挨拶のように尻尾を振って食堂から飛び出していった。
後に残されたのは、まだ動揺から冷めきれない2人と床に残された衣類と刀だけ。
「……すごいなゾロって……俺最初変身した時、立ち直るのにえらい時間がかかったよ」
「………だからって、あんまり変な所まで手本にするんじゃないぞ、チョッパー」
溜息混じりのウソップが拾い上げた空っぽの瓶のラベルには、小さく『ウルフルの実』と書いてあった。



船から岩場までを一気に飛び降りると、そのまま苦もなくゾロは走り出した。意外に悪くない気分だ。身体が軽い。
岩場に止まっていた鳥達が、自分を見て慌てて逃げ出していく。それを楽しい気分で追い回した。
元々五感が鋭いが、この状態だと今までの比ではない。特に鼻と耳。圧倒的な情報が洪水のように彼に流れ込んでくる。今まで使ってなかった扉が開け放たれ、覚醒していく感覚に身体中の血が沸き立った。
この状態を維持しながら元に戻れないだろうか…いや、この感覚だけを覚えておくだけでも随分違うはずだ。これは怪我の功名だったかもしれない…。
そんな事を考えながらゾロは軽々と岩場を飛び越えていく。彼方から様々な匂いが聞こえる。そこが町なのだろう。普段は方向音痴で鳴らしているゾロだが、今回は迷わなかった。
このまま町に行こうかどうしようかと悩む。別に用事があるわけでもないし、この姿では買い物も出来ないし、第一金を持ってない(それ以前の問題だが)
まぁ元々はこの身体が何処まで動くが試してみたかっただけだ。ゾロは原っぱを探す事にした。飽きれば昼寝でもすればいいのだ。
例え姿が変わろうが、どこまでも全くマイペースなロロノア・ゾロだった。



****



手に抱えた荷物の重さに、ナミは凹みそうになっていた。
町から船へと戻る途中の開けた道を、1人てくてくと歩いている。
いくらなんでも買いすぎた。両手に提げた袋の中で、酒瓶がぶつかってカチャカチャと音を立てている。
あぁ、しくじった。こんなに買うなら誰か男手を連れてくるんだった。サンジは今夜の買い出しに行っているので無理だが、ルフィとかウソップとかチョッパーとか。
要するにゾロ以外の男手だ。
ゾロには頼めない訳がある。その理由とは、もう一つ腕にぶら下げている小さな袋の中身のせいだ。
「あぁんもう!重い〜〜!!」
指先に血が通わなくなってもう感覚がない。我慢できずにナミは道の上にどさりと荷物を置いた。だがその小さな袋だけは腕に下げておく、しびれた指をふーと吹くと、血がゆっくりと戻ってきてじんじんした。
それにしても今日という日をアイツらは、いやアイツは知っているのだろうか?サンジも忘れていたようで(もしくは忘れたがっていたようで)ナミが指摘すると、「あぁ…」と苦そうな顔をした。
知ってしまった以上は何かしますかと半分あきらめたようで、今日の夕食は奮発してくれるらしい。自分もそれだけの特別予算は出した事だし期待しよう。
そしてナミは腕にぶら下げた袋を覗き込んでみた。
「…これは失敗だったかも」
やっぱりお酒だけで良かったかもしれないが、やっぱり誕生日だしね。と思ってつい買ってしまったのだが、よく考えたらサンジが作ってくれるんじゃないかと思う。
「……どっか舞い上がってるのかしら私…」
食事の前に渡そうかしら。でもあの男は甘いものが嫌いなのだ。下手にあげてルフィに回されたりしたら、流石にちょっと悲しい。
ナミは溜息をつくと、もう一度酒の入った袋を持ち上げた。指先にずしりと負担がかかる。えぇい、1本飲んでしまおうか。
道の両脇は草が茂っていて、寝転がると気持ちよさそうだ。どこか日陰で休んで、荷物を軽くするのもいいんじゃない?
ついでにコレも食べてしまおうかしらチクショウ。
そんな何処か捨て鉢な気分で原っぱを見ながら歩いていると、ちょっと良さそうな樹が1本立っているのが見えた。
それほど高くなく濃い緑の葉っぱが茂った樹は、草原に涼しそうな木陰を落としている。
そそられた。いつも船の上にいるせいか、時々無性に土が恋しくなる。裸足になったら気持ちよさそうだ。
何よりこのクソ重たい持ち上げたばかりの荷物を、すでに投げ捨てたくなっていた。道からそれ、踝まで埋まりそうな柔らかい草を踏みしめながら進む。サンダルごしでも草を踏む感触が心地よい。
ナミは少し気がはやっていた。それに遠くからだと色が草に混じって判りにくかった。
だから樹に近づくまで、その生き物が寝そべっている事に全く気づかなかった。


