「今日の兄貴、一段と恐ろしくねぇか?ヨサク?」
「あぁ、全くだっ!サスガの俺も紙一重だぜっ。ジョニーよ!」
「確かに、紙一重だ。」
「……でもよぉ〜何でこんなに機嫌が悪いんだ?」
「部活が早上がりになったからじゃ、ねえよなぁ…」
「部活が始まる前から、むすぅとして…」

「「……あっ!」」

「なんだぁ?てめぇら、何か文句あんのか?」
「「な、何もございません!」」





簡単な言葉  −1−
     ───二人の事情

CAO 様

 

「さっきっから、お前等何なんだ?小声でヒソヒソしゃべりやがって…言いてぇ事があんなら、ハッキリしろっ!ハッキリ!」
「へ、へぃ!」×2
「……で?」
「ト、トイレでさぁ〜、なっ、ヨサク。」
「そ、そうっす!あのぅ、行っても…」
「さっさと行けっ!」
「すぐ戻りますンで。」

「ジョニーよ!原因は、アレだな?」
「あぁ、ぜってーアレだ!」
「「ナミの兄貴っ!」」
「やっぱ、そうだよなぁ〜。」
「それ以外、考えられねぇ!」
「前にもあったじゃねぇか?」
「『大好き、シャンクス』事件だな?…アン時も、俺達ボコボコされたっけ…」
「あの時は、マジで殺されるかと、思ったゼ!」


「なぁ、ヨサク。最近ゾロの兄貴、すこぶる機嫌がいいと思わねぇか?」
「あぁ、其の事ですっげー情報仕入れたんだけど…」
「ナニッ!お前もか?」
「て、ことは、お前も…」
「ゾロの兄貴と」
「ナミの兄貴が」
「「デキてるっ!」」
「驚いたよなぁ〜。あの恐怖の大王同士がだぞっ!」
「確かに!だが、考えてみりゃ、兄貴が部活終わりに着替えんのはえー事!俺等なんて、ロクに挨拶できゃしねーもんな。」
「ありゃ、ナミの兄貴が待ってるからにちげーねー!」
「おい!聞いてみるか?…兄貴に。」
「何て聞くんだよ?…殺されるぞ、兄貴…」
「俺に、何か用か?」
「「あ、兄貴ぃ〜!」」
「何が知りたい?何でも…」

『大好きvシャンクス!』

「ン…………。」
「?…どっかで聞いたような?」
「ジョニー!あそこ!ナミの兄貴だっ!」
「ホント…あっ、抱きついてるじゃねーか?」
「すっげー嬉しそうに…俺も抱きつかれてー!」
「俺もっ!あんな顔してると、やっぱ可愛いよなぁ。ナミの兄貴!」
「普段恐ろしいだけに、余計かわい…はっ!」
「…………。」
「「ひぇ〜!」」


「…あの時の、兄貴の顔!思い出すだけで、背筋が凍り付くゼ!」
「まるで鬼でも、射殺す勢いだった!それに、あの後の部活!思い出したくもねーぜ…地獄の乱取り…倒れても、倒れても打ち込みやらされて…」
「今日は、早上がりで助かったな、相棒!」
「おぅよ!けど今日は、何か前とちがくねーか?形相は、恐ろしいままだけど…。」
「だなっ!思い悩んでる風つうか?イラついてるつうか?」
「…でもよぉ、兄貴が悩むタイプとは、思えねーゼ。腹でも壊してる?トカ…」
「なこたねーよ!ナミの兄貴絡みに、決まってんだろ。じゃねーと、小一時間も、蒸し熱い梅雨の最中、あんな正門前で、立ち尽くしたりしねーさ!」
「んじゃ、待ち合わせてるのに、来ないからイライラしてる…トカ。」
「有り得る!んで、兄貴結構格好つけなトコあるから…」
「ナミの兄貴が『ごっめ〜ん。遅くなったぁ。』トカ言って現われると…」
「『別に。今来たとこだ。』」
「『嘘っ!こんなに汗かいてるじゃない?』って、ハンカチでも出して汗を拭いてやると…」
「其の手を掴んで、『必要ない、お前が居ればいい!』」
「んで、腕を引き寄せて……ってな具合に!」
「ほぅ〜。……って、俺等邪魔じゃねー?」
「邪魔、邪魔!〜けど、見たくねぇ?んな、兄貴達の姿。」
「ボコられるぞっ!」
「な事言っても、本音は見てみたいだろ?え、ジョニー!」
「くそっ!ばれたか!…あの女には興味ありません。みたいな兄貴が、どうやって口説くのか、そりゃ知りてぇに決まってら!」
「しかも、相手があのナミの兄貴となりゃよ!必見だ!」
「そうと決まりゃ、善は急げだ。戻ろうぜ!」
「あぁ、急がねぇと紙一重で見逃しちまうかもな!」
「走るゼッ!」
「おぅよ!相棒。」

「「兄貴ィィィィィ〜!」」




2→


(2005.12.17)

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