言葉
            

雨月 凍夜 様






−あなたが好きよ
  私がこう言うと
  あなたは顔を赤くして
  向こう方をむいてしまうの

−あなたが好きよ
  いつも私から言うセリフ
  けっしてあなたの方から言ってはくれない

−あなたが好きよ
  あなたが口下手なのは知ってる
  そんなあなたも好きだから

  ・・・でもやっぱり言ってほしい

−スキよ
  私の口から紡ぎ出されるこの言葉
  あなたに届いているのかしら
  透明な色彩のこの言葉
  ちゃんとあなたに届いているのかしら

  ・・・応えてくれてもいいじゃない

−スキよ
  私がこう言うと
  あなたは私を抱きしめてくれる
  何回も優しい口付けを落としてくれる
  でも けっして言葉では言ってくれないの
  今日も良い天気
  かわりのない晴天 風も良好

  私の心の中は「 オオウズ 」

−ねぇ スキよ
  やっぱり今日も私からの言葉
  好きって言ってるのに 心は虚しさでいっぱい
  ・・・今日もあなたは言ってくれないのね
  いつもするように 私を抱きよせる
  そして いつものように口付けを
  ・・・今日はしないのかしら
  いっこうに唇が降りてこない
  そんな事を考える

  そして次の瞬間ー

  思考が停止した
  耳元で囁かれた言葉

−アイシテル

  これだけの言葉
  たったこれだけの言葉
  そう これだけで私は充分
  きっとあなたは
  いつもより顔を赤らめているの
  だって 抱きしめられている腕に
  力がこもっているから

−好きよ
  もう一回言ってみる
  今度は何もおこらない
  でも もう充分
  ・・・だって 言ってくれたから
  たとえ最初で最後の言葉だったとしても
  「 愛してる 」
  そう あなたは言ってくれたから

  ・・・それで充分

  今日は晴天
  きっとこれからもずっと晴天
  もう 雲がかかることはないわ

  ・・・だって あなたが言ってくれたから

−アイシテル
  そう一言だけ





END




 

<管理人のつぶやき>
なんてリリカルなんでしょう!言葉を紡ぐナミに対して、言葉で言い表さないゾロ。ナミがゾロに対して「好き」という言葉を繰り返す度に、私もナミに同調して、切なくなってきました。でも、最後には・・・。これも言葉の威力ですねv

雨月凍夜さんのBBSでのカキコから、小説を書いておられるような気配を察知したハイエナ四条は、「読ませてください」とお願いしました。そうしましたら、このような素晴らしい小説を送ってくださいまいした。雨月さん、ありがとうございました!
実はまだあります(ニヤリ)
宝物庫場面からも飛べますが、ここからもどうぞ!
→「日常風景?」へ

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