「…!」
それが草むらからふいに顔を上げたので、ナミは驚いてあやうく荷を落とす所だった。やっとで悲鳴を口の中に飲み込む。
よく光る目がじっと自分に注がれていた。
そんな目と鼻の先の距離に近づくまで、自分がそれに気づかなかった事にナミはショックを受けた。
見た目は犬に見える。だが並はずれて大きい。子牛ぐらいは優にありそうだ。
ガッシリとした体格と強靱そうな四肢。何より不思議だったのは、その深い緑がかった毛並みだった。
その生き物も驚いたような顔でナミを見つめている。だが目つきは鋭く、知性も感じさせる。
ナミは荷物の重さも忘れて固まっていた。犬が嫌いな訳ではないが、あまりに大きすぎる。襲われたらひとたまりもない。
だがその動物はナミを見たまま、ふさふさとした尻尾をパタリと振った。そして人間のように大きな欠伸を1つ、ふわああとして見せた。
それで、少し気がゆるむ。どっちにせよすぐ攻撃をしかけてくる気はないらしい。それならとっくにやっていただろう。
「…ゴメンね…起こしちゃった?」
様子をうかがうように、話しかけてみる。獣はまだ眠そうに目をしばたかせると、無造作に投げ出している脚の上に顔を乗せた。それでまた少しナミはホッとした。
「大人しいじゃない……ねぇ、邪魔するつもりはないのよ?ちょっと休みたいの」
そう言って、急な動きで驚かせないように、樹までゆっくりと移動した。
荷物を樹の幹に持たせて一息つく。スカートの下の武器を手で確認した。出しておこうかと思った時、のっそりと獣が近づいてくるのが見えた。
思わずスカートの裾を捲り、武器に手をかけた。獣はゆっくり歩いてくると、酒が入った袋をふんふんと匂いを嗅いだ。物欲しそうにナミを見上げて、尻尾を振る。
「……お酒が飲みたいの?」
獣はそれに答えず、袋を前足でかりかりと引っかけた。それを見て、ナミは思わず吹き出してしまった。
「呆れた。飲んべえなのね」
くすくすと笑うと、武器から手を離し座り込んだ。袋を開けて中からウイスキーを1本取りだす。獣は嬉しそうに、ハッハッと舌を出して喉を鳴らす。
「ちょっと待って…今あげるから…どうせ1本開けちゃおうかと思っていたのよね…」
あいにくと入れ物がない。ナミは掌を器にして、その中にウイスキーを注いだ。
「はい、どうぞ」
不思議な事に、獣は少し面食らったように見えた。掌に満たされたお酒とナミを交互に見つめている。
「?ちょっと早く飲まないと、全部こぼれちゃうわよ」
ほら。とナミが獣の前に手を差し出す。獣はそれでも少し困っていたようだが、あきらめて大きな舌でナミの白い掌をぺろりと舐めた。
「うひゃ!くすぐったい!」
掌で満たされたぐらいの量では、1、2度ほど舐めるとすぐになくなってしまう。全然足りてなさそうなので、ナミは笑ってまた酒をついだ。今度は躊躇せずに舐めた。また注ぐ。アッという間になくなる。大きな舌が丹念にナミの指の股の所を舐め取っている。
「うふふふ。ちょっと!くすぐったいって言ってるでしょ?」
ナミは笑って手を隠した。すっかり獣に対する警戒心を解いて、今はむしろ好意的な感情を持っているらしい。
獣は焦れったいのか酒瓶から飲もうと鼻面を伸ばした。
「ちょっと!ダメよ!私がまだ飲んでないんだから…。まったく何処かの誰かさんみたいね…」
ナミは酒瓶を持ち上げると、自分もぐいっと煽った。ゴクゴクと喉を鳴らして美味しそうに飲む。それを獣が羨ましそうに眺めていた。
「はぁ…美味しかったVはい、後はアンタにあげるわ」
口元を拭うと、自分が口をつけた酒瓶を獣に近づける。獣はパタパタと嬉しそうに尻尾を振り、瓶を口にくわえた。そのまま、ぐいっと上を向いて上手に酒を飲み始める。
「……あっきれた…本当に飲んべえねぇ…。ますます誰かに似ているわ」
そう言ってナミは樹の根本の間に腰を落ち着けた。サンダルを脱ぎ捨てて裸足になると、それだけで身体が楽になった気がする。
素足を草っぱらに投げ出して、気持ちよさそうに背伸びをする。
獣はその側に座ると、酒瓶を上手に前足で抱えるように落ち着かせた。一息ついたらしく、ナミをじっと見つめている。
「ところで…アンタって犬?それにしては大きいし……まさか狼じゃないわよね?」
狼がこんな人に慣れている訳がない。第一、緑色の狼なんて聞いたことがない。もっとも青い鼻の馴鹿がいるぐらいだから、世の中は広いかもしれないが。
