a water tower  −6−
            

CAO 様



チチチと小鳥のさえずりが、遮光率の低いカーテンの向こうから聞こえてくる。
朝とも言えぬ昼に近い太陽光が、ナミの横たわるベッドの上にも降り注いでいた。まどろみの中眩い光を瞼に受け、そうっと瞳を開けば、隣で大鼾をかいていたゾロの姿が消え失せていた。
ナミが寝返りを打って、その太い腕の中で厚い胸板に頬を預けたのは、数時間前。ゾロのトクトク鳴る心音が心地好く、包まれる幸福を体に刻み、安心して深い眠りに誘われた。

だから。

愛しい男の腕の中、ゆっくり目覚めて、甘いくちづけ、戯れながら肌を寄せ、瞳を交し、戯言を睦み……無意識に夢見ていた至福の時間。そんなチャンスは長い人生の中でもほんの一時。知っているから、貴重で、限りなく幸福。

だが、相手が居ない。
ふと訪れる怒りが、ナミの覚醒を促した。

「ったく…ムード無いンだから、馬鹿ゾロッ!」
「……誰が、馬鹿だって?」

ふてくされてベッドにうつ伏せになり枕に悪態を吐いていると、オレンジの後頭部に不機嫌極まりない掠れ声が降ってきた。

「誰がだ?言ってみろよ…」
「アンタに決まってンでしょ!ホント、バカなんだから!」
「バカバカ言うなっ!」
「バカにバカって言って何処が悪いのよっ!」
「テンメェ…」

ナミは肩口を掴まれ、枕を抱いたままで、仰向けにひっくり返された。
無理矢理枕を剥ぎ取られる。

「ナミッ……な、何で泣いて!そんな痛かったか?や、すまねぇ。悪気はなかったんだ。大丈夫か?どこが痛てぇんだ?見せて……」
「ここが痛い。」

覗き込んでくるゾロを、ナミは自分の胸に抱き込んだ。布団の掛っていない胸元は、室内温度が暖まっていないせいで、ピンクの乳首を硬く立ち上がらせている。そこへ頭ごと強く引き寄せられ、バランスを崩したゾロは、ナミの2つの乳房に顔を挟まれる。
息を吐き出したばかりの口腔は、必死で新鮮な空気を求めて息を吸い、ナミの柔肌に張り付いた。ギュウっと押し付け、ゾロの頭を隙間なく覆えば、苦しそうにバタバタもがく翠頭が可愛い。胸元も温かくなる。
余りの愛しさに、白魚の手が弛む。

「………ブハッ。」
「ばぁ〜か。」
「死ぬかと思ったぞっ!」

漸く豊満なバストから解放されたゾロの瞳に飛込んできたナミの顔は、まだ怒りが治まっていない様子で、うらめしそうにゾロを見上げていた。

「ばかっ!アンタみたいなトウヘンボクは窒息してろっ!」
「何だと……ナミ?」
「バカ、バカ、バカ、バカバカバカバカバカ…うっ…」

ゾロの顔を見ると、潤んでいた瞳から涙が零れてきた。昨夜の事は嘘じゃなかったと、愛しい男が今此所にいると、安心し緩んだ心が雫となって、ナミの瞳から落ちて行く。

「お、おい…」
「だって、アンタが悪い。」
「何がっ!何で泣くんだよ…殺されかけて、泣きてぇのはコッチだ…」

飽きれ果てたといった顔付きで、ベッドに腰掛けたゾロは、ナミのオレンジの髪に手を這わせる。ポンポンと軽く叩いた後、長い指を絡め優しく解いた。

「…………バカ。」
「だから…………何でだ?」

掌を頬に添え雫の軌跡ごと包み、上体を折り曲げたゾロから、薄い唇がこめかみに降りてくる。
舐められた目尻は零れる涙を堰止めず、次々と溢れさせ、ゾロにしょっぱいと言わしめた。
ナミがその幸せを捕まえる為、ゆっくり手を伸ばし、ゾロの背中を抱き締めれば、ゾロもまた体をベッドの上に預けナミの体を包み込んだ。
心地好い重みがナミの上に乗っかって、バストが押し潰されたと共に、胸の中の幸福が口を吐いて零れた。

「…嬉しいから。」
「…はぁ?」
「アンタがいるから。」
「バカ……なのにか?」
「バカだから。」
「意味分かんねぇ……うおいっ!」

ナミは噴出した幸福感の所為で、ボロボロと涙が止まらなくなった。エッエッと声まで出てきて、焦ったゾロはナミの顔中キスの雨を降らせる。

「エッエッ…居ないかと…思って…アンタ……居る…ギュってして……嬉し…エッ……ばかぁ…」

ゾロはナミの意味不明な言葉に呆けた顔を見せると、力強く抱き締め涙に歪んだ唇を塞いだ。

「……ア…ホ。」

泣き濡れた瞳のまま、不満気に翠の瞳を見上げた。

「俺の姿が見えねぇくらいで泣いてンじゃねぇよっ!」
「そじゃない…エッ…」
「ンだと……折角、可愛いトコもあんじゃねぇかと思ってやったのに……チッ…」
「し…幸せで…涙出る…」

