味噌汁   −3−
            

味海苔 様




今夜は、ロビンが海とルフィの見張り。流れで女部屋にゾロが来て、お風呂から上がると当たり前のようにソファに座っていた。
「おせーよ」
「乙女なんだから長風呂は当ー然でしょ」
「自分で言うかっ」
「なぁによ、万年迷子マリモのくせに」
「迷子じゃねぇっ!!取り消せ」
「嫌。それに、あんまり大声出すと隣に聞こえるわよ」
そう。例えクルー公認のカップルだとしても、あまりこういうのは表にしたくない。まあ結局バレるんだけど。…カップル!?
「…でも、ゾロって案外モテるのよねぇ。これで料理ができるなんて…。ま、あたしに敵う女はいないけどっ!!」
「モテる!?そうなのか?どこが…?」
「んー、体格とか?ってか、あれだけ黄色い声あげられても気付かないわけ!?あの女の子たちって本当にかわいそうだわ。あんたがこれだけ筋肉バカで鈍感で万年寝太郎で嫉妬魔で借金多くてマリモで、おまけに超スーパー迷子だってことも知らずにファンになんかなるんだから」
「最後の取り消せっ、最後の!!マリモは関係ねぇし、借金多いのはテメーのせいだろがっ!」
「あ、あと単細胞なくせに口が減らないとことか」
「……もーいい。」
「でも、あんたの強さも弱さも、あたしは知ってるから!そうじゃなくても、あたしに敵う女なんていない」
「はっ、違いねぇな」
「……ナミ…」
何事かと見返せば、いきなりソファに引き込まれた。
「きゃあっ!?」
「ナミ」
低い声で、耳元で囁かれる。ソファのそばから倒された私の体は、丁度ゾロの脚の上にあった。
世界が反転し、ナミの上に黒い影がかぶさる。

「ん…」
ナミはふと目を覚ました。まだ夜中か明け方のようだ。すぐそばで寝息がして、見ると右上にゾロの顔があった。
眉間の皺がないため昼よりも幼いその顔は、案外長い睫毛に男らしい眉、筋の通った鼻と、なかなか綺麗なものだった。その下の薄い唇に、ナミの目がとまる。
酒を飲む口も、私を切なく呼ぶ口も、そして愛刀を強くくわえる口も皆この男のもので、それを私は一晩中私だけのものにしていたのだ―そう思うと胸の奥から何かが込み上げて来て、自然と優しい笑みがこぼれた。
「…ナ…ミ……」
そんな時に名を呼ばれて驚くナミだが、ゾロは眠ったままだ。しかしナミの体は突然浮き、降りたのはゾロの上。丁度正面から抱き合うようになったナミは、まあいっか、と呟いて、もう一度深い眠りへとおちていった。

〈おまけ〉
「おい、ナミとゾロが来ねぇ!メシ、メシーっ!!」
「おれ、起こしてくるよ!」
「フフフ、いいのよ船医さん、寝かせてあげて?さて、朝御飯でも作りましょうか、狙撃手さん」
「おおおおう!!」
時計の陰にロビンの目と耳が咲いていたのを、二人は知らない。




FIN


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(2012.08.21)


<管理人のつぶやき>
船内の食事を一手に引き受けているサンジくんが倒れて、クルー達がいろいろ協力して(サンジやルフィを見張る係りを含めて)食事を作っている様子が、なんだか微笑ましいです^^。意外なことにゾロは味噌汁を作るのが上手かった。あのサンジくんを唸らせるほど。またモテポイントがアップしたゾロでした(でもナミに一途なんだよな〜^^)。

味海苔様の2作目の投稿作品で、連載物でした。味海苔さん、どうもありがとうございました!

 

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