「そんな色をしてると…うん…ますますアイツに似てるわね……ねぇ、アンタの事『ゾロ』って呼んでいい?」
無邪気に聞くナミに、獣は驚いたように耳をピンとさせた。その様子にナミの方が不思議そうに訪ねてきた。
「…へんなの……アンタって人の言葉がわかるみたいね……もしかして誰かに飼われてるの?」
それを聞くと、ムッとしたようにそっぽを向いた。まるで『飼われてる』という言葉が不服だったように見える。ナミはすっかり面白くなって、獣に笑いかけた。
「変な奴。拗ね方までそっくりだわ…ね、こっちおいで」
ナミが手招きすると、獣はしょうがねぇなぁと言うようにのっそりと近づいてきた。
そこで初めてナミは獣の頭を撫でてみた。くすぐったそうに首を振るのを、かまわずにガシガシと掻いてやる。
「…あら?あんた…胸にこんな大きな傷。どうしたの?」
通常、お腹の方は毛が他の部分より薄くなっている。その腹に上から斜めに大きな傷跡が出来ている。よく生きていたものだと思えるような大きな傷だ。
「よく死ななかったわね…なんかますますゾロに似てるわ……」
ナミがそぉっとお腹の傷を撫でてやると、獣は驚いて身を引いた。これが人間なら照れている所なのだろう。
「なあに?もしかして痛いの?…ん?ちょっと耳を見せてよ…」
獣の両耳はピンと立っているが、よく見ると左の耳に小さな穴が開いている。しかも3つ。まるで何かを通した跡のような穴だ。
「………」
そこまできて、さすがにナミはマジマジと獣を見つめ返した。
獣は少し居心地悪そうにナミを見つめ返している。
短いような長い沈黙が過ぎた後、ナミは静かに訪ねてみた。
「………ゾロ………?」
獣はパチクリと目をしばたかせる。ナミは目を離さない。
何となく目をそらして惚けてるように見せる。だがナミの視線は感じているようだ。
ひゅうっと、まるで聞きようによっては諦めたような吐息を小さくつくと、おもむろに口を開こうとした。
「…なーんてね!いっくらなんでもそんな訳ないかV」
コロコロとナミは明るく笑ってみせる。獣は出鼻をくじかれたような顔で、あんぐりと口を開けたままだ。
「アッハッハ!ゴメンね〜なんでもないの!いっくらアイツが食べて飲んで寝てばかりだからって、ケモノになるわけないもんね」
そう言って獣の頭を掴むと、手でわしゃわしゃと掻き回した。これには流石に嫌がって首を振って逃げる。
「逃げないで逃げないで。ほら!ゾーロッV」
ナミの中では獣は「ゾロ」という名前で定着してしまったらしい。胡散臭そうに眺める獣の首筋を、今度は優しく撫でてやった。最初は、不承不承そうさせている。という雰囲気だったのに、だんだん気持ちよくなってきたのか目が少し眠そうになっている。
「気持ちいい?」
優しく呟くと、さらに愛情を込めて背中や頭を撫で始めた。
獣は大きく、そうしていると1人の人間と向き合っているような気分になる。
ナミは獣の首筋に両手を回し、ふさふさした毛に顔を埋め抱きしめた。獣はこれには驚いたようだが、少し当惑気な様子をしただけでされるがままになった。
少し硬い毛がちくちくしたが、ナミは気持ちよさそうに顔をすり寄らせる。
「……ありがとう……ゾロは…人間のゾロには、こんな事出来ないからね……」
ナミがそう言うと、獣は不思議そうに彼女を見下ろした。その気配を感じて、ナミは小さな苦笑いを浮かべた。
「ダメなのよね…こんな風に素直にやれたらいいけど…喧嘩になっちゃうの」
少し遠くを見るようにして語るナミの目には、きっとある男の姿が映っているのだろう。その少し儚い顔を獣はじっと見つめていた。
「…実はね…今日そいつの誕生日なんだ…どうも忘れてるっぽいけど…」
これには獣は明らかにギョッとしたような顔になった。自分の気持ちに沈んでいたナミは、うかつにもそれを見落とした。
「それでね…たまにはちょっと素直になろうかなーと思ってね。プレゼント用意してみたの」
ナミはそう言って獣から手を離すと、先程の小さな袋を取り出した。ごそごそと中をあさると、小さなケーキを取り出した。甘さ控えめのシフォンケーキで、トッピングもそんなに凝ってない。周囲を薄いセロファンでラッピングしてある。
「美味しそうでしょ?…でもねぇ…アイツこーいうの食べないのよね…なるたけ甘くない物にししたんだけど、失敗したかなって…せっかくあげても迷惑な顔されたらイヤだしね…」
