「兄貴、申し分無いヤツで良かったな、親父っ!」
「……そうか?」
「これでくいなも、ちったーおとなしく…?ん何か言ったか?」
「そうでもないと言ったんだ。」

親父?…他人の批判なんて、これ迄一度足りとも言った事無いだろ?どうしたんだ?

「……くいなが選んだ人だ。私は何も文句など言うつもりは無いよ。唯、どんな素晴らしい人間であっても、私は納得出来ないんだよ。何と表現すればいいのか…切ない、か?」
「け、けど、親父、今更…」
「あぁ、いいんだ。忘れてくれ。父親の我儘だ。…君も何時か判る時が来るだろう、ゾロ。」

……俺も?そうなのか?





娘の彼氏は、とりあえず殴っとけ!  −5−

CAO 様

 

…うっ、泣けるなっ。彼氏とかそんなモンじゃねぇ。結婚って、嫁にいっちまうんだろっ!はぁ〜。切ないで済むか?いや、俺なら、耐えられねぇ。ノジコがナミが…いやだぁー!そんな、そん…

「…い。おい、赤髪!」
「あ?…お、おぅ。何だ?」
「何だ?って、こっちが何だだ。急にボーっとしたかと思ったら、百面相始めやがって…気持ち悪りぃ。」
「あぁ〜ん!喧嘩売ってんのか?」
「な訳ねぇよ。…だから、アンタの気持ちは解んねぇけど、何となく推察は出来る、つってんだ。」
「…解るなら、別れろよ。」
あっ、つい本音が…
「それとこれとは、別問題だろっ!何で親父が可哀相だってんで、ナミと別れなきゃなんねーんだよ。んな事したら、俺ナミに殴られっだろー。つうか、アンタだって無事じゃいられねぇんじゃ…」
「いや、まぁ、確かに…」
「それに何て言われても、ナミと別れるつもりはねぇから。」

これはマズい状態だ!益々意固地にさせちまったぁ〜どうする?
いや、待て。別れる云々の前に先ずはナミの安全優先で…理解してやんねーとベルメールに合わせる顔が…いや、何よりコイツの親父さんみたいになりたく…

「…先生。俺のどこが不満なんだ?教えろよ!」
コイツ、痛てぇトコ突きやがって。……お前が嫌いってんじゃねぇ。敢えて言うなら…
「……ナミがお前をスキだ、ってトコだっ!文句あるかぁ?」
何なんだっ!その勝ち誇った顔はっ、ニヤニヤしくさってぇ〜。
「なら問題ねぇな。要は、ナミに近付く男が嫌いなんで、俺が嫌いってんじゃねぇんだろ?」
「そりゃ、担任してる可愛い生徒だからな。」
「…俺も、アンタ尊敬してる。」
「……ロロノア。」
やっぱり男としては、いいヤツなんだ、コイツは…。

「なぁ、馬鹿な真似だけはしないでやってくれ。…別に許した訳じゃねぇが、ナミを泣かさないでくれ。頼む……」

「…………必ず。」

「だぁー、もうお前帰れっ!」
「じゃあなっ……そういやぁ、シャンクス?」
何だ?扉開けっ放しで振り返りやがって。とっとと帰れよぉー、俺は疲れたんだよー。
「あーんだ?」
「アンタ18で父親つう事は…」
「○△◇☆*※▽…帰れっ!」


結局、どうなったんだ?ナミは無事か?……無事、だなっ。うん、大丈夫だ。
はー、窓閉めて職員室戻るか…ん、ナミ?あー、ロロノア待ってやがったのか。クソッ、そんな嬉しそうな顔するなよっ!何話してんだ?近付き過ぎだろ?
おっ、ロロノア気付いたな俺に…手挙げた?おぉ、お父様にご挨拶とは。よし。ここで大人の風格をみせて、俺も手ぇ振って……
な、な、なっ!その手ナミの肩に廻しっ……ナミィ〜振り払えっ、その汚い手を…
って、頭預けんなぁ〜!寄り添うなぁ〜!やーめーろー…


あー。やっぱ、殺すっ!絶対、復讐してやるっ…
「先生?恐い顔なさってどうしたんですか?」
「あっ、いや、し、進路指導で…」
「まぁ、それは大変でしたわね。…お疲れのところ申し訳ないんですが、これ明日の時間割変更です。お願いします。」
「いや、すいません…!」

渡されたブリントに、軽く目を通す…其処に

体育:柔道

よーし!天は我を見離してはいなかったぁぁぁ〜!
そうかい、そうかいっ。
んー?乱取りやるかぁ!まぁ、俺も本職の体育教師じゃねぇからなっ、奥襟取るのに手が滑る事もあるわなー!取り損ねて、顔面殴っちまう事だってあるわなー!
まっ、事故だなっ!そりゃ、仕方ねーよなぁ。
…待ってろ!ロロノア。明日はてめぇのふてぶてしいその顔に、お茶目な青いマークを目一杯付けてやるからなー!

ふっ、可愛い顔になるぜぇ…
あー、楽しみだっ!




完結


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(2006.02.02)

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<管理人のつぶやき>
シャンクス、ちょっと突き抜けたとこあるけど、いいお父さんじゃないですか。父としての大きな愛と、単に娘を盗られたくないというワガママが混在していて、実に分かり易いです(褒めてます)。そしてシャンクスとベルメールさんが夫婦という設定もいいナ!
しかしなんと言っても秀逸なのはタイトルかしら(笑)。投稿部屋を父の立場のヒトが見てるとは思えませんが、もし見たならば、激しく共感するタイトルではないかと(笑)。

はじめて君としゃべった……。」「簡単な言葉」の続編で、CAOさんの4作目の投稿作品でありました。どうもありがとうございました!

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