― おめでとうございます ―  −5−
            

びょり 様




【前回までの粗筋】
悪辣な中華飯店店長の奸計に掛り(え?そうなの?)命の危機に立たされるルフィ、ゾロ、サンジ、ウソップ、チョッパー(は既に脱落)。
果して最後に生き残る者とは・・!?
負けるな!ルフィ海賊団!!
戦え!モンキー・D・ルフィ!!


勝負開始より30分・・今、漸く回転が止められました。
しかし現れた・・まるで星一徹がちゃぶ台引っ繰り返した後の様な惨状を目の当たりにし、店内は水を打ったような静けさに包まれております・・。
丼の中にばっしゃんと顔を突っ伏させたサンジ選手・・。
口から鼻から耳から麺を噴出し気を失っているゾロ選手・・。
蒼白な顔で硬直しているウソップ選手・・恐らく死因は鞄の紐で首が絞まったせいでしょう・・。
惨い・・あまりに惨過ぎるこの結末・・神よ・・何故、貴方は斯様な痛ましい結末を用意し・・えっ・・・?

「・・・・食っらぞ・・・全部・・全部、食い切ったぞー!!!」

「・・・・・ルフィ・・!!」
「・・・流石ね、Dの名を受け継ぐ男・・。」

「やりやがったぜ!あの麦藁小僧ー!!」
「遂にこの店の不敗神話を崩しやがったー!!」

信じられません!あの最終速度300キロの回転地獄より奇跡の生還劇を果たした勇者その名はモンキー・D・ルフィ!!
目をグルグル渦巻きにしつつも安全バーを引き上げ両手をピンと伸ばし雄々しく立ち上がったその姿!これぞ正に真の『漢』ぞ!!
英雄の誕生に観客から割れんばかりの拍手が沸き起こり歓喜の声が上がっております!!
今!今数人の観客がステージ台に上りルフィ選手の周りを取り囲んでおります!
!・・どうやら胴上げを始めるもよう・・あっ!始まりました!・・1回・・2回・・3回・・4回・・5回・・中々止みません!!
・・・店長がルフィ選手の側へゆっくりと近寄って行きます。

「大した男ね、私の完敗アル・・流石は海賊の船長さんアルよ。」
「おおっっ!!何てったって俺は、海賊王になる男だぜ!!」


記録・・それは儚い。
今日生まれた記録も、明日には新たな挑戦者の手により消されるかも知れぬ運命。
何故漢達は何時も、それでも前へ進む事を止めぬのか?
何時かは明渡さなければならぬ王座に意味など有り得るのか?
束の間の勝利者の船を海は、波高く、高く、幾度も掲げようとする・・それもまた仮初の祝福か・・?


「賞金100万ベリーも手に入ったし、賞品ラーメン1年分のお陰で暫くは食費も掛けずに済むし、何とか当初の目的は叶ったわね!」
「・・てめぇって女には血も涙も無ぇのかよ・・あんな勝負の後で誰がラーメン食う気になれるっつうんだ!?」
「うっさいわね!あんた達の飲食に一体幾ら費やしてると思ってんのよ!?せっかく手に入った食料、即、有効利用しないでどうするってのよー!?」
「俺は別にラーメンでも構わねぇぞぉ♪」
「流石ねルフィ、だから愛してるわ♪あんたもちょっとはルフィの鷹揚さ見習ったらどうなのゾロ!!」
「うるせぇっっ!!何が見習えだ!!俺は金輪際ラーメンなんか食わねぇぞっっ!!」
「い〜わよ〜、食べたくなきゃ無理して食べなくても〜・・じゃ、サンジ君、当分1日3食おやつともラーメンでお願いね♪」
「ああ・・ナミさん・・そんな情け容赦の無い貴女も素敵デス・・。(涙)」
「・・くっっ・・この、因業魔女が〜〜!」
「ほ〜ほっほっほっ♪精々『武士は食わねど高楊枝』の精神で頑張るのね〜♪♪」

「どうやら時化ね・・怖い位のうねりだわ・・。」
「苦じぃ〜船酔いが〜、船酔いが俺の体を蝕んで行ぐぅ〜〜、医者ぁ〜、医者は何処だ〜〜?」
「船医さんならさっきからトイレに閉篭ってケロケロ吐いてるみたいよ、長鼻君。」
「医者ぁ〜・・!誰が・・!誰が医者を呼んでぐで〜〜〜・・!!」


行くがいい、挑戦者達よ!
この荒波にたとえ翻弄されようとも、広く果て無き海を選んだのは君等の意思!
阻む何ものをも薙倒し払い除け、超えて行け!己が信念の旗の元!!
嗚呼!ルフィ海賊団に栄光有れ!!



【完】


【書いた人の感想】
・・・・・めでたい。(私の頭ん中が)



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(2004.01.17)

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<管理人のつぶやき>
大食い競争なんてルフィには楽勝かと思いきや、そうは問屋は卸さない。なぜなら、この作品の作者がびょりさんだから(笑)。
これはすごい競技だよ。挑戦者が次々に救急車で運ばれたのにも納得。
しかし、さすがは我らがルフィ!海賊王になる男!
ああ、勝負の世界、海賊の覚悟とはかくも厳しいものなのか!(なにかが違う…)
そして、司会役のナレー・ション・コネリーってびょりさんですよね?
文章の一つ一つに笑いの種が凝縮されてるかのよう。腸がよじれる〜(じたばた)。

びょりさん、またもや愉快な作品をどうもありがとうございました!

 

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