このお話は「lecter street」の続編です。





house sitting            

みづき様






「おい起きろよ2人共、朝だぞ。」

「・・・。」

「え・・・今何時・・・?」

部屋のカーテンを勢い良く開けてゾロとナミそれぞれの肩を揺らしたチョッパー は目を覚ました2人にベット脇に置かれている目覚まし時計を見せる。

「7時20分だぞ。早くしないと遅刻するぞ、ナミ。」
「分かってるって・・・。 朝ご飯何・・・?」
「トーストとスクランブルエッグ作ったぞ。 あとコーンフレーク用意したから、早く着替えてくるんだぞ。」
「りょ〜か〜い・・・。」

まだ寝ぼけ声な為少々不安になりつつ部屋を後にしたチョッパーだったが10分程して支度を終えた2人は、朝食が用意されてるリビングへとやって来る 。

「チョッパー、歯磨き粉終わっちゃったからね。」
「分かった。後で買ってきとくぞ。」

・・・そしてそのまま朝食を食べ始めたのだが。

「あ・・・なぁ、2人共大丈夫か?」
「何がだ?」
「大丈夫って?」
「2人していつも下着で寝てるからさ。いくら暑くたって何か着て寝てた方がいいぞ。エアコン冷えたらすぐ夏風邪ひくんだからな。」

とたんに隣同士の2人は全く同じ表情をチョッパーに向けた。

「な・・・何だ?」
「別に気にする事じゃねぇだろ・・・タイマー掛けて寝てるんだしな。」
「・・・。」
「ふ〜ん・・・。」

そうはいうものの、そんな2人の様子を不思議に感じたチョッパーは目をパチクリさせ頭の上に疑問符を浮かべながらも朝食を食べ終える。
後に続いた2人も朝食を食べ終えるとチョッパーが洗い物を終えたのに合わせ部屋を出る準備を終えた。

「あ・・・ねぇ、戻るのっていつになるの?」
「取り敢えずは明日の夜だ。その間に横領犯が見つかんなきゃ、また行く。」
「そう・・・。」

玄関先で話している2人の所へチョッパーがやって来たのはそれからすぐ。
実はゾロはレクター市の隣クロー市にある会社からの依頼で横領犯を探す仕事へ向かう事になっていた。

「何かあったらすぐ携帯にかけろよ。」
「分かってる。」
「分かった。ゾロも何があるか分からないんだから気を付けるんだぞ。」
「あぁ。じゃぁ、先行く。」
「行ってらっしゃい。」
「気を付けてな。」

バックを手にしそのままナミとチョッパーに見送られゾロは車で1時間程の場所、クロー市へ。

「さてと・・・あたしも行くか。チョッパー、戸締まりは?」
「ちゃんとしたぞ。」
「そ・・・じゃ、大丈夫ね。お昼はちゃんとウチの店で食べるのよ。夜はサンジ君が休みだから皆で食べる事になってるんだからね。」
「あぁ。ちゃんと聞いて知ってるぞ。 ナミ、何かゾロみたいだな。ゾロも昨日同じ事言ってたぞ。」
「あ・・・何か可愛くな〜い。心配してやってんじゃない。」
「う・・・うわ、やめろよ!」

そして見送ったナミはと言うと戸締まりを終えたチョッパーの被っている帽子を取り焦げ茶がかった髪を少し乱暴に撫でた。

「じゃぁ、あたし一旦家に戻って学校行くわ。診察しっかりね。」
「お・・・おぉ。」

帽子を被り直しながら3階にある自分の家へ戻るナミを見送り チョッパーもそのまま診察へ。


少し長引いた事もあり 彼が朝食を食べに『レーン』へやって来たのは12時30頃だった。

「チョッパー。確か今日ゾロいないんだよね?ウチに泊まる?」
「大丈夫だぞ。一応慣れてるからな。」
「そう。夜は皆で久々に食べるし、思い切りお腹空かしておきな。」
「あぁ。店長が作ったのは何でも美味いから、俺楽しみにしてるぞ。」