そう言った途端、ゾロはナミを抱き締めたまま体を返して、ベッドに仰向けになる。自ずとナミはゾロの上に乗せられて、綺麗な裸体が全て晒された。

「アホが……ンなんで泣くなっ!心配になんじゃねぇか?」

ゾロの両腕で固く抱かれていた体は、何時の間にか解放され、大きな掌でアチコチ撫で回されていた。
しかも、何だかとても妖しい手付き。

「どうせ泣くなら…」

ナミの艶やかな臀をギュウと握り、少し持ち上げて移動させる。

「…こっちで啼けよ。」

ゾロの股間の中央に掴まれた臀ごと押し付けられて、グリグリと下から動かされる。ニヤリと笑う顔が憎らしい。

「……無理っ!」

涙を流しながらも、ナミは必死で訴えた。

「うをいっ!昨夜散々啼いたクセに、どの口が言ってンだよっ!」
「この口…」

零れる雫をそのままに、唇を寄せた。カーテンから漏れる光を浴びて、ナミの頬の上でキラリと輝いたそれは、柔らかな唇を伝いゾロにまでもたらされた。
しょっぱいくちづけが、触れては離れ離れては触れる間に、少しづつナミの涙を止めていく。幸福の時間が戻ってきた。少し遅れて。

「…大体、もうヒリヒリして出来ないわ。アンタ、何回ヤッたと思って…」
「1、2、3…」
「数えンなっ!」
「お前が言い出した…」
「ウッサイ…第一、も、濡れないわよ。」
「!……こうすりゃいい。」

渇れた涙に安心したように、ゾロの悪い笑顔が現れた。待ってましたと言わんばかりの薄い唇の隙間に、ゾロの長い2本の指が姿を隠す。直ぐに出てきた指は、ねっとりと唾液で覆われ光っていた。

「ちょ、ちょっ……ア〜」

ナミの視界からあっという間に消えた指。間発入れずに秘部に挿し込まれた。

「な?濡れた……だろ?」

ゾロのニヤニヤ笑いは加速する。乾き切っていたナミの秘唇で、ゾロの指が這う度にどんどん悪い顔になって行く。逃げようともがけばもがく程、指は深く入り込み、昨夜見付けた感度の高い場所を刺激した。

「…クンッ…」

意に反して、ナミの鼻孔から甘い空気が零れた。

「こうして啼いてるお前のが、イイ。」
「ばっ……も、ム…リ…っん…」
「もっかいくらい平気だろ?」
「や…朝っぱらから…ダメっンン…」
「もうすぐ昼だ。」
「じゃ、余計ダ……メッ…ハァ…」
「つか、ナミお前もうグチョグチョ…」
「ヤッ!バカ…」

その言葉にゾロの上から必死で逃れたナミだが、壁とゾロに挟まれて横向きにベッドに身を横たえただけに終わった。しかも、上になった足はゾロの腕に捕えられたまま、男の腰に乗っかて抱えている様な姿勢。懸命に腕を突っ張っても、ゾロは離れ様とはしないし、壁に背中が押し付けられるだけ。

「観念しろ。」

更に足を持ち上げて、ゾロは自分の下着に手をかける。ゴソゴソ下で動いていると思ったら、ナミの濡れた箇所に熱い塊が張り付いてきた。
膣口を亀頭が撫でている。その感覚が直ぐに分かった。昨夜から何度も何度も味わった感触。その都度溢れ出した愛液が、恥ずかしくなるくらいナミの体に肉欲があると知らしめ、ゾロを求めて止まない自分がいると教えてくれた。

チュプリ…音がする。

ゾロが強引に、でも優しく入ってきた。
先端だけを埋めて、焦れた感覚をナミに与えている。
栓をされたみたいに塞がれた膣口は、その奥に溢れる愛液を押し留め、溜るに委せてナミを苛んでいた。

「ヤン…でも、無理だって。ほんと、痛いの…」
「俺も痛てぇ。」
「なら、止め…」
「それも無理だ!」
「ン……けど。」
「ゆっくりヤッから。な?」
「………出来んの?」
「出来る………と思う。」
「思うって、何よ!信用出来ないじゃないっ!」
「ま、成り行きだ。それにお前…直ぐイクし。」
「…………」
「俺も直ぐ…みてぇな気がする。」
「それも…イヤ。」
「アホ…」

ゾロは本当に嬉しそうな怖い笑顔を見せた後、ナミの中へズブズブと沈んでいった。







「分かってるって…」

「勿論やるわよ…」

「大丈夫よ、私を誰だと思って…」

「じゃあ、明日…」

携帯電話で打ち合わせているのは、明日の仕事の件だろう。木洩れ日を浴びた横顔は、希望に満ち溢れたナミの美しさを一層際立たせている。薔薇色の頬の上に落ちた光は、キラキラ輝いて柔和な表情を艶っぽく演出していた。

