恋は一人上手にラブハリケーン  −6−
            

びょり 様




「んだよコレッ?チョコレート??どうせくれんなら酒とかにしてくれっつの!」
「何よその言い方!?言っとくけどそのチョコ手作りなんですからね!愛情たっぷり込めてあるんだから、有難ぁく味わいなさいよ!」
「へぇへぇ、お気持ち痛み入るよ。」

そんなそんなこれは夢幻嘘八百偽りだふぁんたじいだどりいみんぐだだってナミさんあげる人の好みに合せるのが1番だって俺に味見させてバレンタインの手作りチョコは大本命で意中の男に渡す物と相場が決められていてああああ果てしいないい夢を追いい続けえええええ(by.クリスタ○キング)

「何だぁナミィ!?ゾロに食い物やってんのかぁぁ!?」
「あ、ルフィ!・・流石に食べ物の匂いには鼻が利くわね!はい、これ、あんたの分♪」
「おほぉ!チョコレートじゃねぇか!!ナミ、サンキュー♪♪」

―んなあぁぁ!?!?ルフィにもおぉぉ!?!?!?(ガガーン)

「お、それってひょっとしてバレンタインのチョコかぁ!?」
「そうよ、ウソップ!・・・はい、愛してるわ♪」
「おう!俺も愛してるぞ!・・・だからクリマタクト製作に掛った費用早く払って下さいお願いしマス!」

―ウソップまでえぇぇぇ!?!?!?!?(ゲゲーン)

「あ!やっぱりチョコ有ったんだァ!?」
「はい♪チョッパーにも愛を込めて、バレンタインの手作りチョコレートよ♪」
「うわァ♪オレ、バレンタインチョコ初めて貰ったあァ♪・・・ロビンのチョコは?」
「御免なさい、私、バレンタインにチョコあげない主義なの。」

―チョッパアァァァァ!?!?!?!?!?(ゴゴーン)

「・・・で、サンジ君・・・って、どどどうしたのサンジ君!?いきなり総白髪化しちゃって!??」

「サンジの奴、今日、ずっとおかしかったんだ。」
「そ!俺とチョッパーがキッチンにおやつ貰いに行ったら、コイツ、1人で笑ってやがんの、わははははは♪って・・・。」
「1人で笑ってたのォ!?」
「んで、これから夜の見張り番、毎晩引き受けてやるからって言ってた。」
「夜の見張り番を?毎晩??どうして???」
「や、それがな、『俺の春がやって来たから』だっつぅんだよ。」
「私が昼、読書をしてる時も、コックさん、笑いながら近寄って来たわ、ババロアとアイスティー持って。」
「ババロアとアイスティー持って歩きながら笑ってたの・・?」
「週に1度の夜、航海士さんと自分の為に女部屋を空けて欲しいって熱っぽく頼まれたの。」
「・・・どうして私がそこに出て来る訳?」
「理由を尋ねたら、無粋な事は聞かないでくれって怒られちゃったわ。」
「便所の中でも笑い転げてやがったぜぇ、むふふふふふ♪っとかって。」
「・・・・ト、トイレの中でまで・・?」
「便器に映った自分のグル眉でも見て笑ってたんじゃねぇの?」
「近い内にナミが結婚して腹に子供が出来るから船から降ろせっつってたぞ。」
「私が誰と結婚して誰の子供をつくるってのよ!!?」
「知らねー。」
「今し方も夕陽に向かって1人笑ってやがってよぉ・・・何が楽しかったんだか知らねぇが、薄気味悪くてオチオチ眠れやしなかったぜ。」

「・・・・・・疲れてんのね、サンジ君・・・。」
「俺様が推理するにだなぁ、この暑さでフラフラになって歩いていた奴は、突然船を襲った揺れに階段から滑って転んで思っきし頭から落ちてしまった、と見たね!」
「暑かったもんな〜、俺も脳味噌溶けちまうかと思ったぜ。」
「サンジの奴、頭開けて見たら脳味噌グツグツ煮えてるかもなぁ。」
「煮え過ぎちまって味噌汁になってたりしてな♪」
「ギャハハハハ♪うめぇ!うめぇよルフィ!!・・お麩を散らして『あなたぁん
♪今日、麩の味噌汁よぉん♪』、これがホントの『恐怖の味噌汁』!・・・ぬあんちゃってちゃって♪ギャハハッギャハッギャハハハハッ♪♪」
「うはははは♪ウソップうめぇ!それ凄ぇうめぇよ!!うはははははっっ♪♪」
「アホエロコックがおかしいのは元からだろ?単に覚醒しちまっただけじゃねぇの?」
「先天病だとしたら完治は難しいかもしれないな・・。」
「ひょっとして、悪霊の類に取り憑かれた可能性も有るんじゃないかしら?」
「おめぇ・・・霊なんて信じてんのかよ?」
「あら、剣士さん、この世には未だ未だ人知を超えた不可思議事象が起こりうるものよ。」
「分った!!キツネに化かされた!!」
「この船の何処にキツネが居るってのよルフィ!?」
「しししっ♪タヌキなら居るんだけどなぁ♪」
「オレはトナカイだ!!」

「・・・人がマジドツボに嵌ってとっぴんしゃんだってのに言いたい放題おちょくり放題しやがってぇぇぇてめぇらそんっっなに俺のドン底不幸が面白おかしいかあぁぁぁぁぁ!!!?」
「ギャ〜〜!!遂に発作の第2段階『暴走』にまで発展しやがった〜〜!!!」
「セカンドインパクトだ〜〜!!!」
「ちょ!ちょっと落ち着いてサンジ君!!何が有ったか知らないけど殺人は犯罪よー!!」
「離してくれナミさん!!・・こいつら!こいつら!揃いも揃って俺の繊細且つ曇一片も無いクリスタルハートを木端微塵子にしてくれやがってぇぇ!!俺の悲しい気持ちなんか誰も!!誰も〜〜!!!」
「良く解んないけど解ったから!!とにかく私のチョコを受け取ってからにして〜!!!」

