「…っつ。」
「どうしたの?」
「いや、何でもねー。」

クソッ!腰が…たく、赤髪の野郎、思いっきり投げやがって!…ナミと俺がデキ(まだヤッちゃねぇが)てるからって…公私混同だろっ!セクハラか?違うか?…何か知らねぇが、腹立つ。
捻ると痛いから、ナミと手も繋げやしねぇ。帰りに送ってく今しか、チャンスねぇのによっ!あー、もう家に着いちまった…

「ゾロ今日何か変じゃ…えっ?」
足元ふらついて、コイツの肩掴んじまった。…えぇい、ままよ!

「……。急に、キスって。もう…」
災い転じて…だな。





娘の彼氏は、とりあえず殴っとけ!  −2−

CAO 様

 

「あれっ?ナミ、今日ゾロ寄ってかなかったの?」
「うん、用事があるって…」
「はー、それで浮かない顔してんのね。」
「そんなんじゃない…」

だって、キスしてくれたのよっ。あのテレ屋で恥ずかしがりで、滅多に手の一つも繋いでくんないアイツがよっ!…嬉しいに決まってるじゃない。
唯、いきなり過ぎるのよ。そんな雰囲気、全然無かったから。どっちかっていうと、うわの空っていうか、人の話聞いてない(いつもだけど)っていうか、元気ない?みたいな…心配して…無いけど。…まさか、

「他に女かいるとか…」
「ノジコっ!そ、そんな筈無いわよっ!そりゃ、アタシの彼氏なんだからそこそこモテるけど。女とか浮気とか…無いっ!絶対…」
「からかうのは止めな、ノジコ。ナミ、半泣きじゃないか?」
「ベルメールさん!」
泣いたりしてないわ。だって、アタシみたいにイイ女が、男一人に振り回されたりする訳ないでしょ!ちょっと不安なだけ…
「ゾロだって、若い男なんだ。色々あるよ!自分の彼女だから、知られたくない事の一つくらいサ。解ってやんな!」
「解ってるって!…ただ、元気ないみたいで。」
「そうよねー。毎日の様に何か食べてく、弟になるかもしれない坊やがいないと、私も心配だわ〜。無愛想だけどねー。」
「無愛想は余計よっ!」
「へぇ〜弟は否定しないんだ?」
「ノジコっ!」


シャンクスみたいに頭っから反対されるのもやだけど、ノジコみたいにからかわれるのはもっと嫌や!恥ずかしいだけじゃない、ゾロをバカ(…バカなんだけど)にされてるみたいじゃない?ああ見えて結構イイとこあるんだから…や、優しいし、可愛いし…

「ん?な、何笑ってるの!ベルメールさん。」
「懐かしいなって、思ってね。私もそんな時代があったなーって。アンタの百面相見てて…。」
「ひゃく…」
「そう、そう。思い悩むなんて、アンタらしくないよ!どーんとぶつかっちゃいな。ヤッちゃえばいいじゃない!シャンクスにも宣言したんだし、ねっ、ベルメールさんっ。」
「あっはは〜。そうだね、それもいいんじゃない?」
「えー、ムリっ!そんなの…」
「アンタは、シャンクスに似て、堅いからねー。けど、私がアンタの年には、ノジコお腹にいたしねー。…好きな男とヤルな、とは言えないよ!」
「うっ…。」
…高校生なのよっ!好きだからって、ヤッちゃう…だ、駄目よっ!てか、恥ずかし過ぎ…な事したら、顔見られなくなるー。

「ん?考えてみたら、シャンクスも、何だかんだ言えないんじゃない?」
「ノジコの言う通り、あの人も確かに、自分を棚に上げてるね!自分はヤルことやっといて、ナミは駄目って…説得力ないね。」
「う、うん。」
「でもね、自分がそうだったから、娘に同じ轍は踏ませないって、思ってるのかもよ。結構ここまで苦労したしサ。」
「…なんとなく、解る。」
「それだけじゃない気もするのは、私だけ?」
「ノジコは鋭いねっ!大方、娘を取られたくない、ってのが本音だろうけど。ナミがどっかいっちゃう、って思ってるのかもよ。」
「別に、嫁に行く訳でも…」
「へぇ、結婚とか考えてんだ?」
「ち、違うわよっ!言葉の綾でっ。バカノジコ!」
「まあ、まあ。ノジコもカラカイ過ぎだよ!…兎に角、シャンクスにはそれとなく私から話してやるから、ナミはあんまり心配しないで、アンタらしくしてなっ!」
「うん。」

アタシらしく…そうねっ。
この際シャンクスの我儘はどうでもいいけど、ゾロはアタシがしっかりしないとね。全然ダメ男だし。うん、そうねっ。
ぐだぐだ考えるのは、止め止め!明日本人に聞けばいいわ…何でキスしたの?って。巧く行けば、もっかい…くふっ。で、なくって。
そうだ、シャンクスにも、学校で何かあったか聞いてみよっかなー。…藪蛇になるかー?
まっ、成るようになる、だわ。

「たっだいまー!」
あっ、悩みの種その2が帰ってきたわね!…ご機嫌じゃない?




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(2006.02.02)

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