クラスメイト −3−

                                  



「だーかーらー!」

ゾロはもはや言葉では説明し切れないと苛立ち、行動に出る。
ナミの両肩を掴み、壁に押し付けた。

「きゃっ」

突然のことに小さく声を上げて、事態についていけないナミは目を丸くしてゾロを見上げている。そんなナミの表情を意識の外へはじき出し、そのままずいと、顔を近づけた。
唇まであと数センチ。
鼻先が触れ合い、互いの吐息が混ざり合う距離。

「こういうことされたら、困ンだろ?」
「・・・・・。」

あまりにも近くで見開かれた瞳がかち合う。
近すぎて、相手の顔がぼやけるほどに。

「柄のイイ奴ばっかが告ってくるってワケじゃないだろ。中にはこんなことしてくるヤツも、いるってこった!」
「ちゃんと逃げるもの。」
「今のこの体勢で、よくそんなこと言えんな。」

傍から見れば、完全にゾロの体に覆い被さられて、ゾロの顔でナミの顔は隠れていて、ゾロのキスを受けているようにしか見えないだろう。
しかし、互いの唇は触れ合ってはいない。それはゾロがそこで留めているからだ。
ゾロの胸先三寸で、いくらでもその距離は0にすることができるのに、ゾロはそうしない。
無理矢理にするなんて、これっぽっちも考えてないからだ。
でも、ナミの気持ちも考えずに、自分の欲望のままに突っ走るヤツもいるだろう。
そういう相手ならば、泣きを見るのはナミの方なのだ。

「ごめん・・・・・。」
「わかりゃいいんだよ。」

そう言って、ようやくゾロはナミの身体を開放した。




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