まだまだこれから
            

ねここ 様


イーストブルー高校の文化祭は凄い。何かか凄い。

何が凄いって言うと毎年必ずハプニングが起こる。そして皆この文化祭を盛り上げようという気迫が凄い。

そして後夜祭で行われるダンス・・・あれにジンクスってのがあって、好きな奴と踊ると思いが通じ合うそうだ。ま、俺には関係ないからな。

・・・・・・・関係ないからな!


「おい。ナミを呼んでくれ」

今日が文化祭当日だ。

あ〜、自分で誘っておいてなんか嫌になってくる。なんか恥ずかしい。

「あ、ゾロ。本当に来てくれたんだ。じゃぁ――」

行こう、とでも続けようとしたのだろう。けれど俺の姿を見るなり固まってしまった。

「・・・ゾロ、ウェイター姿だ・・・」

そう。クラスの出し物が喫茶店だったので、クラスに入るなり着せられた物だ。

「これか?出し物が喫茶店なんだ。だから最初の30分くらいは出なきゃ行けないから・・・誘っといてごめんな」

「あー、そうなんだ。うちのクラスは展示物だから。・・・じゃぁゾロのクラスで待ってるよ」

「・・・どういう意味だ?」

「だからゾロがちゃんとやってるか見張っててあげる。それに側にいたら終わったときすぐ一緒に回れるでしょ?ってことで5組にレッツゴー!」

「お、おい!」

止める声も虚しく、もうナミは5組の方に向かって走っていった。


「すいません!コーヒーください」

「・・・コーヒーですね。かしこまりました。少々お待ちください」

ホントはこんなこと言いたくはないがクラスで決めたことだ。

「うわっゾロ棒読みだーいけないんだー」

「・・・てめぇなんか性格変わってないか?」

「ふふ、気のせいよv」

気のせいなのか?いや、気のせいじゃない。前回会ったときはもうちょっとなんというか・・・おしとやか?だった気がする。けど今ははつらつとしていてなんだか別人みたいだ。きっとこっちが本性なんだろう。

「はい。コーヒーお待ちっ」

「ありがとう」

取りあえず一仕事終えた・・・かな?

「おいゾロっ!てめぇ何時の間にナミさんとあんなに仲良くなったんだよ」

「いいだろ。それにお前にはもうロビンっていう女がいるだろ?」

「それとコレとは別だ!・・・まぁいいけどな」

「いいんならとやかく言うな」

さて。コイツはもう無視しよう。

いつものことだしな。

「そろそろ上がらせてもらうぜ。じゃぁな」

「お前全然働いてねぇじゃんか!どこに行く気だ!言え!」

「教えて欲しいか?・・・これからナミとデートだ」

「!!!テメェマジで言ってんのか!?そんなの俺が許さない!」

そんなサンジの声は虚しく空を過ぎっただけだった。

何故ならサンジがそう言っている間にゾロは行ってしまった。

「ちっ。・・・上手くいってんだったら、まぁいいか」


それから後夜祭まではすっげー恥ずかしかった・・・

ナミと一緒に居れたから、それはそれで嬉しかった。だが。

行く先々でクラスメイトや知ってる奴らにあって散々囃し立てられた。

それにお化け屋敷は(俺はそんなに怖くなかったが)ナミは怖かったみたいでお化け役が驚かすたび俺に抱きついてきやがった。抱きつかれるこっちの身にもなってみやがれ。

それに抱きつかれるたびにあいつの胸が当たって・・・邪な気持ちを抑えるのにすっげー苦労した。

そして、今年のハプニングは・・・。・・・今年は特に何もなかったな。

まぁ、色々あったが楽しかったからいいか。

「ゾロ。そろそろ後夜祭だけど、どうする?」

「ああ?このままここにいようぜ。見晴らしも良いし」

俺たちは今学校の屋上にいる。ここは見晴らしが良いし、それに今はナミと一緒に皆の方に行きたくはなかった。また囃し立てられるのは嫌だった。何より――

「ここならナミと2人きりだからな・・・」

「え・・・何か言った?」

「いーや。何も」

おっと。思わず声に出ちまった。聞かれなくて良かった。

「あ、後夜祭始まった・・・」

ナミがそう言ったので校庭を見てみたら、中心にあった木が赤々と燃えていた。

すでに音楽が流れていて、周りはペアになって踊り始めている。

ナミは俺の方を向いた。その顔は良いことを思いついた、と語っていた。そして言った。

「ねぇゾロ?ゾロはみんなに会いたくないから校庭に行かないのよね?」

「ん・・・まぁそうだな」

急に何言い出すんだコイツは。

「でもね私ゾロと踊りたいんだ。だから、ここで踊らない?」

「・・・お安い御用だ」

ナミは何を思ってそう言ったのだろう。

答えたとき、ふとジンクスを思い出した。

・・・・・ま、まぁ俺には関係ない・・・よな?

俺たちは踊り始めたが、それを踊りと言っていい物だったのか・・・よく分からない。

今日は楽しかったがなんだか良く解らなかった。唯一解ったのが、ナミへの思い。

今日一日一緒にいただけで、俺はナミのことを以前よりも、もっと好きになってしまった――と思う。

踊りながらナミの瞳を見てみた。琥珀色のその目は、俺を見ていて離さない。

その目を見ていたら、すべてを話したくなる・・・

「・・・ナミ。俺、お前のこと・・・」

「・・・・・・・」

ナミは俺の目を見たままなにも言わない。

「俺は・・・――」

そこで屋上の扉がバンッと、勢い良く開く音がした。開けた主は・・・

「おーいゾロー!!お前こんなとこに居たのか〜♪探したんだぞ!」

ルフィだった。他にはサンジ、ビビ、ロビンが居た。

「おいこらマリモ!何ナミさんと見つめあってたんだ!」

「ナミさ〜ん。なんで校庭に居なかったんですか!探しましたよ」

「本当・・・あなたが来なきゃつまらないじゃない・・・」

ロビンはそう言って一つため息をついた。

ドアの近くで四人(三人)はギャーギャー騒いでいる。

せっかく告白するところだったのに・・・と、ゾロが怒るのは時間の問題だった。

はぁ・・・あと、あとちょっとで言えたのに・・・

まだまだこれからだ!次こそは言う。覚悟してろよナミ!!




FIN


(2006.08.07)

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<管理人のつぶやき>
ねここさんの『気になるアイツ』『気になるアイツ2』の続編です〜。
前作でナミを文化祭デートに誘ったゾロ。さて、そのデートはどうなったか?
最後イイところで邪魔が入ったけれど、それなりに一歩前進なんじゃないでしょうか。
少しずつ近づいていく高校生カップル。くぅ〜なんかくすぐったいナ(笑)。

ねここさんの12作目の投稿作品でした!さて、次はどこまでいけるかゾロ君(笑)。

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