そんな彼の携帯の着信音が鳴ったのは、昼食を食べ終わった時・・・。

「・・・?」

画面を見るとメモリが表示されており、チョッパーはそのまま携帯の通話ボタン を押す。

「もしもし?シャンクスか?」

『おう。いきなり悪ぃな・・・大丈夫か?』
「あぁ、大丈夫だぞ。どうしたんだ?」

電話を掛けて来たのは、ルフィの兄・エースのいる刑事課の上司・シャンクスだ った。

『また検死を頼みたいんだ。 人手が足らなくて監察医がすぐ現場に行けなくてな。大丈夫か?』
「大丈夫だぞ。ちゃんと後で2万ベリー振り込んでくれな。」
『分かってるって。じゃぁ、今から行く。この時間なら・・・下の喫茶店か?』
「あぁ。丁度食べ終わったトコだぞ。」 『分かった。じゃぁ待っててくれ。』

そのまますぐにチョッパーは通話を切る。 様子を見ていたベルメールはそんな彼に声を掛けた。

「何?診察の依頼?」
「違うぞ。また検死頼まれたんだ。」
「検死って・・・死体を調べるやつよね?」
「あぁ。何か人手が足らないって言ってたぞ。」
「ふ〜ん・・・警察も大変なのねぇ。まぁ、気を付けて行っといで。」


「なぁ、その現場って何処なんだ?」
「ここから10分位行ったトコにある『モノ』って名前のマンションだ。」

レーンで電話を受けてから約10分後。 店を後にしたチョッパーはシャンクスが運転する車の助手席にいた。


「第一発見者は仕事仲間と管理人でな・・・今事情を聞いてる。その仕事仲間が、害者が出社しないのを変に思ってマンションへ来たそうだ。携帯も家の電話も通じなかったらしい・・・。それで管理人に鍵を開けて貰い害者を見つけたそうだ。」
「・・・って事は、部屋は密室だったのか?」
「あぁ。俺もすぐ確かめた。そっから先はお前の検死を聞いて判断する。」
「分かったぞ。」

問題の現場はマンション『モノ』の1階 −103号室−。

被害者は手首を切って横向きで死んでおり、その手首の周りには血痕が広がって いた。

「見つけた2人はもう帰ったのか?」
「いや、まだ管理人の部屋にいる。昨日害者と電話してたらしい2人も来るんで な。」
「ふ〜ん・・・。」

シャンクスを見上げた後部屋を調べている鑑識の人達を見たチョッパーはその後すぐに帽子の鍔を後ろに向けると被害者に黙祷をする。

それから検死は10分程で終わり、彼は再び帽子の鍔を前へと戻した。

「・・・どうだ?」
「詳しくは司法解剖しないと分からないけど、この人殺されてるぞ。」
「ホントか!?」
「あぁ。」

すぐに屈むシャンクスに、チョッパーは被害者の首を見せる。
そこには2cm程のアザの様なものが残っていた。

「ここさ・・・痕が残ってるだろ?これレミー痕だぞ。」
「これがか?絞殺した痕にしちゃ、はっきりしてねぇな。」
「多分犯人は絞殺したんじゃなくて気絶させたんだ。 何か細い物で絞められたみたいだな。死因は手首の方だぞ。」

そしてそのままチョッパーは被害者の右手首を指す。

「これ刃物だと思うんだけど、傷跡が深いから強い力で切られてるしそこから出血したのが死因なんだ。ためらい傷もないだろ?」
「確かにそうだな・・・自殺だとすりゃ死因になった傷以外にいくつかあるはず だ。」
「あぁ。死後硬直は完全じゃないし死斑も右の脇腹にあって固まってるからこの暑さからの誤差を入れても、殺されてから10〜12時間位過ぎてるぞ。」
「って事は・・・大体今朝の2時〜4時か。」

死斑というのは死亡した後止まった血液が一番下の部分に溜まり 紫の斑点となって現れるものをいう。
死後7〜10時間で血液が固まる事と死体が完全に死後硬直していない事から12時間以上は過ぎていない事になり、死後10〜12時間とチョッパーは検死 した。

「その時間じゃ寝てて皆アリバイ無いんじゃないか?」
「まぁ・・・ある方が不自然だな。オマケに密室殺人な上凶器が無しか・・・。 」

そう言って立ち上がったシャンクスに続きチョッパーも立ち上がる。 ・・・ところが。

「わ・・・と・・・っと・・・。」

バランスを崩してしまったチョッパーは、後ろにあるテーブルにぶつかってしま った。

「って・・・。」
「おい、大丈夫か?」
「・・・大丈夫だぞ。」

彼はそのまま、ぶつかった際落としてしまったリモコンをテーブルに戻しリュッ クを背負う。
その時このリモコンがエアコンのものだと気付いたのだが・・・。

「なぁ、シャンクス・・・この部屋のエアコン付けてないよな?」
「あぁ。それに付けたくても無理だ。現場保存出来なくなるからな。」
「・・・けど、電源入ってるみたいだぞ?」

