They are PIRATES  −2−

                               
味海苔 様


俺はナミのことが好きなのか。どこが。どれくらい。俺には野望がある。くいなとの約束。それと比べてどれくらい。そもそも、あいつを女と見ているのか。それとも仲間として…?
くそ、キリがねぇ。瓶を逆さにしてみるが、ただ数滴の酒が垂れただけだ。ゾロは瓶を暗い海に投げ、手摺に寄りかかる。
と、耳元に何かが飛んできた。左手で受ける。風で3連ピアスがしゃらり、と音を立てる。左手の中には熟れた蜜柑。来たか。
振り返れば、やはりオレンジの女。階段の上から腕を組んで見下ろす、その勝ち気な視線。ナミだ。
「今日はあんたに話があって来たの」
「ほぅ、奇遇だな。俺もお前に話がある」
女はふっと口元だけ笑い、続ける。
「あんた、最近あたしのことをずっと見てたわよね。でも、振り向けば目を反らす」
とん。女は1段、階段を下りる。
「目が合うのが怖いの?」
とん。
「これじゃぁまるで、片想いの中学生だわ」
とん、とん。
「本当のことを言って。あたしに惚れてるの、ゾロ?」
とんとん、とん。
女は階段から下りた。青白い月光が、その姿を照らし出す。
すらりとのびる、白い脚。丸く包まれた未知の場所。細くくびれたウエスト。それとは対照的に、豊満に実った胸。綺麗な鎖骨。そして、微かに開く濡れた唇と、真っ直ぐにこちらを射抜く瞳。
ゾロは、知らず足を踏み出し、ナミの元へと来ていたことに気付く。又、もう1つのことにも。
「ナミ、どうやら俺はお前に惚れているらしい」
ナミの肩に手をかけ、耳元で囁く。
「お前はどうなんだ、ナミ?」
「…あたしも、よ」
ゾロの唇が、ナミのそれと重なる。と思いきや、ナミの手がゾロの胸を強く制した。ゾロの眉間の皺が深くなる。
「何故だ」
「ゾロ、あたしにはまだ夢が見える。」
女の顔に、魔女の笑みが浮かぶ。
「つまり、まだ駄目よ。あたしの目に、あんた以外の何も、夢さえも映らなくなるほど深く、あたしを堕とすまでは」
離れていく腕を掴んで抱き寄せ、ゾロは魔獣のように笑う。
「必ず手に入れるさ。俺は海賊だぜ、気を付けろよ」
「あら、あたしだって海賊よ。奪えるものなら奪ってみなさい」
男は暴れる女を軽々と抱き上げ、背後の暗闇へと消えていく。

今宵を知るは、ただ月ひとつのみ。




FIN


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<管理人のつぶやき>
視線を送る男とそれを感じ取る女。あとは少し背中を押すだけで・・・。男と女として、真剣に向き合うゾロとナミの姿が美しかったです。最後のやりとりはこれぞ海賊、ですね!^^

【投稿部屋】の投稿者でもある味噌様が投稿してくださいました。なんと味海苔さんの投稿はこれで6作品目。こんなにたくさん、どうもありがとうございましたーーー!!



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