気にいらねぇー!
全くどいつもこいつも...

俺がマジで部活やってるのに、
ジョニーとヨサクの野郎は、すぐ音をあげやがるし、けむり野郎は大学からの電話とやらで帰ってきやしねーし、一年坊主に至ってはビビって目を合わせようともしやがらねー!
何が、一番気に喰わねぇって、アイツだっ!アイツ!…なにが、

『大好き!シャンクスv』

だっ!フザケんなっ!つうんだ!あんな赤髪のアホオヤジ〜…何処がいい?いいわけあるかぁ〜





簡単な言葉  −5−
     ───Zの慟哭

CAO 様

 

「おっそいわねー!何やってんのよっ!」
うっせー、てめぇこそ何やってんだっ!あーもう、無視だ、無視。「………。」
「なんとか言いなさいよっ!何一人で帰ろうとしてんの!」
イテェー!ヒトの腕を掴むなっ!ツネんなっ!
「ヒトが待ってて上げたっていうのに、毎度毎度…」
「てめぇが待ってんのは、俺じゃなく赤髪だろっ!」
やべっ!くそっ、なんつー眼で覗き込んでやがる!
「ははーん!……妬いてんの?」
ぐっ。…其の顔やめろっ!いかにも"企んでます"顔!弱…苦手なんだっ。……ん!見なきゃいいんだ!背、むけりゃ…
"どんっ"
「……?」
お、おいっ!なんだこりゃ?何で俺の胸の前に、白い腕が廻ってんだ?しかも、背中に軟らけーモンがあたっ…
「…あんたも、可愛いトコあんのねー?」
……ギュウ、って?
んっ!押しつけてくんなっ!
……ったく、参った。降参だ。俺は回された其の手に、自分の掌を重ね、そっと体から外すと、

「…お前は、俺の女らしくしてりゃ、いいんだヨ!」

重ねた手を上からなぞり、細い指の間に、俺の指を滑り込ませてやった。指の間から、アイツの熱が伝わってきて、手を離せないまま…


………そういえば、あのまま何にも聞いてねーな?巧いこと誤魔化された様な…?まっ、けど、あれはあれで、アリっちゃぁアリだし。細けー事言う男じゃねぇからな、俺は!それによ、自分自身に、自信を持ってっからなっ。
『自分に正直になれ』か!んなん、解ってるつうの。言う!と決めたからには、言うぜ、俺はなっ!「ヤリてぇ〜」…じゃねぇ、「す、好きだ」って。別にアホコックに言われたからじゃねーぞっ!前々から、思ってたんだ…どうにかしねーと、とは。
…でもよぉ、アイツはどーなんだつう事じゃねぇ?内緒だらけじゃねーのか?俺の知らない事…

「ゾーロー!」

アイツだっv……ってか、んなでっけー声で呼ぶなよ、恥ずいだろっ!けど、何であんな嬉しそうな顔してんだ?まさか?…待ってたから…か?

すっげー勢いで、走って来やがる、髪振り乱して…いつもならセットがどーのこーの煩せーのに!
スカートの裾、捲れ上がってんぞ!…いつも見えそうだから、あんま関係ねーか?
つうか、胸、揺らしてんじゃねーよ!シャツのボタン三つも外してっから、中身零れそーだろっ!…ヒトに見せんじゃねーぞっ!
んな走んな、俺は逃げやしねーって。

…お前を、待ってたんだから…。

この前みたいに、コケたらどーすんだ。膝小僧擦り剥いて、お前のきれーな足に血が滲むのは、もう見たくねぇから……。

手を伸ばした。

ぽすん、と俺の腕ん中、納まりやがった。息が上がってるじゃねーか!この蒸し暑いのに、思いっきり走るから…アホ。ったく、

腕に力を込めた。

さっき迄の苛立ちが綺麗に溶けて、代わりに妙に甘い気持ちが溢れてきた。アイツがゆっくり、顔を上げる。戸惑いながら…

「…ごめん。待った?」

と尋ねてくる…あぁ?素直じゃねーか!いつに無く。その、嬉しそうな、恥ずかしそうな瞳の中に、俺だけが映ってる。
離さない程度に少し腕を緩め、片方の手をオレンジの髪に這わせ、

頭を引き寄せる。

甘い柑橘系の薫りが、俺の鼻腔を擽る。そうっと俺の唇を耳元に近付けると、アイツの緊張が伝わってくる。その微かな震えに同調して、俺の心音も早く……
もう、何も考えられなくなる。
ただ、腕の中の存在を、ひたすら感じ続けたくて…


「ナミ。俺、お前が好きでたまんねぇ!」

…なんだ、簡単じゃねーか!




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(2005.12.17)

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