いい女だ……けど、勿体ねぇ。

そう、思ってた。

ずっとだ……お前を初めて見た時から。

その程度じゃねぇだろ?
それくらいで我慢出来るタマじゃねぇよなっ!

わかってたんだ…ハナっから。

だから、俺が教えてやるよ。


何を?って、決まってんだろ………






ミイラ取りはミイラになる覚悟が必要  前編
            

CAO 様



「止めてっ!こんなとこで。」

「いいだろ…お前だって嫌いじゃ無い筈…」

「嫌っ!…それ以上私に触るなら、もう終わりにするわよ!別れましょ。」

「わ、分かったよ。…おい、何処行くんだ?」

「化粧室!私が戻るまでに、頭冷やしてなさいッ。」

女は怒り心頭の顔付きで、バーカウンターを離れた。置き去りにされた男に、お代わりの水割りグラスを渡す緑色の髪をしたバーテンダーは、悲哀の色を映した深緑の目で男を見ていた。

「なんだ?」

「…いえ、別に。ただ…」




「……ヘタクソッ!」

ナミは誰に言うでもなく、悪態を吐いていた。

薄暗い化粧室で鏡を覘くと、其処にはオレンジ色の髪に縁取られた魅惑的な白い小さな顔があった。意思の強さを見せる大きな鵄色の瞳、ツンと鼻筋の通った鼻梁に仄かな薔薇色をさした頬、それに、ふっくらとして艶のある唇。それら鏡の中に同居した全てが、今は憎らしい。

容姿を誇るつもりはない。けれど、この外見のせいで男に困った例しはなかった。
どんな男も彼女を手に入れるため多くの手管を使うが、手に入れるとすぐにモノ扱いを始める。
ナミという名の極上のアクセサリーを自慢したいだけの、安い男になり下がる。

もっと、心が欲しい。
…なんで、直ぐに躰を欲しがるの?
もっと、気持ちが通じ合ってからでもいいじゃない!
…それが駄目なら、気持ち良くしてみなさいよっ!
セックスなんかスポーツと同じ、ただの格闘技じゃない。
そんなに運動が好きなら相手になってやるわ。ダイエットになってちょうどいい……


ナミの想いは、虚しく鏡の向こう側に吸い込まれて逝く。鏡の中には、皮肉な笑みを称えた自分がいた。
自分自身を嘲笑う、その滑稽さに情無くなってしまう。

一呼吸吐いて化粧室から出る。

前方確認を怠っていたナミは、大きな物体にぶつかった。
よく見ると…人?右手に雑巾、左手にバケツを持った黒い陰に、狭い通路が塞がれている。
「ごめんなさ…」といいかけた時、


「お前の連れ、帰ったぜ。」

と、話し掛けられた。
虚を付かれ、言葉を失うナミに続け様に話す男。

「追い掛けるなら、金払ってからにしてくれ。」

「なんで?私が二人分…」

「いや、ヤツは払ったから、お前の分だけでいい。」

「そういう問題じゃなく…アンタに言っても仕方ないわね。」

一瞬目眩がした。呆れた男だと思い、そんな陳けなヤツに今夜この身を投げ出そうとしていた自分に、飽きれて溜め息が出た。

「……振られたか?」

「なんですって!」

プライドを少なからず傷付けられたナミは、立ち塞がる男を睨みつけた。
薄暗いバーの通路でははっきりしないが、かなりの長身でガッシリした体躯だ。この店の制服を着ているところをみると、バーテンダーの一人のようだ。多分ナミと男の口論を聞いていたのだろう…余計なお世話だと言いたくなった。

あからさまにムクレた表情で見上げてやると、その男は肩をすくめ塞いでいた通路を譲った。
そして、擦れ違い様に呟いた。
しかも、ナミの耳元に思いっきりその唇を近付け、息がかかる程の至近距離。