このまま誰にも渡したくなくなる程に。

抱き締めて囲い込んでしまいたくなる程に。

「俺だけ見つめていろ」と命じたくなる程に。




ベッドの上で一頻り戯れた後で、ゾロはまだ愉悦にまどろむナミに尋ねた。

「お前、今日仕事は?」
「ン?オフよ。」
「じゃ、出かけるぞ。用意しろ。」
「何処へ?私、ヘトヘト…」
「文句言わずに付き合えよ。」
「何よ、それ?アンタみたいに体力バカじゃないンだからぁ〜」

顰めっ面のナミの綺麗な額に、ゾロは音を立てて軽いキスをする。


「デートしてやるっつってンだ!」


その言葉にいきなりナミは、跳ねるようにゾロに飛び付いてきた。
あの頃に戻った様な笑顔で。
バタバタと準備を整え、マンションを後にした二人は、駅前の小さなカフェで遅めの朝食兼昼食を取った。その時になって初めてゾロがバッグを持っている事にナミは気付いた。いつでも両手を空けているのが楽だと、一寸した外出には財布ひとつポケットに入れているだけの男が、珍しく肩掛けの大振りなバッグを提げていた。席に着いてナミが何が入っているのかと尋ねれば、ゾロは「…内緒だ」と意味深な笑いを口許に忍ばせる。更に問詰めれば、「楽しみにしてろ」と柔和な顔に変化した。
しかも、食事を終えた後、行き先も告げず切符を手渡す。「何処行くの?」と何度も聞くナミに、「良いから黙って着いてこい!」と上り電車に押し込まれた。
秘密の匂いに違和感を感じつつも、ナミはゾロが言った『デート』という言葉の持つ甘い響きに高揚して、多少の内緒も赦せる気持ちになっていた。何故なら、彼等にとっては5年振りの、明るい空の下で、誰に邪魔される事ない、二人っきりの優しい時間だったのだから。

そして……

「ここって…」
「おぅ。動物園だ…文句あっか?」
「無いわ…でも、何で?」
「最初っから、やり直しだ。」

そう言ったゾロは、ナミの手を取り動物園の門をくぐった。

「……うん。」

握った掌の中でナミの手が恥ずかしそうに動くと、ゾロの指の間に白魚の指が顔を覗かせる。ギュッと指が手の甲にくっついてきた。その温かさを右手に刻む様に、強く握り返し、騒がしく声が響く園内に歩を進めた。
懐かしい思い出の動物園に。

「俺、去年の夏休み…ここでバイトしてたんだ。」

ゾロがそんな事を言い出したのは、ふれあい広場と銘打った子供向けに小動物を展示する一角の前だった。

「大学の先輩がここで獣医やっててよ、その助手をってんで友達と二人で引き受けたんだ。」
「へぇ〜未来の院長センセとしての修行ってワケ?勉強になった?」
「いや、呼ばれたのは体力のある若僧だった。ほら、あそこで掃除してる奴がいるだろ?あれやってた…」

ゾロが指差す先に作業服を着た40代くらいの男性が、竹箒片手に山羊や兎の糞を片付けながら、モルモットをおっかなびっくり膝に抱く幼児に優しい瞳を向けていた。

「あの人が入院してて、呼ばれたって訳だ。」
「じゃ、動物の病気を診たりはしなかったの?」
「ハハッ…まだ医師免許も持ってねぇただの学生に、命預けられっか?俺が患蓄ならぜってぇー嫌だ!だろ?」
「そりゃ、そうだわ…余計病気が悪化しそう。」
「テンメェ〜……ま、そだな。でも、愉しかったぞ。あの左端にいるパンダみたいな兎。アイツには良く指カジられた。いい思い出だ…」

ゾロはあったかい色を翠の瞳に湛え、ナミの姿も目に入っていない様だった。
ナミはその横顔に軽い嫉妬を覚え、繋いだ指に力を込めた。

「ゾロ……Mなんだ。」
「あ〜〜ン?ちげーよっ!」
「アハッ。ごめん、ごめん…」
「どっちかつうと、Sだろ?」

ゾロの意識がナミへ戻ってきた。絡めた指が妖しくナミの手の甲をなぞっている。

「バカね……知ってるわよ。十分っ!」

頬を少し赤らめたナミが、昨夜からの二人を思い起こしているのは確実だった。
弄られるように重ねた体は、今でも疼きを持ってナミの局部に痺れを残している。貫かれた瞬間に全身を覆った悦びと、追い討ちをかけるように繰り出された腰遣いに、頂点を極めそうになったところで離れていく男。何度も焦らしては煽り、脳髄を苦しめる甘美な感触に、幾度欲しいと言わしめたか。怒涛のように訪れた快感を忘れようが無い。その波の中木の葉の如くさ迷い、掴んだ藁は愛しい翠の瞳。それは、幸福な痛みだった。

