進路指導…って?俺は、このまま剣道で大学まで行くつもりだから、別に必要はねぇ筈なんだが。まあ、順に呼ばれるモンなんだろうけど…。
問題は、話す相手が担任の赤髪だって事だ!嫌いな訳じゃねぇ。どっちかつうと、話の解る野郎だと思う。結構面白れぇおっさんだ。……ただ、ナミの親父さんだって事を除けばだがよっ!

「ロロノアっす。」
「おう、入れ。」
「俺の進路は…」
「解ってる!…今日はその話じゃねぇ。」
やっぱな。来ると思ってたぜ!
「ナミの事か?」

「座れっ。」





娘の彼氏は、とりあえず殴っとけ!  −4−

CAO 様

 

まずい…この沈黙。何で睨み付けてンだ?このガキ。腹が立ってるのは、俺の方だって…可愛い娘に手ぇ出され…おっと、冷静に冷静に。はっきりさせとかねーとなっ!

「ナミはイイ女だろ?」
「?……お、おぅ。」
意表を突かれた、って顔してやがる。計算通りだっ。よしっ。このまま俺のペースで…

「だろ?あんなに美人で頭の回転も早くて、素直で心優しい女は中々居ない!我が子ながら、ホレボレする位よくデキタ娘…」
「……親馬鹿か?」
「なんだとぉ〜お前、目上に向かってなんて口…」
「わ、悪りぃ。続けて下さい。」

俺とした事が…ついガキの口車に乗るところだった。気を取り直してっと。

「まぁ何つうか、それだけにお前がナミに夢中になる気持ち、男として解らんでも無い。何処に出しても恥ずかしくない娘だ。それを連れて歩きたい気持ちは、痛いほどになっ。」
「……そりゃ、アンタだろ?」
「貴様ぁ〜、人が親身になって話そうとしてるのにー」
「す、すまねぇ。続きを…」

ったく、最近のガキときたら…そうじゃない!諭さねばっ。大人の義務だった。

「だから、だなっ。若気の至りつうやつ?で、家の…でなく、同じくらいの年の子供同士がだなっ、その、何と言うか、そういう事にだな…やっぱそれは、絶対許せ…いや、いかん事であって、別に付き合うというのを否定するてんじゃないが…」
「……さっぱり解んねぇ?」
「お、お前はアホか?こんなに、親の口からは、最も知りたくない、言いにくい事をだなっ…」
「…あ。セックスすんなってか?」
「き、貴様ぁ!それ以上…」

「やるぜ!」

こンのぉ野郎〜宣言するかぁ!やっぱ、殺すっ!
「てめ…」
「いつかなっ!…今日明日って話じゃねぇ。」
「ロロノア、お前?」
「良い機会だ。赤髪。いや、先生、アンタに言っとく!…俺はナミとヤル。けど、それはやりたいからじゃない。ナミだからだ。それだけは、覚えておいてくれ。」

クソッ。ふざけるなっ。普通自分の彼女の父親に、そんな宣言しねぇだろ?俺は何て返せばいい?
分かった、か?…んなの承知できるかぁ!
駄目だ、か?…こんな真剣な目してるのに。
「ぐっ………。」


「なぁ先生。アンタ歳幾つだ?」
ん?何聞いてんだ?コイツ。
「来年40。それが?」
「てこたぁノジコが21だから、俺の歳にはもう父親だったのか…」
うっ、マ、マズいっ!
「そ、それはだなっ…」
「凄げぇな!俺なんてとてもじゃねぇが、考えられねぇ。人の親になるなんて…自信ねぇ。アンタ、やっぱ凄げぇわ!」

……?ロロノア。マジで感心してんのか?…そんな尊敬の眼差しで見るなよ〜テレるじゃねぇか。こんな純な感想述べるたぁー、良いトコあるなぁ。顔に似合わず…

「まぁ、そんな大袈裟なもんじゃないが。若かったからそれなりの苦労はしたけど…大事な家族の為なら、なもん厭わねぇって!」
「だからか?」
「ん?」
「いや、俺に軽率な行動を取るなって、そう言ってんだろ?」
「分かってくれたか!」
「大事な娘に、自分と同じ苦労はさせたく無い!ってか?」
「ん、そうだ!中々お利口だなぁ〜ロロノア。」

頭でも撫でてやるか?よし、よし。結構物分かりがいいじゃないか〜流石、我が教え子!
「…おっさんに頭撫でられて、喜ぶ趣味はねぇ。」
「なっ!いい気になんなよー。」
「そう、目くじらたてねぇでくれよ。…アンタの気持ちは、何となく解るから。」

はぁ?父親の気持ちが、ガキに判ってたまるかぁ!……いや、これは最大のチャンス!ここで駄目押しすりゃ、さっきの宣言も翻すに違いないな、こりゃ。
「へぇ〜。大人じゃねぇか。」

「あぁ、先月姉貴が婚約してよ、そん時の親父見てっから。」




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(2006.02.02)

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