そのエアコンの電源がどうやら入っているらしかった。

「あ?」

チョッパーが言った事は確かで、リモコンの『ON・OFF』ボタンを押したシャンクスは温度表示らしき『34・24』という字が消えたのを確かめる。

「・・・。」
もう一度押すと再び『34・24』の字も現れエアコンの右端も小さく光ったのだが風はエアコンからは吹いてこなかった。

「壊れてるみてぇだな。」
「・・・。」

もう一度ボタンを押しエアコンの電源を切ると シャンクスはそのままテーブルへリモコンを戻す。
・・・彼が呼ばれたのはその後すぐだった。

「警視!昨日害者へ電話をしていた2人を連れて来ました。」
「分かった、すぐ行く。」

呼んだのはラフな格好をしている彼と違いスーツ姿の刑事で部屋を後にしたのを見たシャンクスは、すぐチョッパーに声を掛けた。

「悪ぃな・・・お陰で助かった。 後はこっちでやるから任せてくれ。今、外にいる誰かに送らせる。」
「分かったぞ。」

それからシャンクスは鑑識に遺体を運ぶよう指示し2人で部屋を後にしてすぐ、チョッパーを送るようマンション前の警官に指示す る。

「送ってやれなくて悪ぃな。奴等にも宜しく言っといてくれ。」
「あぁ。じゃぁな。」
「おう。」

こうしてチョッパーは彼に見送られその警官の運転する車で戻ると すぐに午後の診察へと戻ったのだった。


「へぇ・・・密室殺人ねぇ。」

殺害現場を後にしてから時間は過ぎ 場所も移って此処はナミとベルメールの自宅。
夜になり、サンジが久々の休みとあり皆で夕食を食べる為集まったのだが、やはり話はチョッパーが検死した事件になり、話を聞いたウソップは呟く様に言うとパスタを口にした。

「やっぱり第一発見者が怪しいんじゃない?仕事仲間の奴だっけ?」
「あ・・・私もそんな感じします。」
「ナミさんとビビちゃんがそう言うなら、きっとそうですよv」
「出た・・・ラブバーテン。」
「うるせぇよ、ウソップ。」
「痛て・・・サンジてめぇ、何しやがる!」

すかさず隣のサンジにはたかれ、ウソップはそのまま彼と言い合いを始めてしまう。

・・・しかしその言い合いの中 ルフィとチョッパーはパスタを口にしながら黙り込んでいた。

「チョッパー?」
「ルフィさん?どうしたんですか?」

ナミとビビは、隣にいるそれぞれに声を掛ける。
先に口を開いたのはルフィだった。

「う〜ん・・・やっぱ俺、現場行ってねぇから分かんねぇや。 なぁ、チョッパー・・・何か気付いた事なかったか?」
「エアコンが壊れてた事位だぞ。すぐに戻って来たからシャンクス以外の奴に会ってないしな。だから、被害者と集まった人達との事情とか知らないんだ。」
「ダメだぞ、お前!そこが肝心なんじゃねぇか。 そんなんじゃ俺みたいな探偵になれねぇぞ。」