「俺なら……いつでも相手になるぜ。」


「アンタ…何よっ!」


「俺は、ゾロ。」


「別に名前を聞いてる訳じゃないわっ!」


「そうか?……いつでもったけど、今日はまだ仕事だからな〜。悪リィが、またな。気が向いたら、来いよっ!」


あまりに呑気な調子で話すゾロに、気が削がれてしまったナミは怒りも忘れ呆れてしまう。

ポカンと口を開き、相当間抜けた顔を晒していた。

その顔を愉しげに暫く見つめた後、ゾロが男性用化粧室に姿を消した。

「な、何なのよ………。」

化粧室に入る瞬間逆光で見たゾロの横顔が自信ありげで、胸の辺りがザワついて妙に苛立った。

ナミはそのドアに向かい叫んだ。胸の中の波立つ気持ちを収める様に。


「絶対来ないっ!」





……そうはいかぬが、社会の常。


一週間後。ナミはこのバーへ、会社の上司に連れて来られた。何人かの同僚と共に……ボックス席に陣取り、何と無くゾロを目で追う。すると…
バーカウンターの隅でグラスを拭きながら、客と談笑していた。OL風の二人連れ。いかにも、ゾロ目当てといった感じの。…ナミには一瞥もくれず、愉しげに。

(気付いて無いの?)

先週あんなに間近にあった筈の男の姿が、やけに遠くにあるようで、からかわれた悔しさに歯咬みした。


翌週。後輩に誘われ、またこのバーを訪れるハメになった。その後輩はゾロ目当てだった様で、カウンターに並び座るナミにシキリとゾロについて感想を聴かせ
てくれた。
殊に、その容姿について。

「素敵だと思いません?切長の緑の眼に、筋の通った高い鼻。ガッチリした顎のラインにクールな薄い唇。あの緑の短髪から見える項は中々だし、綺麗な形の耳にある金色のピアスがまたセクシーで。3本してるとこなんて、センス感じちゃう…」

ゾロは売れっ子の様で、ナミ達の元にやって来て注文を取り始めたのは、ラストオーダー間近。
しかも、先々週の出来事など無かったかの様に、淡々とした態度で後輩とばかり話し続けた。


(何よっ!コイツ……。)



そして、次の週も…
今度は以前からナミに言い寄っていた男と共に、訪れてしまった。
ナミはしつこく口説く男の隣で、その言葉を軽くかわし、時折辺りを見渡す。

するとカウンターの向こうから、絡み付く様な視線を送るゾロがいた。

声をかけるでもなく、ただ見つめているだけ。

その眼差しに耐えられなくなり、また化粧室へ逃げ込む。


(…こっちは客なんだから、逃げる必要ないっ!)


思い直して席へ戻ると、連れの男が消えていた。



その後も何度か顔を出すが、ゾロの様子は変わらない。
ナミに話しかけるでもなく、見つめているだけ…熱く絡み付く視線を、その深い緑色の瞳で。
女同士や同僚と一緒だと、ナミ以外の連れと親しげに会話する。とても紳士的な態度で。
ただ不思議な事に、男と二人で行くと、必ず連れの男に置き去りにされてしまう。




そんなことを続ける内に、初めてゾロと話してから二月近くが経過しようとしていた。


その日ナミは、胸の中にある思いに決着を付ける為に、初めて一人で店に足を向ける。


(何だっていうの?誘ったくせに、何にも仕掛けてこない。そりゃ、店の規則とかあるのかも知れないけど…他のお客とは仲良くしてるし。て、いうか、じゃ、あの視線はどういう訳?「ヤリたい」って、言ってるようなモンじゃない!全く、男なんて皆そうなんだから……私の気持ちナンテ…それより、なんでこの店に来たら男が消えるのよっ!お陰でモテモテナミさんが、珍しく男日照りよっ!絶対何か在るに決まってる。ゾロってヤツが関係してるに違いないわ。そうよっ、確かめてやるわ。必ずアイツを落として…じゃない、問い詰めてやるんだからっ!今日こそは……)