はーっとナミは溜息をついた。
やっぱり自分は少し浮かれていたのだ。冷静に考えるにつれ、どうしてこんなのを買ってしまったのかバカバカしく思えてくる。
獣はじっと話に耳を傾けているようだった。まるで内容を全て理解しているように。
「そうだ!ねぇ、アンタ食べる?」
ナミがパッと顔を明るくして、ケーキを獣の前に出してみる。
だが、獣は匂いすら嗅がずふいっと顔をそむけた。
「…なぁんだ…アンタもこーいうの嫌いなの?」
ガッカリしたような顔で、ナミは落胆した。少し悲しげに手の中のケーキを見つめる。
「いいわ…私が食べちゃお。持って帰ってルフィにあげるのも癪だし…」
あきらめたように肩をすくめると、自分が食べようとセロファンをほどこうとした。
その時、獣が音もなく動いてナミの腕に自分の前足をかけた。勢いがついて叩き落としてしまうかもしれないと考慮したような、優しい動きだった。
「……なに?」
突然の行動にナミが驚いて獣を見つめる。獣は本当にただのケダモノとは思えない、深い瞳でナミを見つめている。その視線にナミの方がドキッとした。その瞳こそが、何よりあの男に似ていると思えた。
ナミが試すようにケーキを食べようとすると、今度は顎でナミの腕をそっと押さえた。
「………もしかして…アイツにあげろって言っているの?」
獣は合図するように、パタパタと尻尾を振った。
「頑張れって言っているの?」
再度尻尾を大きく振る。例え「そうだ」としゃべり出しても私は驚かないわと、ナミは思った。
「変なケダモノ」
ナミは笑った。泣きそうな笑顔だった。
「ありがと。試してみるね…」
ははぁと獣が目を細めて息を漏らした。まるで笑っているように見えて、ナミは怪しむように微笑んだ。
「じゃあ…コレは仕舞うね」
もう一度綺麗にラッピングすると、ナミは大切に袋に閉まった。
なんだか少し元気が出てきた。素直にチャレンジしてみてもいいかもしれない。気持ちをちゃんとぶつけないと、あの男は絶対にわかりっこないんだから。
つぶさないように少し離れた所にそれを置いていると、すぐ側に獣が近寄ってくる気配を感じた。
「なぁに…」
ナミが振り返ったと同時だった。獣はナミの膝に身体をあげると、ナミの唇に自分の鼻面を押しつけた。
「ん」
突然のスキンシップに驚く暇もなく、今度はペロリと同じ場所を舐められる。僅かにさっき飲ませたウイスキーの味がした。
「こら!なによいきなり〜」
ナミがこづいても構わず、顔中を温かな舌で舐めだした。顔だけでなく、耳元や首筋など所構わずペロペロと舐め出す。ざらざらした舌が与える感触に背筋がぞくっとした。ケダモノ相手に何を…と思っても、その愛撫は暖かく丁寧で何故かイヤな感じがしない。
「ちょっと…くすぐったいわよ!うふふ…こら!重い!」
何故か気恥ずかしさとくすぐったさを感じて、ナミは笑いながら獣の脚をはずそうとするが、獣は舐めるのを止めない。興奮するかのように尻尾を激しく左右に振りまくっている。
「こいつ!もう…いがいと人懐っこわね…って、こらぁ!」
ナミがその大きな身体を抱え込むと、今度は彼女の豊かな胸元に顔を擦りだした。そうして脇に鼻面を突っ込んでは、クンクンと匂いを嗅いでいる。
はずみでバランスを崩して倒れるとその上に覆い被さり、もどかしいように身体を擦らせてくる。他人が見たら襲われているように見えただろう。
「ちょっとアンタに押し倒されたら私つぶされちゃうじゃない……こ、コラーー!!」
暴走した獣の愛情表現は、スカートの中に鼻を突っ込んだ所で鉄拳を浴び、やっと止まった。
鼻面を殴られたらしく、偉く痛がっている。
「もう〜〜ダメよ!ったく何でケダモノってそんな所を嗅ぎたがるのかしら…」
少し頬を赤らめながら、手荒な愛撫で乱れた衣服を直す。獣は鼻先を前足でゴシゴシと擦り、ナミを見てまた目を細めた。そうしてると、やっぱり笑っているように見える。
「…何だかニヤニヤしてない……?」
獣はとぼけたように欠伸をしてみせる。コイツめとナミがその口を掴んで自分に引き寄せた。
「ホントに変な奴ね…でもうちの連中と話が気が合いそうよ…。ねぇ…もし帰る所がないなら…海賊の船に乗ってみない?私のボディガードとかどう?」
ふふんと笑うナミの顔は、人間にするようにマジな口説き言葉になっていた。獣は真っ直ぐにそんなナミを見返している。その瞳は、苦笑するように揺れていた。

