もう一度信じて 〜その後〜   後編




「え?」

ゾロの言わんとしていることが理解できないまま、抱きしめられていた腕が解かれ、ナミは両の肩を掴まれて仰向けに押さえつけられた。ゾロは上体を起こし、ナミの腰の上に体重を掛けないようにして跨ぐ。
バサッと上着を脱ぎ、ズボンも脱いで足で蹴り飛ばした。
見事な筋肉に覆われたゾロの身体が目の前に現れた。

「や!ダメよ!」
「大丈夫だって。絶対に体重掛けねぇから。」

暗闇の中、自信たっぷりにそう言いながら、ゾロはナミの寝間着の前ボタンを上からゆっくりと外していく。
抵抗すべきなのに、できなかった。そうしてほしいと心は望んでいたから。
ボタンが外れたところから、外気が入り込んで少し身震いした。
全て外し終わると、ゾロは両の手でナミの上着の合わせ目を押し開いた。

(ああ)

ナミの白くて丸い果実のような胸が、ゾロの目の前に晒される。
あの時だってもちろん見られている。でもあの時は、異常な状況下が羞恥心を麻痺させていた。
でも今日は違う。仲間から特別な人になった男に、今日初めて胸を見られる。目も眩むような羞恥心がナミを襲う。恥ずかしくて目を開けていられなかった。
でも、その一方で、見て欲しい。私を見て、ゾロは求めてくれるのだろうか。
自らの意志で、ゾロが一心に女を求める姿。そんなところを見てみたい。そうさせるのが私の身体であれば、どんなに誇らしいだろう。
ゾロは何も言わない。でも、視線を感じる。ゾロの鋭い視線が、ナミの胸を余すところなく見ているのが分かる。
それだけで、胸の先端が疼いた。固くなり始めていた。

残念なことに、ゾロには初めてナミを抱いた時のナミの身体の記憶があまり残っていなかった。
ほとんど初めて見るナミの裸体。
ゾロはその美しさに息を呑んだ。
男の性で、関係を持つ前からもナミの裸をあれこれ妄想したことはあったが、ここまでとは思わなかった。
神々しいまでに輝いて見える。
この世の女神。
手をつけることは、女神を汚す冒涜のようにさえ思えた。
でも、この女神は他でもないナミ。
この女神はこうされることを望んでいる。これは女神の意志なのだ。
それに背中を押されるように、ゾロはナミの肢体に手を這わせた。
吸いつくような瑞々しくて滑らかな肌。月明かりに照らされていることも手伝って、透き通るような白さ。
そっとゾロの熱い手が、乳房の下から掬うようにして添えられる。
まずはそのたっぷりとした大きさを推し量るようにやわやわと揉む。
ゾロの手に合わせていくらでも形を変える柔らかなふくらみ。
もっと力を入れてこれを揉みしだきたい。
でもナミは通常の身体ではない。
ややもすると、力の加減を忘れて暴走しそうな自分を必死で宥める。

ゾロが自分の胸を揉んでる。それを思うだけでナミの意識は弾け飛びそうだった。
緩急つけて、確実にナミを追い込んでいく。
自分は獲物なのだ。ゾロに捕らえられてしまった。もう食われるしかない。

「ああッ」

それまで乳房の底辺に置かれていたゾロの指が、胸の先端を襲った瞬間だった。
両胸の先端を指ではさみ込む。クリクリとその形を主張するように執拗に乳首をこねる。
次に片方の胸の先端を襲ったのは別の感覚だった。ゾロの口がナミの固く立ち上がってきた胸の先端を咥えている。
ナミの口の中で見せたような舌の動きを、乳首にも施していく。
それを左右交互に繰り返す。空いた方の先端は必ず指先が捉えていて、微細な刺激を与え続ける。
胸から端を発した電流が、身体の中心に向けて駆け抜ける。
奥底の泉から、じわっと熱いものがほとばしってくるのが分かった。

