The Love Trial 後編
プヨっち 様
ロビンの見張り番が再び巡り、ゾロはこの夜また女部屋のドアをノックした。
「…どうぞ」
「おぅ」
「今日はね、こんなモノ用意してみたの」
「…?」
ナミが手にしているのは、プラスチックの容器に入ったラブ・ローションだった。宣伝文句には『少量を塗るだけで元気のない息子は固くてビンビン状態に早漏にもバッチリ』とある。
「お前、いつそんなのを…」
「カモメ通販で、つい…ね。今はこんなのも通販で買えて便利よねっ」
恥ずかしさを隠すためか、ナミはカラカラと精一杯明るく笑った。
「うし、試してみるか…?」
「うん」
早速2人は服を脱ぎ、ベッドに腰掛けて万全の体制に入った。
「えっと、これをこのくらいの量手にとって…と」
ナミは手のひらにサクランボ大のローションを出し、それをゾロの男根に塗りつけた。
「お、なんか変な感じが…」
「効いてるのかしら?けっこう高かったもの、コレ」
しかし、少しの刺激を感じながらもそれが大きくなることはなかった。
「高かったのに、悪ィな…」
「そんなこと、別にいいわよ」
金のこととなるとガメつくなるナミとは思えないほどの、優しい声色である。
「でも、なんでだろう…やっぱり、私に原因があるんじゃ?ゾロって健康そのものって感じなのにね」
「お、お前のせいじゃ、絶対ねぇよ!」
先日ロビンの裸に半勃ちしてしまった後ろめたさから、つい大きな声を出してしまう。
ローションが乾いてしまい、しばらくの沈黙の後ナミは軽く、ちゅっとキスして腰掛けているベッドに仰向けになった。
「でも私、考えてたんだけどね…別にいいわ、あんたとセックスできなくても。そんな理由で、嫌いになったりできないし」
「ナミ…!?」
「今までみたいに、キスして、ぎゅって抱き合えれば十分幸せだもんね」
ナミは、はにかんだように微笑んでからゾロの首に腕を回し、ぎゅぅっと抱きしめた。
ゾロは思いがけないナミの言葉に驚きながらも肩の力がスーっと抜けていくのがわかった。
一枚の布も介さず、肌と肌が触れ合っている。
逞しい胸板に柔らかく弾力のある乳房が触れた時、ゾロは頭のてっぺんから身体の中心までが一気に熱くなるのを感じた。
「…ん?あっ…!?」
「え…?」
奇跡は、その時起こった。
確かに、ゾロのそれは熱を持って硬くなってきたのだ。
「ゾロ…!まさか!?」
「ナミ…!!」
ゾロは貪るように激しく、深く口付ける。
ナミもそれをすぐに受け入れ、息が上がるほどにゾロの舌を欲した。
「ん、っはぁ…」
絡めあう舌が、音を立てる。
そのまま、2人はベッドに横たわった。
その後は驚くほど自然に身体が反応する。
耳や首筋を舐められ、ナミの鼓動は速くなって更なる快感を求める。
胸の先端を咥えられ、指で摘み上げられて「あ…ん」と声が漏れた。
「ダメ…そこ、弱いの…」
「…知ってる」
ゾロは指と舌を巧みに使ってナミを喘がせる。
何度もセックスに挑戦してきた中で、ナミの弱い部分はほぼ把握できていた。
そしてナミの潤っている秘部にもう片方の手を這わせ、勢いをつけて指を捻じ込む。中の壁に与えられた異物感で、ナミは思わずシーツを鷲掴みにした。ゾロは入るところまで指を押し入れ、中をゆっくり掻き混ぜた。
「ひゃっ、あ…はぁ…んっ、あぁっ…!」
ナミの喘ぐ声を頼りに、ゾロは一番敏感な所を執拗に指で擦るように刺激した。
ゾロがいったん指を引き抜くと、そこからまた透明の蜜が溢れてくる。
「ゾロ…も、いいよ…?」
「いや、まだだ…」
そう言ってゾロは、舐め続けた胸の辺りから顔を下腹部へとずらした。
何度かされてもまだ舐められるのに慣れないナミは、襲ってくるだろう激しい快感に一瞬だけ身を強張らせる。
ゾロは秘部を指で左右に開き、舌を出してそこに這わせた。まずは舌先で赤くぷくりと膨らんだクリトリスを弄び、そして中の壁へとピチャピチャ音を立てて移動させる。
「ん…やぁっ…ソレ…やめっ…んん…」
気の遠くなるような快感が何度もナミの身体を巡り、シーツを掴む手にも力が入らなくなっていく。
再び溢れ出す愛液を舌でペロリとすくい、ゾロは顔を上げてナミのよがる顔を拝んだ。
「そろそろ、いくぞ…」
「え?あ、…うん」
今度こそ、とゾロは自分の股間に視線を落とすと、そこは立派に自己主張していた。どくどくと血管は脈打ち、硬さも大きさも普段とは比べ物にならない。
「すご…!全然違うのね。大きい…」
「待たせて、悪かった」
「ううん…ね、来て」
ナミの微笑みに頬を緩め、避妊具を装着したゾロはゆっくりと繋がれる瞬間を味わった。
脚を左右に大きく開いたナミは先端が挿入されるだけで嬌声を上げ、ゾロの全てを迎え入れる。
指や舌では届かないナミの未知の領域に、そそり立つペニスが侵入した。
