過去も今も、これからも −4−
味海苔 様
食事を終えたところで一旦休憩し、ゆったりとした真紅のドレスを身に纏って席に着いた。と同時に、
「サプラ〜イズ・クイズ!!ゾロが質問に答えたら、ナミに答え合わせをしてもらう!もちろん罰ゲーム付きで、読み上げはロビンにバトンタッチだ、よろしくな♪」
「ええ。ではチョッパーから第1問、ナミちゃんがあなたを好きになったのはいつ?」
「確か、ナミが大砲の火を素手で消そうと無茶したときだったよな」
「だそうだけど、合否とその理由を。」
「悔しいから、×!」
嘘、嬉しい。そんなこと、とうに忘れてると思ったもの。そっと呟く。
「チョッパーからの指定はこれよ。……鼻を別にしたら、案外眼鏡も似合うのね。フランキーから、初デートはどこ?」
「デートって、どう区切るか…。蜜柑畑かぁ?」
「ぶー。私の中では、チェリストがいた、あのカフェよ。」
そんな調子で全問間違いにされたあいつは、虹色アフロに必勝ハチマキ、鼻付き眼鏡と口ひげ、たすきに蝶ネクタイに天使の羽までつけて、それは見事な格好で顔をしかめていた。
苦しくなるまで皆で笑ったら、テントが開いて、ヴァイオリンが軽快に歌いだした。テーブルが地に咲いた手で片付けられ、クルーは輪になって踊りだす。酒がなくても陽気そのもので、空の星さえも一緒にステップを踏んだ。最後の曲もコーダに入ったとき、ミニメリーのフランキーから、贈り物が届く。
夜空に咲く大輪の花に、感嘆の声を上げる。優しく愛しい皆と一緒にいられるこの幸せは、お腹の子にも伝わるかしら? 夫に寄り添い微笑むナミの瞳は、温かく穏やかだった。
静かに揺れる船の、蜜柑畑。抜き身の愛刀に、手が添えられる。
「くいなさん、昔は正直、過去を知るあなたに嫉妬したこともありました。」
「だけど、今はもうそんなことは思いません。私は今のゾロを愛してるから。勿論、ゾロはあなたと約束した剣の道を進むわ。くいなさんが彼の灯台なら、私は指標になります。」
「ナミの言う通りだ。ただ、命を奪うだけの俺に命を創る手伝いができたんだ、少し立ち止まるくらいは許してくれ。」
刀と入れ代わりに、蜜柑を見つめる。
「あー、ナミさんの家族に新しく加えさせて頂きました、ロロノア・ゾロです。お金はないとしても、ナミさんを守るという決意はあります。これからも色々とご心配をおかけすると思いますが、どうかよろしくお願いします。」
ゾロの敬語ってなんかおかしいわ、と言って笑い合うと、どこかで大笑いするあの人たちが思い浮かんだ。
「こらゾロ、ナミの体は冷やしちゃいけないって説明したじゃないかッ!…ナミも、疲れると危ないから、早く着替えて寝るんだぞ。」
FIN
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(2013.07.02)
<管理人のつぶやき>
海の上でのゾロとナミの結婚式!ナミのお腹には、既に二人の愛の結晶が^^。海の上なので、結婚式にまつわる役割も仲間たちが勤めます。ルフィの牧師の言葉はなんだか胸にしみました。仲間たちに囲まれて、楽しくてにぎやかで、本当に幸せいっぱいのお式でした!!
味海苔様の3作目の投稿作品でした。連載完結おめでとう&お疲れ様でしたーー!