マホガニー製の黒光りする重厚な扉を押し開けば、黒いスーツに身を包んだ案内係のウェイターが「いつもご贔屓に」と声を掛けて来る。

ナミはエントランスから薄暗いバーの店内を一眸し、目的の男を見つけた。

相変わらず涼しい顔で、かなり年重の女性客にカクテルを供している。


「一人だから、カウンターでいいわ。」


頷くウェイターに先導され、目的の男から目を離さず席に着く。


「ご注文は?」


ナミの前に立つバーテンダーは、少し気弱そうな鼻の長い男だ。


「ノック・アウト。」


ナミは挑戦的な眼差しを、深緑の瞳のバーテンダーに向けたままオーダーする。

「お客様、こちらのカクテルは、ジャック・デンプシーという伝説のボクシングチャン…」


「ジーン・タニーでしょ。知ってるわ。早く作って!」


「ハ、ハイッ。」


(そうよ、伝説のチャンピオンをノックアウトした祝勝会で出されたカクテル。だから、これを選んだのよ。…これから、アイツをKOするため。その、前祝いに。)



ナミはいつの間にかゾロを問い詰める事よりも、ゾロが自分に向ける視線を止めさせる事の方に躍起になっていた。
ナミ自身を落ち着かなくさせる、不安にさせるあの絡み付く視線を。


店内に入ってからずっと、ゾロも彼女の存在に気付き、見つめ続けていた。

時折客に話し掛けられ視線を外すが、終われば直ぐに視線はナミに戻ってくる。
もの言いたそうな、否、舐める様な視線。まるで全て見透かされ、裸にされる様な気がしてくる。


それに負けじと、敢えて挑戦的な視線を送る。
ナミは精一杯の虚勢を張り、目を反らせば負けだと自分を鼓舞していた。



だから、二人の視線は、絡み合ったまま。




「お待たせ致しました。」


声を掛けられ、目の前に出されたカクテル。
「ありがと」と礼を述べ一気に煽る。すると


「いい飲みっぷりですねぇ。こりゃ、中々の酒豪で…」


「お代わり頂戴っ!」


長鼻のバーテンダーの話を遮るように注文をする。
今日のような気持ちでなければ、お喋りは嫌いじゃないナミだが…悪いとは思いつつ強い口調になってしまう。

二杯目を作り終えた長鼻は、ナミからそっと離れ緑色の髪を持つ男の元で何か話している。


話し掛けられた男は、人の悪そうな笑みを称え、ナミをジッと見据えた。


そして徐に、ナミの方へやって来た。



皮肉な笑顔のゾロが言う。

「うちの新人イジメねぇでくんねーか?」


「イジメてなんか……」


ナミのグラスを見つめ呟く。


「ノック・アウトか!…似合わねモン飲みやがって。」


「何よ、その言い草!」



「お前にピッタリのカクテル、俺が作ってやるよ。」


「アンタ、私はね…」


「まあ、待てよ。一杯やってからにしろ。」


「分かったわ………早く作ってよ。」


ゾロの決して太くはないが節くれ立った指を眺めていた。バースプーンを薬指と中指で器用に挟み、上部に添えられた人指し指と親指が柔らかく回転させている。綺麗な音楽を観ているようだ。同量のラムとベルモットがステラされて行く。
グラスの中で混ざり合う液体が、妙に生めかしく映る。ゆっくりと引き抜かれるバースプーンと、その螺旋部分にあるゾロの指先から目が離せない。
そして、完成されたカクテルがミキシンググラスから、カクテルグラスへ注がれる。静かに。
見るからに無骨そうなゾロの手から、こんなに繊細な液体が生まれてくる…一種不思議な光景。