ゾロはナミの上半身にかじりつくように夢中で胸を貪った。
全部呑み込みたくて口を大きく開けて食もうとしても、なお余るその大きさ。
飽くことなく唇と片方の手で乳房を愛撫し、もう一方の手は段々と下降し始めた。
スベスベの腹の肌の感触を楽しんだ後、ヘソの周りを一回りして、更にその下へ。
いまだにナミの下半身を包む寝間着のズボンのウエスト部分に指をひっかけ、下に引きずり下ろしていく。ゴムが伸びて抵抗するが、やがてゾロの手の力に負けて、ズボンはスルスルとナミの身体から引き剥がされていく。
ゾロは手を、ナミの足の付け根、ナミの中心部へともっていく。
薄い下着の上から恥丘を撫でる。ざらついた感触が指に伝わってくるのは、その薄皮の下にナミの恥毛が潜んでいるからだろう。
ナミは胸への愛撫を感じるのに精一杯で、ゾロのそうしたもう一つの手の動きに気がついていなかった。
それをいいことに、ゾロは乳首は言うに及ばず、乳房全体を舐め上げ、ナミを翻弄する間もじっとナミの顔を伺った。
目を閉じて、時折嫌々するように頭を振りながら、感じる身体を耐えに耐えているようだった。
口をほんのり開き、喘ぎを繰り返している。時折声を出すが、微かなものだ。
もっと、はっきりした声を聞きたい。
確信をもって、ゾロは指をナミのそこに這わせてみる。
触れて驚いた。
そこは、びっしょりと濡れていた。
それとほぼ同時に、

「あ、あぁぁ・・・・ん!」

今までの中で一番嬌声らしい声が上がり、ゾロは思わずほくそ笑んだ。

「すげー濡れてる。」
「いや、言わないで、そんなこと。」

言いつけのままに口を噤んだが、手は雄弁なまでにその動きを大胆にさせていった。
何度もその部分で指を往復させると、濡れた下着がナミの割れ目に張り付いて、くっきりとその形を浮かび上がらせていく。
しばらくそうした後、布をよけて、手指を直接そこに這わす。ビクンと身体を震わせ、いっそうナミの声が大きくなった。
溢れる部分から蜜をたっぷり掬い取ると、それを擦り付けるように上下にゆっくりとなぞる。
上で小さなしこりがあった。ナミのクリトリスだ。それにそっと触れた。

「あ・・・・あ、あん!」

あられもない嬌声。
人差し指と親指で、更にそこをやさしく摘んだり撫でたりしてやった。

「・・・・そ、そこは、ダメ、ダメ!」
「ダメじゃねーだろ。」

そう言うと、ゾロはやっとナミの胸から顔を離し、上半身を起こした。
身体をずらし、残り僅かなナミの下着と、足下まで下ろされていた寝間着のズボンを一気に剥ぎ取った。合わせて自分も全裸になる。
驚いたナミが足を閉じて身を縮こまらせようとしたが、すかさずゾロはナミの膝と膝の間に足を割り入れ、いとも簡単にナミの両足を大きく割り割いた。その両足の間に、ゾロは身体を移す。

いまやナミのもっとも秘められた部分が、ゾロの目の前に晒される。
胸を見られた時の比ではない恥ずかしさに、ナミの全身は焼かれそうだった。
しかし、そうでありながらも、ゾロに見られていることにどこか恍惚としていた。
自分のそこが、ひくつきながらも期待に打ち震えて息づいてる。
こんなしどけない姿をして恥ずかしくてたまらないのに、ゾロにそうされてるかと思うと、頭の中が真っ白になる。
しばらくして、ゾロは再びナミの秘部に手を伸ばす。
胸から今度は標的をナミのその部分に変えて、やさしくもナミを翻弄させる指使いを施していく。
みるみるうちに、泉から新たな蜜が湧き出してくる。
それはもういつ果てることもなく、ドクドクと脈打つかのように。

「ア、・・いやぁぁぁ・・・・!」

また一際大きな艶かしい声が上がった。
ゾロが、蜜がしたたるその部分に口付けたのだ。
吸い付いて、舌を下から上へ、その部分を舐め上げる。
執拗なまでにゆっくりとした動作で。何度も何度も。
次いで小刻みに舌を震わせる。
子猫がミルクを飲むようなピチャピチャという水音が流れてきた。

