最近 『 愛 』が足りないなー、何て思ったりして
・・・・・これはワガママかなぁ?
〜 My Happy Happy Day 〜
雨月凍夜 様
日付は7月3日。
正真正銘、私の誕生日を指している。
サンジ君は朝からキッチンにこもって、今夜のディナーの用意をしてくれてるしウソップやチョッパーも、キッチンの飾り付けとかいろいろしてくれている。
あのルフィでさえも『今日一日は勝手に物(肉)を食べたりしない!』って言ってるし
( 今日だけってのが気になるけど・・・・ )
ロビンも朝一でおめでとうって言ってくれたわv
でもさ、それなのになんで・・・なんであいつだけは何も言ってこないわけ!?
かと言って私のために何かプレゼントでも・・・何て考えるやつでもないし
ああ、もしかして完璧に忘れてる?
十分あり得るわ・・・もー・・今年で何回目よ?
いい加減 『彼女』の誕生日ぐらい覚えなさいよー・・・!!
本当にいつか愛想が尽きるわよ? いや、これは嘘だけど。
・・・・こうなったら実力行使あるのみで!
** ミカン畑 **
階段を上がると、そこにはいつものように寝そべっている男の姿。
あー・・・幸せそうな顔してる・・・・
起こすのやめようかなーとか一瞬思っちゃったりするわけなんだけど
いや、いっつも思うのよ?起こす時は。
でもみんながバタバタしてる時とかにグカーッとか大口開けて寝られてたら
誰だって怒りがフツフツと・・・みたいな、ね?
ああ、でもやっぱり起こそ!
このナミちゃんの誕生日に、何故そんなに大口開けて寝ていられるかが不思議だわ!
てなわけで
「 ゾロー、もしもーし?」
「 ガーッ・・・」
「 オーイ?腹巻きー、三刀流―・・・!」
「 クカー 」
「 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・エロ毬藻(ボソッ) 」
「 んだとこら!?」
あら、すごい。って、やっぱり起きてたわけ!?
あれだけの小声で目が覚めるなんてさー・・・いつもの私の苦労はなんなわけよ?
まったく・・・・・・・次もこれで起こしてやろう・・・
「 何よ?あんた起きてたわけ!?」
「 チッ・・・・お前が俺に話しかける時はろくなことねぇからな 」
「 失礼ねー!まったく、あんた今日は何の日か知ってんの!?」
「 あ・・・・・・・・・・・?」
「 やっぱり忘れてる!?忘れてるのね!?」
「 いや・・・今日・・・・・・・・・?」
「 いったいどれぐらい付き合ってると思ってるのよ!!いい加減覚えなさいよ!!」
「 今日・・・・・・・何日だ?」
「 7月3日 」
私がそういった途端、ゾロの顔から血の気がサーッとひいていった。
そりゃぁもう、見事に。
裁判で死刑宣告をされたような加害者みたいな感じ?
あ、でもこいつらにそんな事はあり得ないわね。
ま、そんな事はどうでもいいのよ!!どうでも!!
ゾロのこの様子から察するに、私の誕生日の日にちを忘れてたことはないわね。
つまり・・・それが今日である事に気付かなかったと
「 で、どうするの?」
「 ・・・・・・・・・・・す、すまん(汗)」
「 忘れてたのねー、すっかり!自分の彼女の誕生日を?ふーん?」
「 ち、違う!忘れてはいねぇ!!今日っていうのに気付かなかっただけだ!!」
「 へぇー?今日のみんなの行動とか雰囲気とかで何かあるなー、とか思わなかったわけ?」
「 ・・・・・・・そ、それは・・・」
「 ま、一日中寝てばっかりじゃそれも無理な話よね。」
「 だ、だから・・悪いって言ってんじゃねぇか」
「 ま、よしとしましょ」
私がそう言った瞬間ゾロの顔が明らかに、ホッとしたように緩んだの。
うわー・・バカ正直―・・・でも可愛い・・・何て思ったりしたり・・
て、そうじゃないでしょ私!
この私が何の見返りにもなしに相手に好条件与える分けないでしょうが!
・・・・毎年やってる確認・・・・・・しますか
「 でもね 」
ビシッとゾロの目の前に指を一本立てて、私は言葉を続けた。
「 お願い、聞いてね?」
ニッコリと、自分でも最上級の笑顔だと思う表情でゾロに言う。
ゾロはグッと言う声(?)と共に表情を固まらせたけど、そんなことはおいといていいのよ。
どうせいつものことなんだから。
「 な・・何だよ?」
「 ん?とっても簡単なことよvたったの4文字でいいんだから。
ま、あんたにとっては修行より辛い事かもだけど?」
ゾロはその言葉を聞いて、訝しげに私を見た。
その顔には、まさか・・という思いがはっきりと浮かんでいた。
「 愛してる、って言って?」
ハァ〜という深い息と共に、ゾロがガックリと肩を落とした。
私そんなに変な事言ったっけ?
