ロロノア・ゾロなんて、今じゃしらねぇって奴はいないくらいで
まさかなぁ、地方バンドからあんなに成長していくのは初めてよ
俺も知らなかったけど、ただの高校生からってんだからたまげたってもんじゃないよなぁ





Armlost   ♯1
            

雷猫 様



2001年

21世紀最初の夏は、梅雨も明けて本格的に始まろうとしていた。
今世紀最大のビッグアーティストとなる男が、まだただの高校生だった時だ。
その男は、とある中心部の「斗葉高校」というところに通っている。



「ゾロ!」


緑で短い髪、校則違反と何度も言われたが聞かないままにしている左耳のピアス。
いかにも目立つ格好の男、それがロロノア・ゾロ。覚えていたほうがいいだろう。


「おう、ルフィ。いい朝だな。」

「ガラにもないこといってんじゃねぇよ!」


そう言ってルフィの後ろから出てきたのは、サンジである。


「うるせぇ、エロマユゲ。」

「あんだとぉ!?このクソマリモ!」

「いいからいいから。それより二人共、今日はどうする?」

いつものように喧嘩をはじめようとする2人に、ルフィが止めに入った。

「やってもいいけどルフィ。ヴォーカルがいねぇんじゃぁ話しになんねぇだろ?」

とサンジ。

「あぁ、それもそうだな・・。」





「ロロノア・ゾロ!!!」

いきなり校門のほうから声が聞こえた。


「たしぎ副会長ぉぉぉvvvv」

生徒会副会長を務める、たしぎである。いつものように校門に立って、風紀委員としても活動しているのだった。眼鏡にきっちりした性格、それが女好きサンジの恋の炎を燃えあがらせるのだった(笑)。

「・・・っなんだよ毎日・・。」

「私だって毎日好きであなたを注意しているわけではありません!だけどそのピアス!しかも3個も!!その髪は地毛だと認めますけどっ。今すぐ生徒手帳開きなさい!3ページの5行目、「ネックレス・ピアスなど、学問の邪魔となりうる飾りはしないこと」あなた読めないんですか!!?」


「いいじゃねぇかピアスぐらい・・・。」

「よかったら毎日しつこく注意しませんよっ!とにかく、直してくれないと私が困るんですからねっ。」

「はいはい。」


いつものように適当にかわして、ゾロは自分の教室3-2へと向かっていった。
教室の前い行くと、見なれたオレンジの髪が見えた。


「ナミ。」

そう呼びかける。
するとその声の主が分かったのか、その女は顔をぱっと上げた。


「ゾロっ!」

この嬉しそうにゾロに駆け寄る女は、ゾロの彼女のナミである。この学校ではこのカップルはとても有名で、もうこんなラブラブぶりを見せられては羨ましいと思わないひとはいないくらいだった。


「ねぇゾロ、今日こそは私の家、来てくれるでしょ?いっつもバンドバンドってあんた今だにお互いの家とかいってないんだから。」

「あ〜〜〜・・、悪い。今日も仲間募集の張り紙貼って回る予定だ。」

「っそう、早いこと見つかるといいわね、ヴォ・オ・カ・ル!なんなら私なってあげるわよ?ただし、高いわよv」

ナミはそういってウインクをしてみせた。

「誰もお前の歌唱力にはたよらねぇよ。」

ゾロはナミの頭をこつん、とこずいた。

「日曜。」

「へ?」

「今週の日曜、どっか行こう。」


「本当!?」

「あぁ、約束だ。」


ゾロにとっての”約束”とは、他の人とは違う、特別な意味を持ったものだった。それは、ナミが一番わかっていたのだ。

「・・・・絶対、行こうね。」


ゾロはめったに見せないような笑顔でナミを見た。


「当たり前だろ。」










―放課後―


「なぁ〜、サンジぃ〜・・。もう、俺腹へって歩けねぇ・・。」

「めったな事言ってんじゃねぇよルフィ。俺がせっかくビビちゃんとお食事v行くの我慢して張り紙貼ってんだからな!もうちょっと責任ってもんをもて!」

「あぁ、ルフィ。俺今週の日曜は予定あっから、そのこと頭いれといてくれ。」

「「日曜!!?」」


ルフィとサンジの声が重なった。


「な、なんだよ。なんかあるのか?」

「なんかも何も、日曜は俺達のオーディションが入って・・・。」

「オーディション!?ヴォーカルもいねぇのに?」

「ルフィの奴がそれまでには見つかるだろうって申しこんじまったんだよ!このバカ!」


そう言いながら、サンジはルフィの頭を引っ叩いた。


「で、どうするんだよ?」

「俺がそのこと言ったら、楽器がどれだけできるかだけでも見てやるから来いって言われた・・。」

「それは俺も行かなきゃいけねぇか?」

「どうしてもじゃねぇけど、お前の・・認めたくないけどすげぇドラム披露できる機会はそうそうないからなぁ・・。それにもう言っちまったし、断るなら電話いれねぇと。」


ゾロはそうか、と小さく言ってケータイを取り出した。


「何番?」

「・・ってお前まさか・・!?」

「そこの会社何番だよ。」

「××××-×××-×××・・・・。でもお前そんなバカなこと・・。お前バカか!?」


ゾロは受話器を耳に当てながら言った。


「生憎バカなんだよ。」






『カチャッ・・・はい、オールダーレコードですが。』

「あ、もしもし。日曜にあるオーディション、モンキー・D・ルフィが代表になってると思うんですけど、ドラムは行けねぇって社長か誰かに伝えてください。」

『は・・?どなたでしょうか?』



「ロロノア・ゾロ」




そうとだけ言って、ゾロはケータイを切った。


「お前なぁ・・・・、一生に一度のチャンスだったかもしれないんだぞ?」



「そんなもんわかんねぇよ。チャンスなんて、てめぇでつくんねぇとおもしろくねぇしな。」







―オールダーレコード会社―


「社長、この男失礼すぎますよ。なんでしたっけ・・・ロロノア・ゾロ?」


「子供のわりには肝はでかいようだな。」


「ミホーク社長!?」




「気に入った・・。是非、一度会ってみたいものだな。」





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(2004.10.04)

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<管理人のつぶやき>
今度はミュージシャン・ゾロ!
将来大物となる彼も高校生時代、地方で仲間達とバンドを組んでいたのでした。
可愛い恋人ナミもいて、自分の信念を持ってまっすぐ生きてます。
さてさて、ミホークが彼に興味を持ったよう。どうなるんでしょう。

久々に雷猫さんから投稿作品が到着!連載です。雷猫さん、がんばれ☆

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