「あ・・・・あ・・・・。」

もうどれくらいそうされているだろう。
ゾロはナミの股の間に顔を埋めたまま、飽くことなく唇と舌による愛撫を続けていた。
途切れることなく粘着質な水音が響き渡る。
最初は嫌々していたナミも、今では協力するかのように両膝を曲げて大きく開き、埋められた頭に両手を添えて、ゾロの舌を迎え入れていた。
いつしか、より感じる部分をゾロに差し出すように腰が揺れている。
与えられる感覚を最大限漏らさないように。その快感を全身で受け止めるように。
時折、身もだえしながら両指で緑色の髪を梳った。

もう何度イッたか分からない。
もっとも秘めやかな部分を存分に舌で愛されて、溶け出しそうだ。
イク度に全身がケイレンし、意識が弾け飛ぶ。
汗ぐっしょりで、それでももっととゾロを求める。
時折、ゾロが舌を固く尖らせて、ナミの中へと押し込んだ。
ゾロの分身を模したそれが、ナミの中を味わうかのように侵していく。
その度にナミは身体全体をひくつかせた。
ナミの中がそれを捕らえようと収縮するが、捕らえきれない。
捕らえたいのに。捕らえたくてたまらないのに。
ゾロの舌では、あまりにも小さすぎる。
頭がおかしくなりそうだった。

「ゾロ、お願い・・・・」

涙声になっていた。

「挿れて・・・・。」

とうとう、最大の禁忌を犯すまでにナミの理性は崩れた。
しかし、理性が侵されていたのは何もナミだけではない。
もうゾロもとうに限界を突き抜けていた。

女神が堕ちてきた。
ようやく女神のお許しが出た。
それに応えるのが我が本分。

ゾロはバッと秘部から顔を離し、一度伸び上がってナミの唇に自らのそれを押し当てた。
ゾロの口の周りは愛液で濡れてベトベトだったのに、ナミは不思議とそれを不快には思わなかった。
そのままゾロは起き上がり、ナミの身体を抱き起こした。
身体を入れ替えて、今度はゾロが下になり、上向けに寝転んだ。
中心には、ゾロの分身がそそり立っている。
それとナミの中心とを合わせるように、ナミをゾロの上に座らせようとする。
ナミもその動きを助けるように、ゾロの腹に手をついて腰を動かした。
一瞬、ナミの秘部にゾロの切先が触れた。それだけでお互い、身体をビクッと震わせた。
もう一度、ゾロは腰を持ち上げ、先端をナミのそこに擦り付ける。
溢れ出す蜜を潤滑油にして、先端でナミのそこをなぞると、ナミが首を振って快感に打ち震えた
ゾロも耐え切れないとばかりに苦しげな表情をしながら、ナミの腰を掴んで慎重に沈めていく。
時間をかけてゆっくりと。
そして、ようやくゾロの分身がナミの奥深くまで呑み込まれた。
そのまま、ゾロは更に腰を動かしてナミを揺さぶり始めた。
ゾロの分身を基点に、同心円状に快感が全身へとほとばしっていく。それも凄まじいスピードで。
あまりの強烈さに、ゾロは歯を食いしばって放ってしまいそうなのを耐える。まだまだナミを感じていたかった。
やがて、両手を目の前で上下に美味しそうに揺れているナミの胸に添えた。
もう遠慮をする理性が残っていなかった。
大きく、何度も執拗にナミの両胸を揉みしだく。
柔らかくて白い肉の感触にゾロは酔いしれていた。

ああ、ゾロに貫かれてる。
私のもっとも大切な部分を。奥まで。
初めて出会ったときは、ゾロとこんなことになるなんて、思いもしなかったのに。
二人の運命の歯車を変えたあの日。
でも今は、それにすら感謝したい。
あのことがあったから、今、ゾロとこうしていられる――・・・