「 お前・・・それ毎年言ってねぇ?」
「 うん。」
即答。
そしてゾロは再び脱力。
「 ね、言って?」
私がそう言うと、ゾロは顔を上げてこう聞いた。
「 あのなぁ・・・・、何で毎年同じ事ばっかりするんだ?」
愛が、たりないなー と思って
「 何でだよ?」
体ばっかりじゃなくて
夜だけじゃなくて
たまには
昼間に
私の目を見て その言葉を言って欲しくて
「 なぁ、ナミ?」
「 言って?」
ゾロの疑問には答えずに、また同じ言葉を繰り返すと、
何を思ったのか、ゾロは私をヒョイッと抱き上げて、
その広い胸の中にスッポリと私の体をおさめてしまった。
「 ナミ 」
そして、その低くて少し特徴のある声で私の名前を呼ぶ。
それがすごく心地よい・・・・
「 ナミ 」
「 愛してる 」
思わず 涙が出そうになった
何て優しい声で言うんだろう
この人は
「 お前が何を不安がってるかしらねぇが・・・・ま、あらかた想像はつく。
どうせまたくだらねぇことで悩んでんだろ? 」
その言葉にちょっとむかっと来た私。
人が余韻に浸ってる時になんでそんなデリカシーのない事言うかなー・・この男
は
そんな事を考えつつ、抗議(反論?)してやろうと思って顔を上げようとしたら
体に回されていた手で、軽く押さえつけられた。
顔・・・・・向けれない・・・!!
「 でもな・・・俺は・・・その・・あの・・・・・あー・・・・・・・ 」
でえぇぇい!!はっきりしろ!!
ゾロに頭を押さえられてちょっとジタバタしている私を後目に、
ゾロは口の中で何かモゴモゴ言っている。
相変わらず重要な所でどっか鈍くさいんだから!
そんな時、ゾロの腕に、また少し力が入ったような気がした。
「 俺は・・・その・・・ちゃんと・・・全部・・・・・・・・・愛してるからな・・・ 」
思わず私は
その広い胸に顔をうめて、手をゾロの背中へと回してギュッと抱きしめた。
私の頭の上に置かれていたゾロの手が、また体の方に回ってきて
優しく、強く、ギュッと私を抱きしめた。
「 ゾロ、私も・・・愛、してるよ 」
きっと私、今すっごく顔が赤いと思う・・・・恥ずかし・・・
好きとか愛してるとか、今まで何回も言ってきたのに
心の底から伝えようと思うと・・・・・・こんなに恥ずかしいものだったなんて・・改めて認識。
それをゾロに毎年のように言わせてた私って・・・ある意味・・・すごくない?
ああ、でもそれを毎年言ってくれてたゾロに感謝。
こんなに恥ずかしいなんて知らなかったのよ。
私でもこんなに恥ずかしいんだから、あんたはたぶん・・・いやきっと、もっともっと恥ずかしかったと思うんだけど。
でもそれでも、言ってくれてたってことは・・・・そういうことよね?
ああ 私
愛 されているんだ
愛がたりないな とか思って
ごめんなさい
やっぱりそれはワガママで
あまりにも自分勝手な考えだったのね
私はこんなにも
愛 してもらっているのに
それからしばらく抱き合っていたのは覚えいるんだけど・・・・・
なんか・・気が緩んだのかしら?
どうもそれからゾロに抱きついたままで寝ちゃったらしくて。。。
気付いたらお日様とお別れの時間でした。
パーティーの開始を知らせる船長の声、もといそれを聞いて先に起きたゾロに起こされて
初めて自分は寝ちゃったんだって気付いた。
それからみんなが待っているキッチンへ
しっかりとゾロにエスコートさせて (本人は嫌がってたけど)
サンジ君に今まで何をしていたのかを聞かれたけど
それは内緒
いつの間にかパーティーは始まっていて、飲んで騒いで、歌って
プレゼントも貰って
今年も―――幸せな時間が過ぎていった
恋人の愛
仲間への愛
家族への愛
あなたは
愛 してますか?
END
<管理人のつぶやき>
愛、してるかなぁ?(激しく疑問形の管理人・・・)
周りはナミの誕生日のためにアタフタとしてるのに、まったく気づいてないゾロ吉くん。いや、それでこそゾロというべきか。ナミも付き合いの長さからそれは心得ていて、毎年ただひとつこの言葉を求めます、「愛してる」という言葉を・・・。
この男からのこの言葉は貴重品(笑)。言ってくれると本当に心に響きますねv
昨年のナミ誕でも投稿してくださった雨月凍夜さんからの投稿でした。
雨月さん、素敵なお話をどうもありがとうございました♪