(もうとっくに乗っているんだよ)

その時、前兆を感じた----。
「!」
獣は驚いたようにブルブルと身を震わせた。勢いでナミの手から口がはずれる。
「…どうしたの?」
獣は自分の身体を見おろし、当惑したように見つめているナミに向き直った。
再度身体を寄せて、ナミの唇を小さく舐める。
「いっちゃうの?」
何かを察して、ナミがささやいた。その声音が心底ガッカリしているようで、獣もナミ自身も驚いた。
「…ううん、いいの。大丈夫よ。アンタはちゃんと帰る所があるのね…」
寂しそうに呟くと、ナミはもう一度愛情を込めて背中を撫でてやった。それに目を細めた獣の口にフレンチ・キスでお返しをしてやる。
獣は一瞬名残惜しそうな様子を見せたが、それを振り切って身を翻した。
「いいわ、行って。元気くれてアリガトウ!幸せにね!」
ナミはそれでも笑顔で手を振ってくれた。大きな尻尾をうち振ると、獣は少し惜しそうに、そしてもの凄い早さで道へと駆けていった…。


後に残されたナミは、急に寂しくなって想わず泣いてしまった。
あれだけ内心を素直に吐露した事はノジコ以来久しぶりで、そんな相手が現れて消えてしまった事に、自分でも動揺するぐらいショックを受けていたようだ。
泣き顔を納めるのと、ひょっとして帰ってこないだろうかと期待して、ナミはしばらくその場に留まったが、獣は戻ってこなかった。
30分以上待った所で諦めて立ち上がった。いい加減戻らないといけない。
荷物は瓶を1本空にしたぐらいでは、たいして変わらない。それでもさっきよりはだいぶマシな精神状態になった。
荷物を再度両手に提げて、えっちらおっちらと船に戻る道に戻る。
あの獣についてぼんやりと考えながら帰路についた。きっと仲間の所に帰ったんだわ。と漠然とナミは考えた。人に慣れてはいたが、誰かに飼われているとは思えない。そう考えるのはその飼い主に嫉妬してしまうからイヤだった。どっちにしろ、もう一度会うことは不可能だろう。そう思えば寂しいが、どこかで彼の仲間達と楽しくやっていると思えばまだ救われる…。

