愛で汚したい  −6−
            

びょり 様




「ごぼぐぶげぼがばごぼげえぇぇ・・!!」
「あはぁはぁぁぁん・・!ルフィの馬ぁ鹿ぁ!そんなトコに吐くなァ・・!!」

飛び込んで来たゾロとサンジが見たものは・・ナミを地面に押え付け、胸にドボドボと盛大にゲロを吐き掛けるルフィと、ルフィに押え付けられ逃げる事も出来ずに胸にゲロを吐き掛けられて大泣きするナミの姿だった。

「・・・ぅっはー!!全っ部吐いてやあっとスッキリしたー!!いやぁ、もう、胸のつかえがいっぺんにおりた気分で愉快痛快爽快だぜぇ!なっはっはっはっはっ!」

晴れやかに、そりゃあもう晴れやかに、笑うルフィ。

「・・・こぉぉのぉお、女の娘の胸にゲロ吐く奴が居るかぁ、阿呆んだらぁぁぁ!!!」

―カッッ・・!!ドォォォン・・・!!!!

ルフィの下顎にナミの、幻のアッパー『ウィニング・ザ・レインボー』が炸裂した。
材質がゴムな船長は、洞窟内を右に左に上に斜めにびょんびょんびょんびょん飛び跳ね、そして地に伏した。

ふと、背後に気配を感じたナミが振り返ると・・そこには何故か崩れた土砂に埋もれ倒れている男2人の姿。

「・・・何そんなトコで果ててんの?ゾロ・・?サンジ君・・?」

「・・・・・・だ・・だびずぁん・・・。(虫の息)」
「・・・・・・・ナミ、てめぇな、んな艶っぽく泣いて紛らわしい台詞叫んでんじゃねぇぇぇ!!!!」

ゾロの悲痛な叫びは洞窟内で反響増幅され、遠く船の留守を預かるロビンにまで届いたという。(んなアホな)


船に帰った面々は即刻ルフィに私刑を執行。(主にナミとサンジとゾロ)
締めにチョッパーによって青汁2リットル一気に飲まされたルフィは、そのまま倒れ伏し3日3晩うなされ寝込んだという・・。


「まったく理不尽だと思わない?」

風呂に入って、砂利やらゲロやら綺麗に洗い落とし女部屋に戻って来たナミが、不機嫌この上無い調子でロビンに話し掛けて来た。

「あの時、ロビンだって居たのに・・あいつ真っ直ぐ私の方に向って来たのよ!?・・別にロビンの方に行ってくれりゃ良かったって言う訳じゃないけど・・私だけを狙うなんて、どう考えても理不尽よ!理・不・尽!」

ベッドに勢い良く腰掛け、濡れた髪をわしわしタオルで拭う。
ロビンはナミの真向かいになる様ソファに座り、本を広げたまま話を聞いている。

「『ガラナリゲインフグ』の毒は脳内の興奮物質ドーパミンを過剰に生み、抑制物質のセロトニンを不足させる・・普段は押え付けてる感情や欲望を開放して理性を利かなくさせてしまうのだそうよ。」
「その説明は聞いたわよ・・だから?つまり何だって言う訳?」

髪を手櫛で梳きながら、ナミはロビンの言葉を待つ。
ロビンは、パタンと本を閉じ、ナミの顔前に人差し指をぴっと向けてこう言った。

「つまり、『モンキー・D・ルフィは航海士さんが好き』って事よ。」

「・・・え?」

―ええ??

―えええー???



END



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(2003.12.20)


<管理人のつぶやき>
ヒャハハハハ!作品読んでこんなに笑ったの初めてです。
まずルフィが『男』になってナミに迫るという事態に私はもう終始ドキドキでしたv
そのことを巡る仲間達の言動もすごく面白くて!
ゾロがロビンに歳のことを言った後、ツイスト技をかけられてたのも可笑しかった。
理性ぶっとび、精力絶倫状態のルフィだから、このままナミは餌食になっちゃうのかしらと途中心配しました。まさか初投稿で裏作品?うちはまだ「裏」無いのに〜とか思ってたら、作中でも同じことが書かれてるし(笑)。
合いの手というか、ト書きというか、途中に挟まれる文章もすごく面白くて、とても楽しませていただきました。

びょりさん、素敵な作品をどうもありがとうございましたーー!
また何か話を書きたくなったら、ぜひ書いてね〜。

 

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