「忘れンなよ…」
「忘れられる訳ないでしょ?も、フラフラなんだからっ!無茶しないでよね〜これからは…」
「あぁ。」

再びゾロの指に力が入った。誓うとでも言いたげに絡めた指を柔らかく動かし、慈しみを魅せる視線がナミに注がれる。
誰憚る事無く恋人と呼べる関係だと、二人で確認する為にナミは言葉を紡ぐ。

「約束よ……」


Pulululu Pululu…


そこで携帯電話がナミを呼び出した。


「明日早ぇーのか…仕事?」
「ううん。大して…」
「んじゃ、も一ヶ所付き合え。」

もうナミは何も尋ねはしなかった。ただ、心を許し切った笑顔を浮かべ、電話をする為に離していた手を、そっとゾロの腕に絡めた。互いが互いの一部であるのを確かめる様に。




再び電車に乗ると車内は空いていた。二人は肩を並べ座席についた。傾きかけた午後の柔らかな日差しが、大きな車窓に降り注ぎ、ガタゴト揺れる電車の振動で心地好くなったナミは自然に瞼を閉じた。隣にあるゾロの肩に頭を預けると、安堵した心と疲弊した体の両方が静かな眠りを誘った。

時折、車窓を過ぎる建物に因って、ナミの頬に翳が差す。それに慣れると今度は日差しが入れば眉間に皺が寄る。自分も眠りに誘われながら肩口のオレンジを見つめていたゾロは、無意識に不快な顔になる彼女の為にと、貸していた肩を少しずらし、腕を回し掌をかざして光線を妨げた。掌の影がナミの瞼に降りれば、眉間の皺は消え、聡明な額が帰って来る。その汚れない美しさに暫し見とれ、気付けば睡魔は去っていった。飛ぶように過ぎ行く風景さえも、ゾロの視線を止めはしなかった。自分でも愛しさが形となって溢れてくるのではないかと思う程、すやすや眠るナミの顔に釘付けになっていた。

(お前をもう絶対に離さねぇ。ずっと…)

ゾロの想いは誓いと言うよりも、決意に近かったかも知れない。
この女を手放さない方法を、必死に模索していた。そしてナミに自分を失わせない方法をも。
今朝からゾロが見続けてきたナミの笑顔は、確実に5年前のあの無垢な魂に近付いていると、信じるに足るものだったから。
少し落ちかけたナミの頭を静かに肩へ乗せ直し、額に掛ったオレンジの一房を指で掻き上げると、眠っている筈の口許が柔らかく微笑んでいるような気がした。
ゾロに全てを託すナミに、決意が新たになった。

共に歩きたいと。

そう望んだゾロを乗せた電車が、目的の駅に滑り込んだのは、時を同じくしていた。




「おい、着くぞ。」

肩を揺すられ目を開けた。更に傾いた日差しが暖かくナミを包み、ゾロの腕が細い肩を包んでいる。

「ん…寝てた?」
「おぅ。少しな……お疲れだからよ。」
「誰の所為よ…」

電車のドアが開く。ゾロに促され足を向ければ、背後から小さな呟きがナミの耳に届く。

「俺……か?」

電車を降りて振り返ると、首を捻り不満気なゾロの顔がある。スネタ仕草が愛しくて、胸元で組んでいる腕を取り、ナミは手を繋いだ。大きな掌は、ナミをすっぽり包み込む。

「そ・う・よ!」

歩き始めた二人の歩幅はゆったりとしていて、帰宅を始めた急ぎ足の人々の中で、少し邪魔っけだったかもしれない。

改札を抜ければ、そこは見知った風景が拡がる。正確に言えば、ナミが知っている風景とは多少様変わりをしていたが。
タクシー乗り場とバスロータリーが雑然と並び、あちこちでクラクションの応襲が飛び交う。小さな子供達は保護者同伴で無ければさぞ危険であろう、と思われた幹線道路を横切る横断歩道。駅ビルは小さな店舗の集合体で、多少うらぶれた雰囲気があった。
それが今は、駅に平行する幹線道路沿いにタクシー乗り場が併設され、駅前ロータリーも噴水を持つ都会的な広場に生まれ変わり、バス停も行き先別に整然と並んでいた。横断歩道は駅ビルから続くスロープに姿を変え、幹線道路を越えて繁華街へと続いている。勿論、当のビルに至っては綺麗に化粧直しが施され、今風の若い女性向け店舗が軒を連ねていた。

「……変わっちゃったのね。」

そう、ここは5年前、ゾロと出会った高校がある街だった。

「多少な…」

あの給水塔はまだあるのだろうか?