そんな事を考えながら歩いていたら、道の向こうから誰かが走ってくるのが見えた。
「……?」
その人は自分を見つけると、だんだん小走りになり歩き出した。見慣れたシルエットである。ナミは立ち止まった。
「ゾロ?」
さすがに少しビックリして、動けなかった。珍しい。どうしたんだろう。
「よお、ナミ。…重そうだな」
「……そうよ重いわよ…なぁに?手伝ってくれるの?」
「まぁ、しょうがねぇな。ほれ」
ゾロはナミの手から荷物を全部--ケーキが入った袋以外は--を取り上げ、ちっとも重くなさそうに両腕に抱えた。
「んな時は誰か連れて行けよ」
「……うん」
ナミが素直に頷く。両腕に荷物を満載したゾロが、そんなナミを覗き込むようにして訪ねた。
「なあ、なんか食べるもんないか?」
「え!?」
「いやぁ、腹減ってよ」
ゾロが朗らかに笑い、ナミはそれに曖昧に笑いかえす。確かに持っている。だが、こんな急な展開になるとは思ってなかった。
「その袋はなんだ?」
ナミが腕にぶらさげていた服を覗き込もうとした。まるでずっと前から知っていたような滑らかな動きだった。
「…こ、これは…その……」
思わず隠そうとしてちらっとゾロを見上げ、何とも言い難い顔で頬を赤らめた。
「………ケーキなんだけど……これでもいいなら…食べる?」
「あぁ、食う」
様子を窺うように訪ねると、予想に反してゾロはあっさり頷いた。
「本当に!?食べるの?ケーキよ?甘いのよ?いや、クリームはないからそれほど甘くはないと思うけど」
「なに言ってるんだ?くれるんならよこせよ」
「そんな言い方しなくてもいいじゃない!」
「それとも誰かにやるつもりだったのか?」
少しからかいを含んだ声音に思わず見上げると、両腕に抱えた荷物の間でにやりと笑っている顔と直面した。
「……まぁね…ちょうどいいわ…」
いぶかしさを感じながらも、ナミは手提げ袋からラッピングに包まれたケーキを取り出した。
「はい。誕生日おめでとう」
本当はもう少し違う言い方で渡そうと決めていたのに、口から出た言葉はシンプルだった。恥ずかしいのと動揺しているのと期待と不安で、パニくりかけたのを必死でこらえたらそうなってしまったのだ。
「そうだったな。忘れていた」
ゾロが明るく笑った。ナミが戸惑うぐらい、本当に嬉しそうだった。
「…今日は宴会よ。サンジくん奮発してくれるって。私が教えたんだから感謝しなさいよね」
「あぁ、する。ありがとう」
「……うん」
何だか顔が見れなくて、思わず手に持ったケーキのラッピングを手でいじくってしまった。
「美味そうじゃねぇか」
「本当にそう思ってるの?」
「ああ、くれ」
そう言うとあんぐりと口を開けた。ナミはラッピングされたケーキを掲げて、ゾロが荷物を置くのを待った。
しばし、そのまま。
「なにやってるんだ、くれよ。それじゃ食えねェだろ」
「なにやってるのよ、荷物置きなさいよ。手がふさがってるでしょ」
同時に喋って、は?と顔を見合わせた。
「…アンタまさか私に食べさせろって言うの!?」
「言ったとおりだろ。オマエの荷物で両手が使えないんだよ」
「置けばいいでしょ!!」
「面倒くさい」
「〜〜〜!!」
怒りの中にどこか甘さを覚えたのを無視して、ナミはラッピングをわざと乱暴に開けるとそれでも中のケーキをそっと取り出した。
ナミの手の中に収まったそれに、ゾロは身を乗り出してぱくりと食らいつく。
ガツガツと、本当に美味しそうに食べ出した。それを見ているナミが落ち着かない気分になる。さっきの獣みたいだと、ちらりと思った。
食べやすいように半分に割って差し出す。それにも何も言わず歯を立てた。ちらっとナミを見て、目が笑った。
自分の手からこの男がモノを食べているなんて、とても不思議だ。こんなこと普通じゃありえない。
「ちょ、ちょっと!私の指まで食べないでよ!」
「あ、悪い」
ゾロが自分の指まで口に入れたので、慌てて引き抜こうとした。
「甘いから、それもケーキかと思ったぜ」
「ふざけんなっ!」
通常のゾロなら絶対に言わないだろう事をさらりと言うので、ナミの方がジタバタと慌てた。
なんなんだコイツは。本当にゾロだろうか?だいたい人通りがないとはいえ、道の真ん中で自分達は何をやっているんだ!
「これじゃバカップルみたいじゃない…」
「何か言ったか?」
「何でもないわよ!早く食べちゃって!」
「せかすなよ…誕生ケーキを」
最後のひとかけらまで余さず食べてみせた。そればかりか、ナミの掌の上の残りくずまでペロリと舐め取ってみせる。その、れろりとした暖かい感触にナミは思わず飛び上がった。
「きゃっ!!!」
「意外と美味かったな。ご馳走様」
「舐めるなッ!!」
その満足しきった顔を、反射的にグーで殴りつける。ゾロは、はずみで手に抱えた荷物ごと後ろに倒れそうになった。
「ウガッ!な、なにしやがる!!」
「調子に乗るんじゃない!!」
舐められた掌が何故かジンと痺れて熱い。心臓がバクバクするのを、必死でこらえてはいたが頬の赤さは止められない。
「オマエなぁ…せっかくのプレゼントだから、残さず食べてあげようとしたんじゃねェか…」
「誰もそこまでしろって言ってないでしょ!ほら、帰るわよ!!」
「照れるなよ」
「ウルサイ!!」
ナミは空の袋をぶら下げて、さっさと先頭に立って歩き出した。その後をやれやれといったように、ゾロが荷物を抱えて続く。