「どうぞ。」


差し出されたグラスを奪う様に手に取り、紅く琥珀色の輝きを持つ液体を眺める。


「……頂くわ。」


唇を小さく開き、ほんの少し口内へ流し込む。見た目より甘味の薄いアルコールが、口中に広がりナミを妖しく溶かしていった。


「おいしっ…これ、なんて名前?」


「ポーカー…正式名称『リトル・プリンセス』……お前にピッタリだろ?」


「小さいお姫様って!アンタ、馬鹿にしてんの?」


「いや………。」


また、あの絡み付く視線を近くに感じ、目を反らせそうになる。
しかし、負けるもんかと強い気持ちでぐっと堪え見返すと、ゾロの瞳の中に優しげな色があるのが見て取れた。

引き込まれるような深緑の色に、つい頬が染まる。
自分でも自覚するくらい。
その事実を打ち消す為に、殊更ナミは強い口調で話す。


「私は、アンタに話しがあって来たの。」


「へぇー。」


「アンタッ、聞いてんの!大体アンタは…」


「ゾロだ。…アンタじゃねぇ。」


「……ゾロ。」


名前を唇に乗せ声にすると、また更に頬が熱くなる。これは、アルコールのせいだ、そう自分に言い聞かせるナミ。



「そう、それでいい。」



ハスキーな声で諭す様に返され、宙に浮いた気がしてナミはシドロモドロになってしまった。


「だ、だから聞きたい…知りたい事があるのよ。教えなさい…」


「ここじゃ、ナンだな!場所変えるか?」


「別に……いいけど。」


そんな誘いに簡単にOKしてしまう自分が、信じられない。何故なのか、ゾロの言葉には逆らえない、逆らいたくない自分がいる。


「着替えて来るから、ここで待ってろ。」


「仕事は?」


「あ?…いいんだ。俺この店辞めてっから。」


「じゃなんで……」


「新人教育つうか…まぁ、詳しい話は後だ。とにかく待ってろ!直ぐに来る。」

そう告げると、もう一杯『リトル・プリンセス』をナミに手渡し、店の奥へ消えた。
手渡す際、ゾロの指がナミの手に触れたのは、故意か偶然か?ただ、カウンターに一人残されたナミの手に、その感触がはっきり残っていた事もまた事実だった。





「悪リィ。待たせたな。」


小さなお姫様を右手で揺らしながら、その手に残るゾロの感触を辿る様に左の人指し指でなぞっていた。
何故だか胸が熱くなって、あの瞳に映る自分を夢想して、口付ける様にカクテルを飲み干したところで、タイミングよく声がかかった。


「んっ?あっ?」


うろたえるナミの視線が、まともにゾロと重なる。発する言葉も見付からず、ついつい囁きにも似た音が、喉をついて出た。


「随分とまた……色っぽい声が出るもんだな?」


「なっ!」


一瞬にして我に還ったナミは、真っ赤になって反撃の狼煙を上げようとした途端、唇を塞がれた。

カクテルを作っていた、その指で。

先程ナミの手に触れた、その指で。

ゾロの右手の人指し指が、ナミの唇に乗っている。


ほんの触れる程度なのに、声が出せなくて……。


「此処で大声はマズいだろ?場所変えて、全部まとめて聴かせて貰う。…それ迄、取っとけ。」


「………。」


頷くナミ。

その時、指が代わる。

人指し指から、親指に。

ゆるりと唇をなぞる。

誘いを掛ける、そんな風に。
思わず、吐息が漏れそうになった……。


ゾロは愉しそうに目尻を下げ、口許を綻ばせていた。

悔しさと気恥ずかしさで、ナミはうつ向く。


(遊ばれてる…赦せない。私を誰だと思ってるの?…アンタがその気なら乗ってあげる。上等じゃない?受けて立つわ。けど、分かってるのかしら、ミイラ取りはミイラになるの!このままじゃ済まさない…私の自尊心に傷を付けた事、後悔させてあげるわ。本物のミイラ取りは、私よ。見てらっしゃい……)