「変わンねぇトコもあるぜ。」

優しい笑顔がナミの不安を掻き消した。手を引かれスロープを下りながら、笑顔の主の目的地を理解した。

(……あそこへ連れて行ってくれるのね?私達の始まりの場所。)

懐かしさに弛む唇がゾロに向けられると、彼はナミの手を固く握った。

高校生に戻った様に互いの挙げ足を取りながら繁華街を暫く行けば、見慣れないビルが見えた。ナミの記憶が確かならば、この道の先に二人が通った校舎が見えるはずだった。駅前だけでなく街も日々移ろっているようだ。ゾロと歩く道の先へ校舎の姿を望んでいた自分に、あの頃叶わなかった一緒に登校する夢を重ね合わせていたと気付いて、恥ずかしくも切ない思いがナミの胸を過ぎった。
そんなナミを知ってか知らずか、ゾロは校舎への視界を塞ぐビルの中に入って行く。

「学校までは侵入出来ねぇからな…」

乗り込んだエレベーターでそんな事を呟くゾロに、やはり見せてくれるつもりだったのだとナミは確信を持つ。この場所を大切だと、ゾロもまた思っているのだと知り、共鳴する心に喜びを覚えた。

「あの校舎、来年取り壊しだそうだ…」

チーンとエレベーターの到着音が鳴った。
扉が開きゾロがフロアに一歩踏み出す。

「おら、行くぞ!」

ナミは呆然としていた。
ゾロの何気無い言葉の意味を受け止め損ね、伸ばされた大きな掌に捕まえられて初めて我に還った。
グイと引き寄せられ、ゾロの胸に収まった時、不安に駆られた瞳を隠せないまま、そのシャツにしがみついた。
ゾロはナミを覗き温かい笑顔で諭した後、一度固く抱き締め唇を額に合わせ軽くキスを与える。

「なくならねぇよ…今、見せてやる。」

再びナミの手を取り、屋上へ続く階段を上る。
踊り場に着くとゾロはバッグから連なった何本もの鍵を取り出し、ガシャガシャと開錠を始めた。どの鍵なのか良く分かっていない様子で、ひとつひとつ鍵をあわせては、取り替えている。

「何で鍵持ってンの?」
「あ……見なかったか?ここ俺ン家の病院。1階に犬猫がゴロゴロしてただろ?」
「前からここだった?」
「いや、去年駅の反対っ側から移転した…お、開いた!」

カチャリと音を立てて開いた扉から、明るい西日が踊り場へ差し込んだ。急に開いたものだから、眩しくてナミは一瞬瞼を閉じた。

「来いよっ!」

目を開ければ、明るく光る四角い扉の中に、ゾロのシルエットが浮かんでいる。
おいでおいでと手招く手が、西日を受けてヒラヒラ揺らめいて見えた。誘われるまま足を踏み出せば、ナミは夕方の柔らかい日差しに抱かれる。

そう、ゾロは何時でも明るい場所へナミを導いてくれる。どんな時でも、どんな所でも。

「ほら、あそこだ。」

ゾロが指差す先に、校舎が見えた。
ここから50mくらいの距離がある。
その屋上には、あの給水塔がしっかりと立っていた。

西日を背に受け、暗い影は長く伸びている。

あの頃と変わらず。


5年前、二人は其処にいた。


屋上の手摺に駆け寄ったナミは、給水塔を食い入るように見つめていた。
ゆっくりと近付いたゾロは、その後ろ姿を覆うように背後から、手摺に寄りかかるナミを抱き締めた。

「ゾロ…アンタの言う通り、あるわ。ちゃんと。」
「だろ?」
「でも、なくなっちゃうのね?」
「いや、なくならねぇよ…」

寂し気に揺れるナミの瞳がゾロを見上げると、その事実を否定する為に薄い唇を与えられた。傾げられた太い首がナミの頭を塞ぐように重なると、触れ合う箇所から不安が消えていく。
唇を舐め、歯列を這い、舌を絡め、甘い感触を伝えてくる。欲望でも慰めでもなく、ただその行為自体が至極当然で自然で。何度か啄み離れた唇の間に、煌めく唾液が名残惜しそうに糸を引いた。
西日を受けたナミの髪は更にオレンジを深くしている。ゾロはその髪に掌を合わせ、自分の肩口に頭を乗せる。

「……俺には夢がある…」
「ゾロ?急に、何言ってンの?」
「黙って聞いてろ!一世一代の話だ…多分。」
「多分って何?多分って…」
「あ、もー、煩せぇ女…いいから、聞けって!」

強を煮やしたようなゾロの言い様に、クスリと笑みが零れる。
言い知れぬ期待感がナミの心に湧き上がっていた。

「分かったわよっ!早く言いなさい。」
「お、おぅ…」

以外にアッサリとした引き際に戸惑いを隠せないまま、ゾロは言葉を紡ぎ始めた。

「俺は…この病院を継ぐ。」

(知ってるわよ、そんな事。5年も前から…)

「けど、先の話だ。今はまだ勉強中の身だからよ…」

(医師免許も無いしね…)

「お前と違ってまだ親がかりの学生だしな…」

(すねっかじり…)

「だから…お前に何の約束もくれてやれねぇ。」

(…え?)

