‘――ここはどこ?’
辺りは霧に包まれている。
‘なんだかとても眠い’
そう思った瞬間、目の前が真っ暗になった。
Dream −1−
ねここ 様
目が覚めたら辺りは一面草原になっていた。
周りは草原以外何もない――と思っていたが、そう遠くないところに廃墟がある。
誰か居るのだろうか。そんな期待を胸に、少年は廃墟の方へ進んでいった。
廃墟の中の広場に一人の少女が居た。
少女は誰かを待つかのように広場の噴水の縁に座っている。
その顔は――期待と不安という相反する思いに満ちていた。
少年は広場についた。
広場には真ん中に噴水がある以外は、壊れたベンチが数個あったぐらいで他には何もなかった。
人の気配が少しする。そう思って噴水の方を見てみたら誰かが噴水の縁に座っていた。
遠目から見ただけなのにすぐに女の子だとわかった。
鮮やかなオレンジ色の髪がとても印象的だ。
少女はこっちに気づいたのか、こっちに向かって走ってくる。そして目の前に来たとき、少女は言った。
「こんにちは。私の名前はナミ。あなたの名前は?」
「俺の名前は――・・・それよりココはどこだ?」
「それは後々話すから、まずはあなたの名前を教えて。」
「――ゾロだ。ロロノア・ゾロ。」
「ゾロ・・・。よろしくね!」
「あぁ・・・よろしく。」
彼女―ナミ―はゾロの名前を知って嬉しいのかはわからないが、にこにこ笑っている。
「あのさ、教えてくれよ。ここはどこなんだ?俺、ここに来る前は霧ん中に居たと思ったんだが。」
ナミは少し考えてから言った。
「きっとそこは夢と現実の狭間。ここは夢の中の世界よ。」
「はぁ!?てこたぁ俺は今眠寝てんのか?」
「まぁ・・・そうなるわね。」
それにしては現実味のある夢だ。
「・・・お前も今寝てるのか?」
「当たり前じゃない。寝てなきゃ夢なんて見ないわよ。
ああ、そういえばこの場所に何人か居るのよ。みんな!出てきて!!」
ナミがそういうと遠くの方から人影が見えてきた。その数およそ6人。
近くに来て顔がわかってくると、その中に見なれた顔があった。
「ルフィ!!」
ルフィと呼ばれた黒髪の少年はゾロに気づいたのか、手を振りながら小走りに近づいてきた。
「よう!ゾロじゃねぇか〜♪どうしたんだこんなところで。」
「どうしたんだっつってもなぁ・・・」
「なになに。二人とも知り合い?」
ナミの問いかけにゾロは早口に答えた。
「ああ。俺らは幼なじみで同じ高校通ってる。」
「へぇ、どこの高校通ってるの?」
「東海高等学校」
「ふ〜ん・・・」
(ふ〜んてなお前。自分から聞いてきたんだろ!?)
とか思いながらも口には出さない。
そんなことを思っていたのをナミは知ってか知らないでか、
「つっこみたいときはつっこんだ方が良いわよ〜。ためないで発散した方がすっきりするし・・・」
ナミのこの言葉にゾロはびっくりした。
「お前は人の心が読めるのか!?」
「アハハ。さすがの私でもそんなことできないわよ。」
「さすがのあたしでもってなぁ・・・・オイ、他の奴ら、名前を教えてくれ。」
「なんだとオイコラァマリモ!!」
「まぁまぁサンジさん。そうケンカ腰にならないで・・・」
「でもぉ、ビビちゃん・・・」
ふんふん。今俺にケンカ売ってきた金髪のぐるぐる眉の名前はサンジっつうのか。
んで、今サンジを止めた水色の髪の女がビビか・・・。
「じゃ、そこの長っ鼻。お前の名前は?」
「誰が長っ鼻だ!!俺様の名前はウソップ!キャプテ〜ン・ウソップだ!人々は俺のことをパチンコの天才と言いあがめていてだな、俺には一万人もの門下生がいて――」
ふん、この長っ鼻―ウソップといったか―は嘘をつくのが好きみたいだな。うん。
「んじゃ、次そこの・・・タヌキ!」
「ておぉい!人の話はきちんと最後まで聞けぇ!!」
というウソップのつっこみは無視。
「た、タヌキじゃねぇぞ!ト、トナカイ――だ?」
(何故疑問系?)
「お・・・オレ普通の人間のはずなのに、何でトナカイになってるんだろう?しかも青っ鼻・・・。あ、自己紹介の途中だったな。オレ、トニートニー・チョッパーだ。よろしくな、ゾロ!・・・だっけ?」
「ああ。よろしくなチョッパー。・・・良い名前だな。」
「う、・・・ほめられたって嬉しくねぇぞ!」
そういいながらも、顔が笑っていて、凄い嬉しそうだ。
「じゃぁ最後は私かしら?」
「あれ、あんた・・・一度東海来たことねぇか?講師か何かで」
「あら、そういえばあなた東海の生徒だったわね。ええ。行ったことあるわ。以前一度だけ考古学の講師として。改めて自己紹介するわね。ロビンよ。よろしく。」
「ああ、よろしく。」
「じゃぁ、早速本題に入ってくれねぇかナミ?」
そしてナミの話が始まった。
2へ→
(2006.07.03)Copyright(C)ねここ,All rights reserved.