「アタシも…」

「お前らこんなトコで何やってんだー!離れろっ!」

「……!」
いきなり伸びてきた大きな腕が、しっかりと抱き合ってたアタシとゾロを引き離した。その腕の持ち主を確認しようと顔を見ると、怒りに満ちた赤い髪と恐ろしい形相で、鋭い眼差しをゾロに向けている担任教師の顔があった。

(ヤバッ…聞かれた?)





簡単な言葉  −オマケ−
     ───担任教師の悲哀

CAO 様

 

「「シャンクス!」」
「てめぇー、ロロノア!どういう料簡だ!こんな公衆の面前で…事によっちゃ容赦はしねぇぞ!」
「あぁ、何だとぉ!その言葉今すぐ熨斗付けて返しやらぁー!」
一触即発…凶悪な顔がふたつ睨みあってるこの状況じゃ、アタシが止めるしかないわよね…


ついさっき迄、最高の気分だったのに…正確に言うと勝手にアタシの男になっといて、ロクに彼女孝行もし無いヤツに振り回されて落ち込んでた時、その男がアタシを待ちわびてるって聞かされて、あんまりにも嬉しくなってそいつに駆け寄ると、またしてもいきなり抱き締められて愛の告白されてる最中に、オヤジが現われりゃ…もう、最悪でしょ!
しかも片方は、左目に三本傷があるし、もう一人はいつも眉間に皺寄せてるし…傾きかけた初夏の夕日を浴びて更に二人とも、凶悪を越えて野獣じみた顔つきに見えてきた!ただ今学校正門前は、リングと化そうとしてる!

「神聖な学校で痴漢みたいな真似してんじゃねえぞ、小僧!」
「誰が痴漢だっ!担任だからって、いちいち生徒の恋愛に口出しすんじゃねぇよ!」
(…れ、恋愛って…きゃっv)
「なっ、恋愛だと…ガキが生意気言うな!お前みたいな子供が恋愛を語るには、10年早ぇー!お前のはお遊びだろっ!」
「遊びな訳あるかぁー!歳だって関係ねぇっ!俺は何時だって本気だ!ふざけんなっ。第一俺とナミの問題に部外者が…」
「部外者じゃねー!」
(止めてぇー!シャンクス!)
「俺の担任だろっ、ただの!」

「担任の前に、可愛い娘の父親だぁっ!…文句あるか?」

「…………へっ?なっ、ナミ?」
「…そういうコトなの。もう、内緒にしとく約束でしょ。アンタが言いだした事なのに…馬鹿シャンクス。大っ嫌い!」
「き、嫌いって…そんな悲しいこと言うなよー、ナミ。とうさんはかなりショックだぞっ!」
「勝手にショックでも何でも受けてればっ!アタシの彼氏を悪く言うなんて、許せる訳ないでしょ!もう金輪際、犬の散歩には付き合ってあげないから!」
「ナミそりゃないだろー!俺はお前の事を思って…」
「シャンクス先生?職員会議始まりますよ。急いで下さい!」
其処へ校舎から声が掛かった。
「早く行かないと…先生?」
「くそっ…ナミ、帰ったらちゃんと話すからなっ。ロロノア!お前は、明日だ!覚えとけよっ!」


(…?引いてる?当然よね!)
コイツ、目、白黒させてるし。まっ、自分の彼女の父親が、自分の担任じゃぁね......でも、そんなので、引かせるつもりないからっ!覚悟しなさいよっ!
まだ、呆けてる男の耳に、三本のピアスに手を延ばし、囁く。

「ゾロ…      」



疎の夜…………

「俺に黙って、男と付き合うなんて!絶対に許さないぞっ!!」
「もう知ってるんだから、いいじゃない?」
「よ・く・な・い!彼氏だと?…よりによって、あんな奴!」
「あんな...ひっど〜い!…この前褒めてたくせに。担任した中じゃ、男気のあるいい奴だとか…」
「言ってないっ!」
「言った!アタシ…」
「いいか、ナミ。アイツは、授業中は寝てばっかで、それ以外は迷子になってばっかりの、只のアホだぞっ!んな奴に、可愛いお前を任せられるか?」
「っぜぇ〜たい、許さない!ゾロの悪口言って良いのは、アタシだけなんだからねっ!」
「ま、待て!冷静になれっ!」
「大丈夫、頭は冷えてるから!」
「なら、話は決まりだな。明日アイツには俺から断って…」
「煩い!これ以上アタシ達の事に、首突っ込む気なら…」
「突っ込むなら?」
「もう入り込めないように…」

『ゾロとヤッちゃうからっ!』

「…………なっ!」
「この話は終わりよ!寝るワ!」


「それだけは、やめろっ〜!!」
俺の可愛いナミがぁぁぁ〜

――――――合掌。









←5へ


(2005.12.17)

Copyright(C)CAO,All rights reserved.


<管理人のつぶやき>
付き合い始めたもののイマイチ素直になれない二人。
ゾロのこの正直者め。やりてぇってそんな直接的な!(笑)
ナミはナミで悩んでるし。でも念じれば通ず。ゾロもようやくその一言が言えたね^^。
ナニが嬉しいって、ヨサクとジョニーが出てきたことでしょうかw(←紙一重コンビ大好き)

前作ではHIRAKIさんとして投稿してくださいましたが、今作よりCAOさんと改名されました。
CAOさん、二作目のご投稿ありがとうございました!!

戻る
BBSへ