「今の俺に出来んのは…お前を自由にさせてやる事だけだと……そう思う。」
「何よ、それ!どういう意味?」

憧れの視線でゾロを背に給水塔を見つめていたナミが、突然不安感を露にゾロを見上げた。



「ノジコ…だったか?其処へ帰れ。」



給水塔はもう視界にはなかった。ナミは体ごと振り返り、ゾロの胸倉を掴み上げる。放り出された迷子の瞳をゾロに注ぎ、それでも言葉は責める如く詰問調だ。

「どうしてよっ!私が要らないの?ゾロと一緒に居たいのよっ!私はもう何も失わないって、そう言ったのはアンタじゃないっ!ずっと一緒って言ったでしょ?そのアンタが何で離れて…我儘は直すわ。ゾロの為なら仕事だって減らす。だから、だから…」
「ンな事して欲しい訳じゃねぇ!」
「なら、どうすれば私の側にいてくれるの?」
「居るじゃねぇか。此処に。」

ゾロはナミのふくよかな胸に掌を添えた。

「ずっと此処にいるだろ…5年も前から。」
「そうじゃないっ!私は、何時でもアンタと、触れるくらい側にいたいって…」
「俺だってそうだ。」
「なら、なんで帰れって言うの!今まで通りアンタの部屋で暮らしても良いでしょ?」
「駄目だ……俺はお前を拘束しちまう。」
「そうしてって言ってるンじゃないっ!ゾロと一緒に居られるなら…」
「止めろって!」

ゾロの手がナミの両肩に伸びて、ナミを手摺の方へ押しやった。縋りついていたナミは広がった二人の空間に驚き、直ぐ様悲しい色を瞳に宿した。ナミのオレンジの髪が風にたなびいて、後ろに見える給水塔を一瞬隠した。

「それ以上は言うな。今はまだ……言わないでくれ。」
「ゾ・ロ?」

うつ向いていたゾロが顔を上げ、ナミを見つめた。その顔は語る言葉と裏腹に、ナミを欲していると訴えている様に見えた。
息を飲んだナミは、広い温かな胸に帰ろうともがいていた体を、静かに止める。

視線が交差した。

暫く見つめ合った。


「…聞くわ。続けて。」

ゾロの真意を知りたいと思った。
給水塔が見えるこの場所で。

「お前が出て行ってからずっと、俺はお前が戻って来るのを待ってた。」

ナミは背後に給水塔を背負い、真剣な目をしてゾロの話を促すように頷いている。

「待ってる間お前がどんなに大事なのか良く分かった。帰って来たら何処にも行かせないって…」

まだ気持ちを御し切れていないとでも言うように、ナミの肩にある掌が少し震えている。

「けど、来たのはお前じゃなかった。だから、お前にとって俺はその程度の存在に過ぎなかったンだって、その時になって初めて分かった…」
「違うわ、私…」
「いや、いい。もう分かってっから。」

そう言うとゾロは伸ばしていた腕を引き寄せ、ナミを胸に納め抱き締める。
オレンジの頭越しに見える給水塔は、更に陰を伸ばしていた。

「勝手に、帰ってくるって思い込んでたんだ。そんな都合のいい事ばっか考えてた。だから、変にショックつうか、自分に呆れたつうか。俺は、お前に何も言ってねぇし、お前の気持ちも確かめてもねぇし。そのチャンスも掴めないまま、また消えたお前を責める訳にもいかねぇだろ?正直、ヘコンだ。何もできねぇ自分が情けなくってよ。これじゃ、5年前とおんなじだって。また、生殺しで、お前を忘れる努力をしなきゃなんねぇのかってな。でもな…」

ゾロがまた動く。ナミをそっと遠ざけ、大きなバッグを探っている。ガサゴソ探す姿は間が抜けていて、折角のムードもぶち壊しになてしまった。
呆れたナミから苦笑が洩れる。

「フッ…」
「ン?笑ってンじゃねぇぞっ!」
「ゴメン…」
「ったく…お、あった。」

さっきまであった切な気な想いが、フワリとした現実に擦り替わって、ナミの心の痛みが退いて行くような気がした。

「これ。」
「これは…」


『小さなアルバム』


ゾロの大きな手に差し出された。古ぼけたオレンジの表紙に『Nami』と名前が書いてある。

「これ見つけた…」

開いたアルバムの間に挟まった一葉の写真をゾロは摘み上げ、ナミの眼前に晒した。
ナミに手渡し、ニヤリと笑う。

「いつの間に撮った?」

思わず赤面するナミの顔に、人の悪い笑顔が迫る。

「……何時でも撮れるわよっ!アンタ、バカだから…」
「ンだと!バカバカ言うンじゃねぇよっ!」
「一回しか言って無いじゃない?ホント、バカなんだから…」
「今、言ったじゃねぇか…」

