愛で汚したい −3−
びょり 様
一方、昼食抜きでロッククライミング&薬草採りに励んだ御一行。
空腹告げる腹の虫にてこずりつつも、何とか目的の薬草を手に入れ帰路に就いていた。
「やっぱ4人も人手が有ると仕事が早く終わるねー。」
「にしてもチョッパーよぉ、毒中和すんのに、こんなに薬草必要なもんなのかー?煎じて飲ませるだけなら、何もバケツ2杯分も採ってくる事無かったんじゃねーの?」
海岸に沿って1番前を歩くウソップが、ひょいと後ろを向いて問うて来る。
「『ガラナリゲインフグ』の持つ毒は微量だし死ぬ事までは無いけど、大量に摂取した場合は中毒症状が出るんだ。精力増強興奮剤の材料としても使われてるけど・・摂り過ぎた場合は理性を全く麻痺させてしまうんだよ。ルフィの様子を見る限り、かなりの量を摂取しているみたいだから、いっそ磨り潰して汁にして、ストレートで2リットル位飲ませた方が良いと思うんだ。・・あまりの不味さに3日間は寝込むだろうけど。」
「青汁2リットルイッキ飲みかぁ・・想像しただけでも寝込みそーだぜ。」
ウソップが、うげげぇっと腹に手を当て、大袈裟に吐く真似をしてみせる。
「ま、あいつなら死ぬ事も無ぇだろ。かえって3日間位寝込んで貰った方が平和で良い。」
薬草1杯詰めたバケツを2つ手に提げて、最後尾を歩くゾロが声を掛ける。
「同感だ!冷蔵庫前で徹夜して見張る手間も3日は省けるかもって訳だしな・・とにかく急ごう、ナミさんとロビンちゃんの事が心配だ!」
そう言うと、サンジは早歩きでウソップを追い越し、自分が先頭に就いた。
一行の前に見えるは岸辺に佇むGM号・・と、こちらに駆け寄って来るロビンの姿・・?
「・・た、大変よ!・・航海士さんが・・ルフィに連れてかれたわ・・!」
甲板上に転がるは、引き千切られたロープとクリマタクト・・。
「私が駆け付けた時には、航海士さんの健闘虚しく、攫われて行く所だったわ・・。」
「『だったわ』って・・おめぇ、黙って見てたのかよ?・・俺はな、おめぇのその能力なら奴を巧く捕縛してナミを守れると見込んで頼んだんだ!!それが何だよ、その言い種は!?」
「私だって努力はしたわ!!・・けど、あのコ・・ドコ掴んでも、びるるるるるるるっってスライムみたいに伸びるのよ!?・・私、あのUMA不可思議軟体生物みたいな姿見てたら・・どうにも怖くなっちゃって・・。」
「可愛娘か弱ぶってんじゃねぇよ!似合う歳でもあるめぇし―ぅっ・・ぐはぁっっ!!」
「うおぅっ!ツイスト技!!大丈夫か、ゾロー!?今、めきっとかいったぞー!?」
「あああああ・・んナミっすわぁぁぁん!!!!」
「みんなボケてる場合じゃないよ!早くしないとナミの身が危険なんだろ!?」
チョッパーの一喝に、パニックに陥っていた皆がようやく静まる。
「・・そそそうだ!早くしねぇとルフィの魔手に掛って『ナミの貞操・ジ・エンド』だぜ!行くぞぉ!ゾロ!サンジ!チョッパー!」
斯くして、『岩登り薬草摘み隊』改め『獣船長とナミ捜索隊』、いざ出陣!(ちょーん!)
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(2003.12.20)Copyright(C)びょり,All rights reserved.