ナミの誓いを知ってか知らずか、ゾロはナミの頬に迄その触手を伸ばす。


決意を胸に顔を上げたナミは、その鵄色の瞳に妖艶な光を宿していた。

そして、頬にあるゾロの指に自分の白く細い指を絡ませ、金色に光るゾロのピアスの耳元に息を吹き掛ける様に囁いた。


「早く、行きましょ。」


その声に誘われたかの様に、ゾロの腕がナミの腰にまわされ、引き寄せつつ返事を返す。


「あぁ、行こうぜ………一緒に。」


「……えぇ。」




ゾロは引き寄せたナミの腰に、強く指を食い込ませ鷲掴む。上着の上からでもわかる括れは、指の力くらいでさえ潰してしまうのではないかと不安にさせる程、繊細な感触を与えてくる。


(やっぱ、思った通りだ……何も感じねぇ、ってか。勿体ないな、イイ躰してんのによ。……でも、考えようによっちゃ、その方がいいか?)


名残りはあったが、ナミの腰から腕を解く。
改めて腕を差し出すと、ナミは自分の腕を絡めてくる。
組んだ腕を見て、小さな姫君のエスコートをしている気分だ…と、ゾロは薄く苦笑を洩らした。

しかし、男としてはこの先を期待する事は事実で、つい急ぎ足になりそうな気持ちを堪え、ゆっくりエントランスへ足を運ぶ。
すると寄り添う形で、ナミもまた追従してきた。

薄暗いが間接照明の効いたバーの店内は、毛足の長い深紅の絨毯が敷かれ、そこを歩む者への配慮からか、隣接する席の間に障害物は一切無い。

真っ直ぐに延びた店内の通路を、二人は歩いて行く。その姿はまるでバージンロードを歩くかの如く。
時折、互いを盗み見ながら。

無言の駆け引きが幕を開けていた。


((……どう料理してやるか?))


互いに思う事は同じだと、二人は気付かぬまま歩を進める。

盗み見た視線がかち合えば、ニヒルな笑みと艶っぽい笑みが重なり合い、互いの戦意は上昇していった。





エントランスの扉に着いた時、声がかかった。


「ゾロ!」


振り返ると其処には、ナミを迎えてくれたウェイターがいた。

少年然とした顔付きに、更に恥ずかしそうな笑みを称えて。


「おっ、チョッパー。良いところに……鍵だ!」


「おっ、おう!」


手を出すゾロの前で、チョッパーと呼ばれた男は、慌てて服のポケットをあちこち探し、漸く目的のモノを見付けると、それを渡しながら言った。ナミの顔をチラリと覗いてから。


「…間に合ったのか?良かったなっ!」


「ったりめーだ。」


「俺、ウソップんとこか?」


「そうしてくれると、助かる。」


「よし、分かった!きっとウソップも喜ぶぞっ。」


「安心しろ。俺は、期待は裏切らねぇ主義だ。」


「うん。頑張れよ、ゾロ!」


重い扉を軽々と開き、ゾロに促され店をあとにする。少し見えない会話に後ろ髪が引かれ、中を振り返ると、チョッパーが満面の笑みでナミを見送っていた。


「ねぇ、何の話、今の?」


「ありゃ、その……後だ後。兎に角乗れ!」


店の前に横付けされた大型バイクを指差し、ゾロがヘルメットを投げて寄越す。
一瞬スカートに目をやられ、躊躇しかけたナミに気合いが入る。
受け取ったヘルメットを被りつつ、ひとつ深呼吸すれば、負けず嫌いのナミの性格が顔を覗かせる。


(まっ、いいわ。これからじっくり聞かせて貰うから。グウの音も出ないくらいにしてあげるんだから。アンタをよ…ゾロ!)


短いスカートを気にする事なくバイクに跨り、躰を預ける勢いでゾロに腕を回す。しっかり後ろから抱き締める。
自慢のバストを押し付け、男の腹筋をまさぐる様に。

それに応え、ゾロはナミの手を指でつうっとなぞり、

「出すぞ。しっかりつかまってろ!」

と呟く。

そのまま、エンジン音を響かせ、夜の光溢れる街へ、バイクは走り出した。

互いの期待と不安を乗せ、目的地を目指し。




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(2006.04.03)


 

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