一葉の写真を挟んで、バカの応酬が続く。
写真の中身はそんな二人を何処吹く風と、平和な景色を写していた。


―――給水塔の下、大口を開けて眠る翠頭の制服姿の男―――


ナミとその両親しかいない古いアルバムの中に、たった一人だけ居場所があった他人の写真。
アルバムに収められたナミの笑顔に囲まれて、気持ち良さそうに眠る男。
5年前からずっと……


「だ・か・らっ!昔、無理矢理告らされたままで、ほったらかしにしてたのに、テメェはずっと俺に惚れてたんだろ?」
「うっさいわねぇ〜彼氏くらい沢山いたわっ!舐めンじゃないわよっ!」
「フザケンなっ!浮気してんじゃねぇぞっ!」
「アンタだって、フラフラ女誘ってるくせに…」
「テメェ〜…あーもー、止めだっ、止めっ!」
「何よっ?別れるとか言うつもり!」
「アホっ!何が何でもぜってぇ別れてやんねぇ。金輪際テメェを誰にも渡さねぇつってんだ!」
「じゃ、一緒に暮らし…」
「駄目だ。」

間髪入れずに否定するゾロに、思いっきり膨れ面を見せてナミが言う。

「何で〜?」
「お前のもう一人の彼氏からも奪いたくなる。」
「もう一人……あっ!」

ナミには公言して憚らない男がいた。
男の名は『芝居』という。

「まだ気持ち届いてねぇンだろ?」
「う……うん。」

ゾロの言う通りだった。今も昔も、ナミは彼を追い続けている。そして、これからも。
ゾロが欲しいと思う一方で、彼も欲しいと思う自分を否定できない。例えゾロといる為にそれを捨てると口にしたところで、きっと忘れ切れず諦め切れない思いだという事。
ゾロは知っている。ナミの心の在り様を、ゾロは知っていたのだ。

「俺にも、も一人彼女がいてよ…動物病院って名前だ。」
「知ってる……」

それは、ゾロも同じだから。思う方向は異なっていても、その根底にある欲望に違いはないのだから。
きっと自分も嫉妬してしまうだろう。未だ手に入らぬお互いの『彼と彼女』に。
そう思い至った時、ゾロの選択の意味を知った。

「お前以上に片想い中だがよ。」
「イライラするわ、その女!」

だからこそもっと彼等に近付いて、彼等の気持ちを手に入れて、それからでも遅くはない。そんな時間だって、ゾロと自分なら簡単に越えて行ける。
確信に触れたと感じた時、ナミは目の前にいるゾロと背後にある給水塔に、力強く守られている様に感じた。

「だろ?コイツもお前も諦めらんねぇ。俺は、欲が深けぇんだ。」
「私ほどじゃないでしょ?私は、シツコイわよ。」
「恐ぇ〜な。」

肩をすくめたゾロは、ナミをクルリと回して、給水塔の方へ向かせる。背中から腕を腰に絡め、華奢な肩口へ翠の頭を乗せた。薔薇色の頬に薄い唇を寄せ、キスを施し、共に給水塔を見つめた。

「俺達、一緒に暮らすには、まだ子供過ぎる。」
「そうかもね…」
「別れるには、惚れ過ぎだしよ…」
「確に…」

ナミが手にしていた写真をかざし、遠くの給水塔に重ね合わせた。

「これ見て分かった…どんなに離れてても、どんだけ時間が経っても、あれがなくなっちまっても、俺らの中にはあそこがあんだって。」
「うん。5年前からずっと………ゾロが好き。」
「なっ!お前急に言うなっ!ビビるだろ?」
「なぁによぉ〜?昨夜はあんなに言ってくれたくせに…アンタも言いなさいよ。自分の気持ち。ちゃんと、此処で!給水塔が見てるわよっ!」
「煩せぇな、テメェは。言やぁいいんだろ、言やぁ…」
「そうよっ!」

ゾロは溜め息を洩らした後、ナミをキツク抱き締め直した。

「ったく…あ………一人前じゃねぇ俺は、先の事を誓ったり出来ない立場だけどよ。ずっとお前と一緒に此処にいる。もう、二度とお前に俺の所為で涙は流させねぇ。これだけは約束できる。」

耳元に届いた声は掠れていて、小さく聞こえたけれども、ナミの心には大きく響いてきた。

「……………バカ。」

(それじゃまるで、プロポーズじゃない?)