「「「「「 いや、違うし! 」」」」」

途端にルフィは皆からツッコミを受ける。

「随分楽しそうじゃないか。」

ベルメールが人数分の飲み物を持って来たのはその時・・・。
彼女はそのまま配り終えると、チョッパーとルフィの間に座った。

「まぁ・・・その密室だって人間がやったトリックだから、解けるとは思うけど 。」
「流石お母さん、いい事言うv」
「ゾロの受け売りだけどね。」


ベルメールはそう言うと後ろの棚にある煙草を手にして火を付ける。

「・・・ゴメン、吸わせて貰うわね。ナミ、換気扇回して貰える?」
「は〜い。」

彼女が換気扇を回してすぐ、煙草の煙はそのまま上へ・・・。

「煙・・・?」

その煙を見ていたチョッパーは目をパチクリさせると、俯いてゾロの癖と全く同じにその焦げ茶がかった髪をかいた。

「チョッパー?」

そして戻ったナミに返事をせず考え込んだチョッパーは暫くして立ち上がり、ベランダへ出て室外機を見ると振り返る。

「皆、分かった!トリックが分かったぞ!」

それを聞いた全員がチョッパーを見たのは言うまでもなかった。

「・・・皆、協力してくれるか?一緒に現場に行って欲しいんだ。」
「いいぞ。俺も知りてぇしな。」
「いいわよ、トニー君。」

最初に返事をしたのはルフィとビビ。

「けどよ・・・トリックが分かっても犯人の証拠はねぇんじゃねぇか?」
「あたしもサンジ君の言う通りだと思う。」

次にサンジとナミはチョッパーにそう言う・・・。

「多分大丈夫だぞ。証拠はまだ現場に残ってるはずだ。それにこのトリックは手袋してたら出来ないはずだから見つかった証拠の何処かには犯人の指紋が付いてるはずだぞ。」

「ホントなのチョッパー!?」
「ホントかよ、おい・・・。」

ベルメールとウソップだけでなく、他の皆も驚いた表情を向けた。

「あぁ。それと、ウソップが持ってるリール貸して欲しいんだ。 ・・・この位のあるか?」
「そりゃぁ・・・一応釣りやってるから持ってるけどよ・・・。 家に戻んねぇとなんねぇし、どうすんだよ?」

続けてチョッパーに聞いたウソップだったが それにはルフィがすぐに答える。

「シャンクスが事件を知ってるからな・・・俺達はシャンクスの車で行く。ウソップはサンジの車でチョッパーと3人で来りゃいいだろ。」
「おぉ・・・成る程。」
「・・・おし!んじゃ、メシ食って行くか!」


「これが室外機の中に入ってたってのか?」
「あぁ。だからシャンクスが動かした時、エアコンが動かなかったんだ。」

夕食を食べ終えベルメールに送られた皆が マンション『モノ』に揃ったのはそれから約30分後。
後からルフィ達と到着したシャンクスは、ハンカチ越しに長い黒のリールをチョッパーから渡された。

「よく室外機から取り出せたな、ウソップ。」
「こんなの朝飯前さ。取り敢えず今は元に戻してある。」
「そうか・・・。」

そしてシャンクスはその黒いリールをビニール袋の中へ入れる。

「・・・それでトリックが分かったってのはホントなのか、ルフィ?」
「あぁ。チョッパーが解いたぞ。」
「・・・ホントか、チョッパー?」

シャンクスに言われ頷いたチョッパーは、リモコンのスイッチを押す。
すると昼同様電源が入り、今度はきちんとエアコンから風が吹いた。

「・・・風!?」
「このエアコンは壊れてなかったんだ。 そのリールが室外機のファンに絡まって動いてなかっただけなんだぞ。」

そのエアコンの電源を切ったチョッパーはそのまま言葉を続ける。

「誰か犯人と被害者やってくれないか?」

「あ・・・じゃぁ、あたし被害者やる!」

それを聞いてすぐに手を挙げたのはナミ。
次にルフィが彼女に続いた。

「んじゃ、犯人は俺がやる。」
「分かった。じゃぁ、俺の言う通り頼むな。」
「おう!」
「ウソップは室外機見ててくれ。」
「りょうっかいっ!」

3人を確かめたチョッパーは、次にサンジ・ビビ・シャンクスを見るとそのまま話し始める。

「俺が検死した死亡推定時間から言って犯人は間違いなく、殺すずっと前からこの部屋にいたんだ。夜中いきなり来たらいくら何でも怪しまれるからな。」
「確かに・・・司法解剖で死亡推定時刻は合ってたし 害者からはアルコールが検出されてる。 ・・・おそらくそれまで飲んだりしてたんだろうな。」

そしてシャンクスに無言で頷いたチョッパーは ウソップから預かった灰色のリールをズボンのポケットから取り出す。

「このトリックは、ここや店長の部屋みたいにリビングにも換気扇があるから出来たんだ。
犯人は、傷をつけないリール・・・それも細いサイズのを使って密室にしたんだぞ。」
「どうやってだよ?」
「ホントに出来るの、トニー君?」