揺さぶられながら、ナミは涙を流した。
それを見たゾロは、上体を起こしてナミと向き合った。そのままナミに口付ける。

「泣くなよ・・・」

今日、これを言うのは二度目だ。

「嬉しくて。あまりに幸せで。」

話すたびに、ポロポロと涙が頬を伝う。

「もっと、幸せになれる。」


ええ、そうね。

きっと、

もっと・・・・





二人は同時に達し、ナミはゾロの上に崩れるように倒れ込んだ。
しばらく二人とも呼吸を整える。
ややあって、ゾロが動いた。まだナミの中に入ったままだったのを、抜いたのだ。
先端がひっかかり、ナミはまたなんとも言えない艶かしい声を上げた。
そんな声を聞いて、再び走り出しそうになった身体をゾロは必死で宥める。
最初にそうしたように、ナミを抱き寄せて横になった。

「大丈夫か?」

汗で額に張り付いたオレンジ色の髪を撫で付けながら、ナミの顔を覗き込んで尋ねる。
けっこう無茶をしてしまったと、戻ってきた理性が判断を下していた。
その割りにチョッパー先生ご推奨の体位である騎乗位にしたのは、無意識の意識とうやつか。

「うん・・・・。」

弱々しい声が帰ってきた。
疲れのせいか、それとも身体に残る余韻に浸っているせいか、判然としない。

「身体、なんともないか?」
「え・・・・?え、あ!」

ナミは慌てた。自分が妊娠していることを、一時的に完全に忘れていたからだ。
でも、お腹を痛いとか、気分が悪いとか、そういうことは無かった。

「だいじょうぶみたい・・・。」

なんとも心もとない返事だったが、ひとまずゾロは安心した。

「けっこう根性あるな。」
「そりゃ私達の子だもん。」
「違いねぇ。」
「でも・・・・。」
「なんだよ。」
「病室でこんなことしたなんて信じられない・・・・申し訳ないっていうか、罪悪感というか・・・・。」

鍵も掛かっていない病室。
いつ誰が入ってくるかも分からないようなところで、我を忘れて乱れてしまった。
声は聞かれなかっただろうか。
今更ながらナミは赤面した。

「それがいいんじゃねぇか。興奮するだろ?ホテルの部屋ならともかく、病室でヤるなんてなかなか無いしな。」
「・・・・・ゾロ、なんか変態っぽい。」
「今日は薬ヤッてねぇんだから、それほどでもねぇだろ。」
「薬!もう薬だけは勘弁だわ。これからは気をつけてよね!」
「・・・・・・・・。」
「何よ。」
「・・・・・・・・そんなにヒドかったのか?」
「え?」
「実は、ラリってたせいで、あの時どうやったのかあんまり覚えてねぇんだ。」
「呆れた!あんなにヤッたのに!?」
「何回やったっけ?」
「6回よ!その内3回は抜かずに・・・・」
「へー、すごいなオレ。」
「変な関心しないでよ!こっちは大変だったんだから!」
「ナミ。」
「何!?」
「がんばって、子供産んでくれよ。」
「え?あ、うん・・・・。」

急に改まってそんなことを言われ、ナミは勢いを削がれてしまった。
しかし、

「そしたら、また6回やってやるから。」
「バ、バカ!何バカなこと言ってんのよ!!」

ゾロの腕の中で、ナミがプリプリ怒っている。
そんな彼女の背中を撫でて、ナミを宥めながら心の中で思う。


出会ってから変わらない、いつもの言い合い。
気取らず、遠慮がなく、屈託がなく。
居心地がいい。
この空気を取り戻せたことが、何よりも貴重だ。




FIN


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<あとがき或いは言い訳>
6回戦の様子を見たいなんて言わないでね(笑)。

ナミ誕で「もう一度信じて」を書き始めた時から、これで裏を書くと心に決めていました(もちろん、表作品で書ききれなかった補足の意味もありましたが)。でも伸び伸び伸び伸びーーーになって・・・ようやく書けた(汗)。
出来はともかく、今は達成感に浸っています。よくやった、自分と。
エッチの描写って本当に大変なのですね。何本も書く人を心から尊敬します。

なんとしても2004年中に裏を作らないといけないという脅迫観念のおかげで書けたと思います(笑)。後押ししてくださった皆さん、ありがとうございました!

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