「好きって言えばいいだけなのに…」
「な、何だ?そうなのか?俺りゃてっきり…」
「だから、バカなのよアンタは。ま、そこが…好きなんだけど。」
「変な女、やっぱ。けど、そこが……」
「そこが、何?」

5年前の悪い笑顔があった。

そして降ってきた唇は、愛していると形取っていた。

その上重なった唇は、酷く妖艶な味がした。



長い長いくちづけを終えても、ゾロはまだ名残惜しいとばかりナミの体をまさぐっていた。

「な、此処で一発ヤッとくか?」
「無理っっ!」
「チッ…イイ思い出になんのによぉ〜」
「エロゾロ!思い出なんて、これから幾らでも作れるでしょ?」
「まぁな……でも、これからは昨夜みたいにヤリ捲れる訳じゃねぇからな。テメェ、我慢できっか?俺は心配してやってンだぞっ!」
「アンタって男は〜…全く。人の心配してる暇があんなら、早く国家試験でも通って、一人前になって、私を満足させる場所を作んなさいよ。」
「へぇへぇ…仰せのままに。」

ふざけた態度でナミをかわすゾロだったが、その腕は真摯に彼女を優しく包んでいる。煽るように弄っていた指遣いは、静かに成を潜めていた。
心地良い腕の中、ナミはゾロを見上げ、太い首に回していた手を緩め、心音が響く厚い胸に掌を当てる。

「ゾロはどんな獣医になるつもりなの?テレビに出るような有名な先生?それとも、お金に関係無く何でも診察しちゃうとか?」
「そだな…患畜に信頼される医者だな。」
「?………どういう意味?」
「ノラ猫が自分から診察にやってくるとか。」
「ハァ?」
「そんで、俺んとこへ来て、安心して子猫を産んでく…とか?」
「無謀〜」
「お前がオスカー女優になるってのと、そう大差ねぇだろ!」
「現実感があるでしょ、私の場合?」
「ねぇよっっ!」
「ひっどぃ〜いっ!私はその為に毎日努力してるわ。」
「俺だって、勉強してる。」


ムキになって睨み合う二人の向こうに、給水塔が佇んでいる。消えて行く己が今此処にあると主張しているように、西日で出来た影を長く伸ばしていた。
ただ、自分の影の下育んだ小さな二人の中に、何時までも生き続けるであろうと信じているようでもあった。
校舎の屋上に這う影が、嬉しそうに揺れたのを、話しに夢中になるゾロもナミも気付かなかった。


「アンタと話してると、バカがうつっちゃうわ…」
「はーそうかいっ。ンじゃ、とっとと帰りやがれ。」
「ええ、言われなくても帰ります。明日は仕事なんだから。」
「精々頑張れ……彼氏によろしくな?」
「うん…ゾロも彼女と上手くやんなさい。」

ナミは厚い胸に軽くグーパンチをかまし、そっとゾロから離れる。
少し名残惜しい想いが茶褐色の瞳を揺らしたが、ゾロの背中を推すような温かな翠の視線に勇気付けられ、直ぐに笑顔が戻ってきた。

「……行くわ。」
「おぅ。行け、行け。」

ゾロを手摺に残し、ナミは西日の中、背を向けて歩き始めた。グイと顎を上げ、キッと屋上出口のドアを見つめ。
背後からあったかい視線が自分を後押ししているのを感じる。ふと、その意味を確かめたくなって振り返る。


ゾロが悪い顔で笑っていた。


「ゾロッ!」
「何だ?」
「これ、返すわ。」


ナミの右腕が大きく振り被って、ゾロに向かって投げられた。

指の先から放たれたそれは、キラリと光り放物線を描いて、ゾロの大きな掌に収まった。

ゾロは捕まえた掌を広げ中身を見れば、部屋の合鍵が帰ってきていた。


「あっぶねぇな。急に投げんなっ!」
「取れたからいいじゃない?」
「も、いらねぇのか?」
「うん。そんなのなくっても平気だもん。」
「そうか……」


ナミは自分の手にある写真をヒラヒラとかざし、ゾロに手を振っている。


「ヤリたくなったらどーすんだよ?」


振っていた写真に唇を近付けキスをした。


「これ見て慰めるわ。」


ウィンクをひとつ贈った。

「アホ」と呟くゾロの後ろに、給水塔が見えた。


この景色を忘れない。

例え、給水塔がなくなっても。

手に入れた景色は、失ったりしない。



だって……



ゾロがそう言ったから。



それに、私は貪欲だから。



もう、怖くない。





「好きよ、ゾロッ!」





そう言ってドアを閉じた。




「俺もだ…アホウ。」





ゾロがそう呟いていると思った。






終り?




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(2007.02.07)


<管理人のつぶやき>
はぅ〜〜最初はどうなるかと思いましたヨ。想い合ってるのに通じ合わない。切なくてもどかしくて仕方がなかった!でも、高校時代に給水塔(a water tower)の下で出会い、育まれ、紆余曲折を経た二人の恋は、とうとうここまで辿り着きました。恋だけでなく夢も掴み取るというのは、欲張りでぜいたくな、それでいて実に二人らしい選択ですね^^。
CAOさんは1話に1えっちという課題を自らに課して見事実行されました(すごい^^;)。熱く激しいお互いを求め合うえちーに毎回クラクラしました><。
CAOさん、長期連載ありがとうございました。お疲れ様でしたー!

さてこの後、夢を追いかけた二人はどうなったのでしょうか。恋人としての二人はどうなったのでしょうか。続いて「epilouge」をご覧くださいネ^^。

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