「・・・・・・え?」
「はい♪サンジ君にも愛を込めて、バレンタインチョコレート♪」

・・・それはオレンジのリボンで縛って小さな袋状にしてある白い包みで、見回せば奴らの手に持った物と寸分違わぬ同じ物・・・。

此処に来て、俺はやっと自分の勘違いに気が付いた。
そうさ、ナミさんは何時だって俺達全員に別け隔て無い愛情を注いでくれていたじゃねぇか!
そこに個人的好き嫌いとか、特別扱いだとかの感情・思考等一切有ろう筈も無く、なのに・・・なのに俺は・・・自分こそがナミさんの『特別な人』で『最愛の人』だなんて勝手に思い込んで・・・浮かれて走り回って・・・結婚して子供が出来るトコまで妄想しちまって・・・こんなドジで馬鹿な勘違い野郎なんか、ナミさんに相応しくないよネ・・。

「・・・それと、サンジ君には特別にチョコレートクッキーも♪」
「・・・・え!?」

渡された包みを解いてみれば、中から出て来たのはハート型のチョコレートクッキー・・・

「実は昨日キッチンを借りたのは、これを作る為だったのでした♪・・・サンジ君には今回チョコ作りを手伝って貰っただけじゃなく、何時も色々お世話になってるから、日頃の感謝の念を込めて特別に♪」
「うっっ!!ズッリィ!!!ナミ!!エコヒイキだぞそれ!!!俺にもクッキーよこせ〜!!!」
「エコヒイキ反対〜!!!オレもクッキー欲しいぞ〜!!!」
『我々はぁ!!只今の航海士の行動をエコヒイキと見做しいぃ!!!断固クッキーを要求し続けるものであ〜る!!!(←拡声器)』
「うっさいわねェ!!!あんた達が何時私のお世話してくれたっつぅのよ!?面倒ばっかり何時も懸けさせられてて、こっちが何か要求したい位だわよ!!!」
「聞き捨てならねぇなぁ・・・記憶を辿りゃあ、てめぇが普段世話んなってんのはアホ眉だけじゃねぇって事に気が付くと思うが?」
「何よゾロあんたまで!まさかジェラシー?」
「けっっ!・・・くだらねぇ!」
「・・・ナミさんは・・・」

「・・・は?」

「・・・ナミさんは・・・ナミさんは・・・やっぱりナミさんは俺の事を1番愛してくれていたんだねえぇぇぇぇぇ!!!!」

「・・・日頃の感謝の念を込めてだと・・・言ってるでしょうがこの、スットコドッコォォイ〜〜!!!!」

―カキーーーン・・!!!!!

「ギャ〜〜!!!サンジがナミにクリマタクトで打たれた〜〜!!!」
「いいい医者ァァァァァ〜!!!」
「や、この場で医者呼んでどうするよ!?」
「すっげえぇ!!!ナミ、場外ホームランだぜえぇぇ!!!」
「大したもんだな、コックの奴全く放物線描いてねぇぞ。」
「時速150キロ超で飛んで来たコックさんを物ともせずに打ち抜く振り子打法・・・また腕を上げたようね、航海士さん。」


夜空を御覧、

無数の煌きが目に入って来るだろう?

中でも一際大きく輝く星・・・

そう、彼はお星様になったのサ。



【fin.】


《書いた人の感想》
サンジ好きです、本当です(何故そこで強調?)。
サンジの魅力って「人間味」だと思う。
泣いたり笑ったり怒ったりHな妄想したり勘違いしたり落ち込んだりいじけたり諦め悪かったり・・・
・・これらは人が持ってる当り前の感情と言うか・・そんな『人間サンジ』を書いてみたくて、のお話でした。
だからうっかり読んでしまったサンジファン&サンナミストの方(そしてゾロナミストの方)・・・
どうぞ、本気で怒んないで下さい。(土下座)


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(2004.03.07)

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<管理人のつぶやき>
ナミのひょんな言葉から本命チョコの相手は自分だと誤解するサンジ。
ま、ある意味当然ですわな。あの言い方では(笑)。
ここからサンジくんの愛の妄想劇場がスタート。
そこはサンジくんの理想と欲望の世界でした(笑)。
全てはサンジくんの思いのまま。その世界のナミはサンジくんにゾッコン(ぷ)で、もう可愛いったらありゃしない。
おまけにビビもロビンもサンジのことが好きで、ナミはヤキモチを妬いたりなんかして。
実はナミに惚れてたゾロはサンジに「完敗だ」なんて言う(親友だって親友だって(ぷるぷる)・・・ナゼここで笑ってしまうのか(汗))。
オチはだいたい予想がついてましたが、ああ、それでもやはりサンジくんの落胆ぶりが・・・・オモシロイ!!(←オイ)
でもちょっと幸せもあったよね。一人だけ特別にチョコクッキーがあったもん(ささやか過ぎ)。

「クソクソ」と喚くルフィに対し、サンジが「クソ野郎」と言ったのが「確かに」って思った(笑)。
オリオン座の謂われの話は、ラストでサンジが星になることの伏線だったのか!うまいなぁ、びょりさん!

もう最高だよ、びょりさん。笑い過ぎてお腹痛いよ〜。
びょりさん、最高に楽しいお話をどうもありがとうございましたーーー!

 

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