ナミとは高1の時からずっと同じクラスだ。
いつからかは覚えてないが、気がつけばいつも一緒にいた。
もちろん、2人きりではないが。
「お前ら、つき合ってんじゃねーの!?」と何回聞かれたことか。
その度に二人ともムキになって否定してきた。
もし次に同じ事を聞かれたら、「そうだ」とうなづいて、あいつを驚かせてやろうかと思うこともあった。
でも、もしあいつが本気で否定したら
いや、千が一、あいつも平然と「そうよ」なんて言ったら
一番困るのは、このオレだ。
クラスメイト −1−
ぞの 様
今日もうだるような暑さだ。
まだセミも鳴き始めてないというのに、日差しは強く、湿度も高い。
「もーらい」
オレと同じくらいに汗だくになった飲みかけのコーラ缶を、ひょいと取り上げ、ナミはそれを一気に飲み干した。
「全部飲むな、バカ」
「もう遅いわよ」
そしていつものようにくだらない口げんかが始まる。
「あー、お前のせいで余計な汗かいちまった」
ナミはふいとそっぽを向くと、小さな風を起こして教室を出て行った。
オレは顔の肉をぐいと持ち上げるようにほおづえをついて、ふて寝する。
程なくして、ヒヤリと首元に冷たい刺激が走り、ビクッとして目を開けると、コーラ缶をオレにつきつけて、ナミが立っていた。
言葉に詰まって、無言で受け取ろうとすると、ナミはおもむろに缶を開けてごくごくと飲み始める。
「ほら」
飲みかけのコーラをオレに渡すと、ナミはこれで貸し借りなし、と言いたげな表情で笑う。
「……カロリーオフかよ」
やっと出た言葉がこれか、と心の中で舌打ちする。
それでもナミは笑ったまま、オレの隣の席に座った。
缶の飲み口は、ナミの唇の形で水滴が丸くぬぐい取られていた。
それに気づいて一瞬ためらったが、ナミに背を向けるようにして缶に口をつける。
炭酸がのどにしみて、むせ返りそうになるのをこらえると、腹の奥、いやもう少し上、胸の奥あたりでシュワシュワ音を立てているような気がした。
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