「は…うぅぅ…んっ…あぁっ…」
「大丈夫か?…動くぞ」
「んっ…」
ゾロはナミの腰を掴んで自分が前後に揺れ動く。それに合わせてナミもゾロの肩を強く掴んで腰を振り、声を上げ続けた。ヌップ、ジュップという淫らな水音と共に、不規則に肌と肌のぶつかる音が深夜の女部屋に響く。ゾロの動きがスピードを増し、いよいよ激しく小刻みになると、ナミの背中が大きく仰け反った。
「イ、イっちゃ…う…かも…!」
全身に力が入り、これまでにない程の大きな声をあげたナミは、快楽の頂点へと
上りつめる。
「…くっ…はぁっ…!」
ゾロの動きが止まりナミの腰を掴む力が少し弱まったとき、ゾロも絶頂を迎えてナミの上にゆっくりと覆いかぶさった。
互いの荒い息が首筋にかかってくすぐったい。
「ハァ…でき、たね…」
「あぁ…やっとな」
「まだ、出来そう?」
「当たり前だ。これまでの分…溜まってたからな」
2人は笑って抱きしめ合った。
火照った身体が、再び熱を帯びる。
ナミは下の方へと体をずらし、ゾロのものに手を伸ばした。
なかなか勃起しなかった間に練習までしたナミの指使いは、最初とは全く違って巧みにゾロの敏感な場所を刺激する。
ナミの手の中でそれは一気に膨らみ、硬くなっていった。ナミが口に含み、舌を這わせるとゾロは強烈な射精感に襲われる。
「ナ、ミ…もう…いい…っ」
それを何とか堪えて、ゾロはナミを自分から離した。
自分の唾液と先から少し出てきた精液で口の周りをベトベトにしたナミが、顔を上げる。たまらなく愛しさがこみ上げてゾロはナミに深く口付けた。
もう一度挿入を、とコンドームを探った視線の先に、カモメ通販で購入したラブ・ローションが存在を主張していた。
その容器には先ほど読んだ宣伝文句の後には、こう続けてある。
『彼女に一塗りすれば、潤いと刺激で豹変!まさに二人には欠かせない逸品です』
「…へぇ」
ゾロは片眉をピクリと上げる。
そしてローションを手に取り、自分の指に絡ませた。
「ゾロ…?」
急に動きが止まったゾロを訝しげに見遣ったとき、ナミの中にローションで滑りの良くなったゾロの指が挿入された。
指からの刺激だけではなく、触れられた表面が次第にピリピリと痺れるように感じた。
「な…に、コレ…!!すごっ…うぁぁ…んっ!」
ただ指で掻き混ぜられているのとは違い、触れられるだけで気を失いかけるほどの快感がナミを襲う。あまりの気持ち良さから声すら出せず、息をするのもやっとだった。
「さすが、高かっただけのことはあるな…」
頭を横に振るほどに善がるナミをゾロは恍惚の表情で眺めた。
それからまたローションを取り出し、自分のものに塗ってみる。
みるみるうちにそれは硬度を増した。
1回目のときのようにゆっくりではなく、勢いをつけて一思いに突き上げた。ローションで感度の上がったナミと更に強靭になったゾロに、その衝撃は激しすぎたかもしれない。悲鳴じみたナミの嬌声が部屋に響き、ゾロも存分に潤いながらもきつく締め付けてくる肉壁の抵抗に呻き声が漏れた。
激しく前後に揺さぶる度に、ナミの目には生理的に出てしまう涙がにじみ、何度も何度も絶頂を迎えた。
しかし、ゾロは早漏防止効果もあるローションを塗ったためか1回目より激しく動けている。
動きをさらに速めてようやく射精感に襲われた時、強く突き上げて果てた。
「も、だめ…気絶しちゃう…かと、思ったわ…」
「お前、すげー喘いでたぜ?」
「だって、気持ちよかった…のよ…」
意地悪い笑みを浮かべるゾロにそう言われ、ナミは急に気恥ずかしくなって声が小さくなった。
「上手く言えねぇけど…今日お前を抱けて良かったっつーか…」
「うん。今日だから、良かったって気がする」
2人は同じ達成感と充実感を味わっていた。
最初に意気込んでいる時に結ばれていたとしても、このような気持ちになることは出来なかったのは確かだ。
「なんか試練をクリアしたって気分だな」
「…こんな試練なら、悪くはないわ」
「そう…かな」
「そうよ」
勃起障害は若い男にとって大問題である。そのため一時的であったとは言え、ゾロは「悪くない」と言い切ることが出来なかったが、ナミはあっけらかんと言い放つ。
その笑顔を見ているとゾロも、そんなことはどうでもよくなっていた。
余韻に浸るのも束の間で。
いつの間にか2人は抱き締め合ったまま眠っていた。
FIN
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<プヨっちさんのあとがき>
ゾロがインポですいません…!!一時的に、ですけど。
性描写って初めて書いたのですが、凄く難しいです。
きっとこれが私の限界です…。
長い話になってしまいましたが、読んでくださってありがとうございました! |
(2004.07.16)