「…ったく、動物なら舐められ放題さわらせ放題のくせに…」

ぼそりと小さな声で呟く。ナミがピタリと足を止めて振り返った。
「なんか言った?」
「別に」
空とぼけた顔で、立ち止まって自分を眺めているナミをゆっくりと追い越してゆく。
「……ちょっと待ちなさいよ!もしかして…アンタ…」
慌てて追いかけてシャツを捕まえた。
ゾロが、う〜ん?とのんびり振り返る。
「見てたんでしょ!!?そうでしょ?さっきあのケモノと遊んでるの!」
「…知らねェよ」
「ウソつきなさいよ!!どうもさっきからおかしいと思ったわ!!何処から見てたのよ!!まさか話まで聞いてないでしょうね!」
「あぁ?聞かれちゃマズイ話でもしてたのか?」
「ウルサイ!!」


ゾロはにやにやしながら、ひょうひょうと歩いていく。
その顔や、自分の手を舐めた時の感覚。
似てる。さっきのケモノに。

「……まさかね…?」

その恐ろしすぎる想像を半笑いでうち消すと、ナミは後を追いかけていった。


その夜、スカートに顔を突っ込まれたかどうかは秘密。




END


 

<管理人のつぶやき>
「インスタント悪魔の実」で狼になってしまったゾロ。身体環境激変にも関わらず、即順応しているゾロはさすがです(笑)。
見慣れない緑のけものを前にして、ナミが段々と新密度を増していく様子が微笑ましいですね。驚くほど素直になれて・・・。
自分の姿をいいことに、好き放題舐めまくるゾロ。ケモノだから当然の動作?でもとにかくすごく色っぽいのですよ〜v ゾロ狼がナミに乗っかってる間ずーっとドキドキしっぱなしでしたよ。

CARRY ONさまのゾロ誕『ZORO FEST 2002』てDLフリーとされた作品です。rokiさん、素敵に楽しい作品をどうもありがとうございました!

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