シャンクスだけでなく首を傾げるサンジとビビを見たチョッパーは再び頷いて次にルフィとナミを見ると、ルフィにそのリールを投げた。

「まず犯人はそのリールを使って犯人を気絶させる。
で、凶器の刃物を使って手首を切ったんだ。
そのまま被害者は出血によるショック死で死亡。
多分犯人はそれを見届けてたんじゃないかな・・・。
その後玄関やドアを閉めた犯人は、キッチンの椅子を持ってきてそのまま乗っかるとリールを換気扇に通して、外のベランダ側へ出したんだ。今のルフィみたいに靴下を履いてれば問題ないからな。 」

チョッパーの言う通りに動いてるルフィは椅子の上に乗っており、ナミはすでに起きあがっている。
そのルフィに今度はリュックから取り出した鋏を渡すと、玄関から彼のスニーカーを持ってきてベランダへ置いた。

「・・・長くリールを切って椅子を戻したら、このベランダの出入口の鍵を水平にするんだ。
で、リールの先に小さな輪を作っておく。
ベランダ側のリールをたるみが無くなるまで引っ張りながら室外機のファンの奥へ通して部屋側のリールは、輪の結び目を下にした状態で鍵に引っかけてベランダに出る 。
これで最後に出入口を閉めて完成だぞ。」

部屋の中と外では灰色のリールが1つに繋がり チョッパーは再びエアコンの電源を入れる。

「タイマーでエアコンが動いた事で、奥に通したリールがファンに絡まるんだ。巻き取られて引っ張られるリールは水平の鍵を持ち上げ鍵を掛けてそのまま換気扇を通ってファンの中に入るってわけだぞ。」

するとリールは引っ掛かる事無く巻き取られ鍵を掛けると 彼の言う通りに室外機の中へと収まった。

「ウソップどうだ?」
「あぁ・・・お前の言う通り室外機に入ったぜ。」

鍵を開け覗き込んだチョッパーはウソップからそう言われると振り返り、皆に向かって『ニカッ』と笑う。

「ほぅ・・・。」
「やるじゃねぇか。」
「すごい、チョッパー!」
「すごいわトニー君!」

ベランダから戻ったルフィも スニーカーを持つ反対の手でチョッパーの頭を思い切り押した。

「やるなぁ、お前。」
「わ・・・お・・・押すなよ!」

そしてそのままルフィは一旦玄関へ・・・。
チョッパーはエアコンの電源を切ると、帽子を直しながらさらに言葉を続けた。

「多分、小さな輪が室外機の所で止まるストッパーの役目もするはずだったんだ。
だから犯人は家で何回も試してたと思うぞ。
けどここの室外機は通し穴の部分が大きくて全部入っちゃったから回収出来なくなったんだ。
今のウソップみたいに、簡単に室外機は外せないからな。
昼間エアコンが動かなかったのはそれでだし、輪を作る時は手袋を取らないと出来ないからシャンクスに渡したリールには、輪の辺りに指紋が付いてるはずだぞ。
それにそのリールと被害者にあったレミー痕が一致するはずだし、
犯人はそのままベランダからここを後にして凶器の刃物はどこかに捨ててると思うぞ。」

言い終えてチョッパーはリモコンを元あった場所へと戻す。

リールを回収したウソップが室外機を元に戻し、皆のいるリビングへ戻ったのはルフィが玄関から戻って少し後・・・。

彼はルフィからリールを返してもらうとすぐチョッパーを見た。

「しかしお前、よく分かったな。」
「店長が煙草吸ったの見て分かったんだ。 換気扇の隙間なら輪は引っ掛からないって気付いたのもその時だぞ。」

そのウソップに続いたのは、それまで様子を見ていたナミ。

「お母さんの煙草で気付くなんてやるじゃない!」

そしてサンジとビビも彼女に続いた。

「これであいつも廃業だな。」
「サンジさん、それはちょっと・・・。」
そんな皆の様子を見ていたルフィはというと、それからすぐシャンクスを見る。

「なぁ、シャンクス・・・もしかすっとそのリール取り返しに来るかもしんねぇ ぞ?」
「あぁ・・・その可能性はあるな。 犯人は一緒に酒を飲む仲だ・・・事情聴取した管理人以外の3人の可能性は高い 。俺はこのままお前達を送った後、このリールを鑑識に出す。4人の指紋は採ってあるからすぐ分かるだろう。ここもすぐ張らせるから心配すんな。」
「そっか・・・しししし。」

シャンクスもまた、そんなルフィを見ると『ニカッ』と笑った。

「それにしてもお前今回いいトコなかったな。 お前もチョッパーに譲って廃業するか?」
「しねぇぞ!それに今回はチョッパーが気付いたし 俺は詳しく知らなかったからな。」
「ほぅ・・・。 まぁ、そういう事にしといてやるか。」

