やべぇ、やべぇ、やべぇ、マジやべぇ!気が逸れた。くそっ、萎える…折角この女に、感じてきたトコだってぇのにっ。
これからの俺の人生の大半を…つか、多分一番ヤル回数が多い女と初めてヤッてる最中だぞッ!ここで決めとかないと、今後マズい事になるぞ!
…ナミのヤロー!アイツが抱いたりさせなけりゃ、んな情けない事態に陥ったりしなかったんだ!アイツがあんなに俺を…
いかん!集中、集中。ここ迄きたら、突いて突いて突き捲って、何とか誤魔化すか?…んっ?
「……さん。……ーさんっ!」
俺の名前じゃねぇだろっ!おい!
御祝儀 −5−
CAO 様
「…ゾ…ロ」
その声に、その言葉に、その唇に、その時のナミの全てに、囚われた。魔女の呪いか?
挿れた途端イッたとか、俺の勝ちだとか、非難してやろうと覗き込んだ事が霧散した!
コイツの背中の上にある、俺の心臓が早鐘の様に鳴り響く。放出したばかりで肉体的にキテるだけじゃねぇ。コイツが俺の名を口にしたから…俺がコイツのを抱いたんだ、コイツが俺に抱かれているんだと、改めて確信したからだ!
(全然たりねぇ!一回イクだけだなんて、ありえねぇ!)
未だ微睡むナミの顔を見つめ、胸の中で言葉に出来ない気持ちを覚える。例えるなら、とてつもなく攻撃的な想いだ!その心に呼応する様に、ナミの中にある俺のモノも、出し切った後の硬度が萎える事なく、更に硬くなってキタ。
「ナミ!動くぞっ!」
云うが早いか、そのままの姿勢で、腰を送り始める。
「あっ、まだ…んっ、だ、ダメぇ〜!やっ、あ。」
「ダメじゃねぇだろっ!」
「…イイけど。ハッ、ん。このまま…やん、変えてよぉ〜」
「煩せぇー!もう、止めらんねぇんだ。」
「だって、顔見えない…あっ。」
顔って…あぁ、俺も見てぇ!お前の感じてる顔、視ながらヤリてぇ!けど、抜きたくねぇし…おっ。
「顔だけでいいのか?もっと、見たくねぇか?」
「んっ、えっ?…あっ。」
「そのままっ、俺の首に、手回せるか?」
「こ、こう?…キツいわ。」
「しっかり捕まってろよっ!」
俺は繋がった部分が外れない様、左手でナミの下腹部を押さえ、右腕を胸元にしっかりと巻き付けた。勢いをつけ、体同士密着したまま、引き起こす。自ずと、俺の膝の上に座る形になる…所謂、後背座位ってヤツだ。
「なっ?なんて格好させんの!」
振り向きながら、詰め寄るナミの言葉に、説得力は無い。その腕は俺の首に回されたまま、倒れない様力が籠もっている。
「いいから、見てみろよっ!煩く吠えてねぇで…ほら、正面だ!」
「……えっ!」
そこには、大きな姿見の鏡が鎮座していた。光々と輝く室内に、俺とナミの姿がハッキリと写し出された。艶っぽいその肢体を俺に預け、しなやかな腕を俺に巻き付け、大きく足を広げ俺の膝に座るナミ。その体の中心に、俺のモノが楔のごとく、突き刺さっていた!…あまりの興奮に、声を失う。イヤラシイ光景のはずなのに、神聖な輝きを放っている。
たまらないつ!切ないほどに…
ナミの全身を、舐める様に観る。すると鏡越しに、コイツと視線が重なった。
「…す、凄いっ!」
「だなっ。……かなり、エロいぜ!お前。」
否の声を上げるか?それでも許す気はねぇが…
「……き、れい?」
「あ?あぁ。綺麗だ!…ナミ、綺麗だぜっ。お前は…」
「ゾロ、アンタも、綺麗よ!」
鏡の中の女が、首を回す。生の視線が、俺に注がれる。俺もナミを見つめる。生の視線が交差した。苦しい態勢のまま、自然と唇を重ね合った…恋人同士のキス…そんな、互いの存在を愛しく想う心を確かめ合う…唯、触れ合うだけの、口付け。…刹那の時。
重なり離れて行った唇が、互いに名残惜しく、暫し、その唇を見つめ合った。ゆるりと視線をナミの瞳に移す。少し遅れて、伏し目がちだった目蓋が見開かれ、コイツの潤んだ眼と交差する。何かを訴えている!そう感じた。…俺に答えが出せるのか?お前に何をしてやれる?尋ねるべきか逡巡し、口を開こうとすると、
「しよっ!」
その瞳と不釣り合いな、やけに明るい声が聞こえた。俺もツラレて、
「うしっ、ヤルか?」
笑っちまった!…どんな時でも、コイツはナミだ!どんなに凹んでも、どんなに苦しんでも、笑っている。空元気の効能を一番良く知っている…こんな状態で考える事じゃねぇなっ!もう、何も聞かねぇよっ。
「何わらってんの?…動くわよっ!ほら、アンタも…あん。」
あんまり煩せーから、突いてやった。
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(2006.01.09)