愛で汚したい  −1−
            

びょり 様




突然の嵐に遭遇、あっちゃふらこっちゃふらしつつ、荒波掻い潜って参りましたGM号。
朝も過ぎて辿り着いたは、こんもり緑に覆われた小山が中央に聳える如何にもな無人島。
島に辿り着いたら即探検・食材補給の精神に則り、メンバーの内船番はロビンが、他2名づつのグループに分れて出かけたのでありました。


「見ろー!ナミ!!すっげー大漁だぞ!!」

岩場で釣糸垂らして漁業に勤しんでいた船長が、少し離れた砂浜で潮干狩りしていた相方ナミに呼び掛ける。
得意気に、釣った魚で満杯になったバケツを前に突き出してくるルフィ。見れば黄色と黒の縞々の、腹膨らまし真ん丸な小魚ばかりが、びちびちびちびち推定40尾程。

「駄目よルフィ、この魚は食べられないわ。この魚はね、毒を持っているのよ。」
「何ィ!?毒を盛るのか、この魚ー!?」
「魚が毒を盛る訳有るかー!馬鹿者ぉー!!」
「ぐほぉっっ!!」

―げしいっっと一発、ナミ渾身の力を込めて『ブーメランフック』!

腹に決められ、持っていたバケツごと吹っ飛び、ルフィ、敢無く砂浜に沈む。

「その魚はね、『ガラナリゲインフグ』って言って、微量だけど毒持ってんのよ!食べても死ぬ事は無いらしいし、身は淡白で美味しいって話だけど・・毒持ちと知ってて食べる事も無いでしょ?だから諦めなさい!」

言うだけ言うと、ナミはさっさと背を向け、熊手片手に潮干狩りを続ける。

しかし・・危険だから脱水槽に手を入れちゃいけません、と言われりゃ入れたくなるし。
缶コーラを冷凍庫で凍らせちゃいけません、と言われりゃしたくなる。(良い子は真似しちゃ×)
食べちゃいけない、と言われりゃ、そりゃあ食べたくなるのが人情というもの。
自分の周りに散らばり落ちた、びちびちはねはね縞々小魚・・せっかく自分が捕ったのに・・こんな大漁だったのに・・船長が毒入りと知りつつ全部摘んで喰ったとしても、一体誰が責められようか?

斯くして、悲劇の幕は切って落とされた。(ちょっきん)


「きゃーー!!!」

突然、島一帯に絹を裂くよな女の悲鳴が響き渡った。
何事か、と山中にて山菜採りしていたゾロと、果物狩りをしていたサンジが、現場に駆け付け目にしたものは、海岸で押し倒されたナミと、上に跨りがるると襲い掛かっているルフィ―って、ちょっと待てや!くらぁ!!

「やだぁ!!いきなり何すんのよ、ルフィ!!」
「へぇっへっへ・・!大人しくしろぉぉ!ナミー!!」

―ゴキンッ!!―どげしゃっっ!!

「危ない所でしたね、ナミさん!」
「・・で?事の起こりは何なんだ?」
「・・事の起こりは・・。」

ゾロには頭を刀の柄で殴られ、サンジには横っ腹を蹴り飛ばされ、船長白目を剥いてノックダウン。
撃沈されたルフィの体を抱え起こしながら、深く、深く、溜息を吐くナミであった。




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(2003.12.20)


<管理人のつぶやき>
いつも丁寧な感想を書いてくださるびょりさんの初投稿作品です!
ルフィが「へぇっへっへ」なんて笑い方するなんてどーいうこと?!
一体ルフィに何が起こったのでしょうかー?

 

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