そしてすぐ、眉を寄せているルフィの黒髪を乱暴に撫でる。

「とにかく後はこっちでやるから心配すんな。送ってやるから大人しく帰れよ。 」


「・・・で?凶器は見つかったのか?」
「シャンクスは今見つけてるって言ってたぞ。 捕まった犯人は、ゴミ捨て場に捨てたって言ったらしい。」
「そうか・・・。」

皆で殺害現場へ行きチョッパーがトリックを解いてから丸1日が経ち ここはゾロとチョッパーの自宅。
夜になり、無事横領犯を突き止め戻ったゾロは チョッパーとナミから事件について聞き終えた所だった。

「・・・動機の方は何だったんだ? その指紋とレミー痕が決め手になったんだろ?」
「え?夕刊に載ってなかったの?」
「あぁ。事件の事は載ってたがな。」

隣に座っているナミはそのままゾロに言いながら、夕飯を口にする。

「取引が原因だったってシャンクスは言ってたぞ。」
「・・・取引?」
「あぁ。っと、何だったかな・・・。イン・・・何とか取引って・・・。」
「・・・インサイダー取引か?」
「おお!それだぞ、それ!」

そして彼女同様夕飯を食べているチョッパーも 目をパチクリさせると、同じく夕飯を食べているゾロにそう言った。

「インサイダー取引?何それ?」
「簡単に言うと、株の情報を売り手が買い手に教える事だ。 情報を貰った買い手は有利に株を買えんだろ。」
「そっか・・・確かにそれって違反してるわね。」
「まぁ、そうなるな。」

隣のゾロに教えて貰い、ナミも納得した表情になる。

「掴まった犯人は何年も前からそのインサイダー取引ってのをやってて貰った見返りの合計が3000万ベリー位あったらしいんだ。 それを被害者に知られて犯行したらしいぞ。」
「成る程な・・・。」

チョッパーもそんなナミに続き、ゾロにそう言った。

「でも、ホント凄かったのよチョッパー。 あんたみたいにトリック解いちゃって、びっくりしたんだから。」
「まぁ、時々現場に連れてってるしな。」

ゾロも夕飯を口にしながら彼女に言う・・・。
するとそんな2人を見ていたチョッパーは、夕飯のメインであるハンバーグの刺さっているフォークを手にしたまま大声をあげた。

「あ──────── っ!忘れてた!」
「何だ、いきなり・・・。」
「どしたの、チョッパー?」

そのまま彼はすぐ、首を傾げているナミを見る。

「昨日聞くつもりだったのすっかり忘れてた・・・ナミ、大丈夫か?」
「え・・・何が?」
「俺一昨日の夜暑くて目が覚めてさ・・・。水飲みにキッチン行った時ナミが痛そうにしてる声聞いたんだ。ゾロがいるから大丈夫だと思ってそのまま寝たんだけど朝になって聞くつもりだったのすっかり忘れてた。 どっか痛いの我慢してるのか?」

「「 ・・・。 」」

そして次の瞬間、ナミだけでなくゾロも動きを止めてしまった。

「な・・・何だ?」

そんな2人を見たチョッパーは目をパチクリさせると・・・。

「だ・・・大丈夫よ、チョッパー。ありがと。」
「お前は気にしなくていい・・・。」

「・・・?」


突然無言になり夕飯を食べる2人を、頭の上に疑問符を浮かべながら見るのだった。






FIN



 

<管理人のつぶやき>
レクター街のあの探偵達が再び登場!
今回の大活躍はワトソン役ともいえる相棒チョッパーでありました。
彼の専門である医学的知識が駆使され、またわずかなヒントからトリックを見破る推理力が光ります!
でも、ゾロとナミが夜に何をしているかは分かっていない・・・。
このギャップの激しさがホンマにかわいい奴ですなv
密室トリック、すごい!そこからの犯人割り出しのお手並みもお見事〜!
そして・・・シャンクス警視!ああ、なんて素敵な響きなんでしょうvvv

みづきさんのパラレルSSの続編であります。
みづきさん、またまたの大傑作をどうもありがとうございました!

レクター街のゾロ探偵の活躍も見てみたいぞ?という方は、
SS「
lecter street」を読んでみてね。


 

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