(何で、こう巧く事が運ばねぇんだ?アイツと付き合い始めて、もう2ケ月、今日こそは!と意気込んでみても…さっきの昼休みだって、なんだかんだで、何時もの様に喧嘩腰になっちまって…)

「…やりてぇ。はぁ。」

「何、煮詰まってんだ?」
片方しか見せない目で、人の悪そうな笑顔を浮かべ、エロコックが、俺の顔を覗き込んでいる。

(やべっ、聞かれたか?)





簡単な言葉  −2−
     ───Zの憂鬱

CAO 様

 

「大体てめぇは贅沢なんだよ!毎日ナミサンと触れ合って、好い想いしやがって!溜息吐いてんじゃねえよ。…彼女に゛ヘタクソ"とでも言われたか?良い気味だ!」
「何もしてねぇのに、な事言われるわけねー!」…あ、やべっ。
「……マジか?あのナミサン目の前にして…お前アホか?」
「あ、今アホつったか?」
「んな事どうでも良い!それより、何にもって、キスもか?」
「それぐらいは…した。」

パーティの日だ…
「アタシが行くって言ったら、あんたも来ればいいのよ!ウダウダ言わないっ!」
「俺に命令すんなっ!」
「ばかじゃない!゛お願い"よ...」
「ばかっつたかぁ?否、それよか、どこがお願いだぁ?第一、それがお願いする態度かぁ?」
「男が細かいコト言ってんじゃないわよー!んなだから、モテないのよ、あんたは!……ハハ〜ン、あれね、女の子にキスのひとつも出来ないタイプでしょ!」
「ンだとぉー!出来るに決まってんだろ!」
「じゃ、遣ってみなさいヨ?どーせ、無理でしょけど…ホレ!」
「てめぇ〜後悔すんなよ!」
ムカついて勢いでやったが……その途端、俺としたことが急にドキドキしちまって、すぐに唇離しちまった…っ。
今考えると、あのままガッとやっちまえば良かったのか?
いや、それはマズイ。
第一現状、アイツといる事に十分満足はしてる!
だが、やりてぇ。無理矢理にって、考えない訳でも無い…

「恐ぇーんだろ?嫌われるの。」
「ん、なっ...」
「まあ、聞け!俺は本来アドバイスなんて、柄じゃねぇんだが…」
「なら、黙ってろ!」
「うるせー!たっく、何でナミサンもこんなヤツ…そう、ナミサンの幸せの為に泣く泣くなんだよ!いいか、マリモ!自分に正直になれよ、格好付けてねぇで。」
「言うのか?…やりてぇって?」
「や…って、お前なぁ...解らないでも無いが...ったく。惚れてんだろ?ナミサンに。付き合う前より、どんどん好きになってって、自分でもどすりゃいいのか解らなくなってんだろ?」
「………。」
「図星かっ?けっ。どーせ、告ってもねーんだろっ!あのな、付き合ってるから今更な事言う必要なんか無い!って思ってんだろうが、付き合ってるからこそ伝えるべきなんじゃねぇ?彼女を不安にさせて、やりてぇもクソもねぇだろっ。言えよ!素直に、好きだって。まずはそれからだ!」
「…てめぇの指図は受けねぇ。」
「なっ、俺はナミサンの…」
「けど、参考にはする。」
「このアホマリモが…」
「アホつったなぁー!」


正直にか…言うと決めた筈なんだが、覚悟が決まらねぇ。改まってみると緊張してきちまった。どうするよぉ…
あー、部活でもやってりゃこんな事考えなくても済むのによぉ〜たく、こんな日に限って早上がりしやがって、ケムリ野郎がっ!大体たしぎが卒業して以来、大学の方ばっかり力入れやがって…アイツ、高等部のコーチだろっ!……何か、腹立ってきた。
それに、何で俺はこんな、正門の真ん前で仁王立ちシテンダ?別にアイツと、一緒に帰る約束なんかしてねーのに。…だけど、何時でもアイツは此処にいて、ぷりぷり怒りながら俺を待ってて…それは、当たり前の風景になっちまってて…ったく、遅せぇ〜

「おぃ!探して来い!」
「「へっ、何を?」」
「何じゃねぇ決まってんだろ!」
「ジョニー、解るか?」
「否…?……ん、もしかして?ヨサク、ナミの兄貴の事じゃ…」
「解ってんなら、とっとといきやがれ!!」…ボカッ×2

アイツ毎日毎日、何考えながら、此処に居たんだ?部活の奴らとぐたぐたやってて、遅くなる事もしょっちゅうだったし…怒って当然かぁ。約束してねーのに、待ってて。俺は何にも約束してやってねーし、何にも言って…
くそっ!何て言やいいんだ?大体アイツだって、なーんも言わねーじゃねーか?俺と付き合ってるって事は、俺に惚れてるって事だろっ!んなの、当然だよなぁ〜?
否、待てよ。こないだ、うちの担任に『大好き!』トカぬかしてやがった。あんな赤髪の何処がいい?オヤジだし、人相悪いし、何時でもヘラヘラしやがって…何かムカついてきたっ!
「……どういう関係なんだ?」
説明されてねーぞっ!




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(2005.12.17)

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