スクリーム

            

マッカー 様





「「「「「♪ハッピバースデートゥーユー♪」」」」」

パン パンパン!!

曲の後に鳴り響くクラッカーとやんややんやの喝采に今日の主役は御満悦です

「みんな ありがとう!!」

ここはアラバスタから程近い無人島
ぽかぽかとした日和のさわやかな初夏 今日はナミのバースデー
船上で祝うより折角近くに陸地があるのだからと趣旨を変え
ピクニック気分のパーティと相成りました

島の大きさは外周歩いて1時間ほどの小さな島
大地の半分は草原で丘の上に大木が一本
そして少し離れたところに小さな森があり
これまたその中に小さな滝があるくらいです

「んナァミさ〜ん! 本日の料理はこのサンジ全身全霊かけて作らせていただきました〜ぁ お味はどうですかぁ〜!?」
「ふがふが おうもっと肉がねえのか!」
「おめぇには訊いてねぇよ クソキャプが!」
「うん とっても美味しいわ ありがとうサンジくん!」
「お褒め頂きまして〜光栄ですぅ!! まだまだありますからね〜」
「わー サンジすごいな! 一杯作ったんだな!」

完全にハナの下を伸び切らせたコックが 船長の魔の手を牽制しながらごちそうやお菓子を魔法のようにバスケットから取り出します
大木の影にシートを引いた上のバースディは 優しいクルーたちのおかげで最高の盛り上がりを見せています


「はー 食った〜〜〜!!」

といって 最後まで食べ続けていたルフィはゴロリと横になりました

「あれだけ食えばなぁ〜さっきも飛び回ってたし」
「良く食べられるわよね‥」
「そう言ってまだ食べてるぞ!!‥」

うとうとしながらも 口だけはもしゃもしゃとデザートのすいかを食べ続ける
そんな彼を横目にサンジは空いた皿を片付け初め チョッパーとウソップは木登りを ロビンは船に本を取りに戻り ナミはゾロをボディーガードに日が暮れる前に戻ると滝を見に出かけました

ルフィに近づく小さな黒い影には誰一人気付かずに‥





「陸地で祝ってもらうのっていいわね!」
「そうだな ルフィが暴れても船が壊れなくていいしな」

滝は思ったより近く そして思った以上に美しく 一定の音で落ちる水の音が心地よくなります

「うわー すごい〜 気持ちいい〜」
「結構でかいな おい落ちるなよ」
「わかってる!」

滝つぼの一番近くの岩まで身軽に飛び移ると振り返りゾロに手招きします
しょうがねぇな などとぼやきながらもナミの後に続きます
二人はその圧倒する滝を吸い込まれるように見つめていました

「‥ありがとね まさかあんたが覚えてるなんて思ってなかったから  嬉しい驚きだったわ」

水辺に足先を少しつけると振り返りにっこり笑うナミ

「まぁな たまにはいいだろ おめでとさん」

ナミと同じ岩に腰掛けそっぽを向いたまま耳を赤くして答えるゾロ

「ありがと ゾロ」
「‥」



そのころ黒い影は不気味な変貌を遂げていました‥





「‥ナミさんたち遅いな‥」
「コックさん ワインを頂きたいのだけど?」
「はぁ〜い ロビンちゃん!」

ロビンに流し目でリクエストされる骨抜きコックさん

「お〜いサンジ〜 ここ凄い高いぞ〜ウソップはこないのかぁ?」

木のてっぺんからチョッパーの声が

「お、おおおおおれはなぁ! 高い場所に登ったら死んでしまう病が‥」

木の中間辺りではウソップのおびえた声がしてきます
そして和気藹々として和んでいる所にナミたちが戻って来ました

「暗くなる前にもうそろそろ行きましょうか」

という航海士の言葉で船へと戻ろうかとしていると

「うぅうう〜ん なんだぁ もう行くのかぁ?」

珍しくのんびりと昼寝をしていたルフィがむくりと起き上がり
それを見て降りてきたウソップが彼の異変に気づきます

「お前良く寝てたなぁ〜 ‥おいルフィなんだそりゃ 付けヒゲか?」
「なんだお前‥仮装か? ハハハ!!」
「本当だ! アハハ ルフィおまえおかしいぞ〜 泥棒みたいだ〜!!」

サンジとチョッパーもルフィの顔を見て笑いました

「うん? 何笑ってるんだ? う〜んなんかイガイガするぞ〜」

立ち上がり目を擦りながら片付けをしているクルーの元へと近づいてきます

「‥いや‥仮装なんかじゃねぇ‥」

剣豪の顔に一筋の汗

「‥!!!」

思わず目を丸くするロビン

「なんか‥その泥棒ヒゲ‥動いてない?」

ナミもなんだかイヤ〜な予感がしました

「歯も‥黒いの‥動いてる‥これって‥」

チョッパーも気づき後ざすります
否 後ざすったのはチョッパーだけではありませんでした
全員がルフィを中心に花火のように散りました

付けヒゲ‥
遠くから見れば確かにそれに見えないことも無かったでしょう

そしてあるいは近づかなければ‥





「うげっ!ぺっぺっ! なんだこりゃ 苦ぇと思ったらこりゃ‥」



「「「蟻だぁあああああああ!!!」」」





「「「「「ぎゃーーーーーーーーーーー!!!!」」」」」





「なんだよ〜 みんなどうしたんだ〜?」

唇(とその回り)に濃密な密度で蟻をはべらせている船長が
じりじりと近寄ってきます
蟻はわさわさ ぎちぎち ぞわぞわ‥アリアリアリアリ蟻男


「!! 寄らないでよ ルフィ!」
「おッ オイ!サンジが目を剥いて口から泡ふいてるゾ!!」
「えげげげげ‥!!」
「ゾロ! ちょっとなんとかしてよ! 見てよあの数〜〜〜〜!!」
「なっ なんでオレが! 蟻はつぶしたらくせぇんだよ!」
「ロビン! おまえ強いんだろ!?  ルフィの体に手を生やしてアレ払い落としてくれよ〜」
「いやよ」
「サンジー!!」


しびれをきらしたルフィがいきなり走り出しました

「鬼ごっこか!? よ〜し! 誰つかまえるかな〜」



「「「ぎょえ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」」



パニックになった彼らは蜘蛛の子を散らすように走り去ります
完全におもしろがっているルフィはどこかの青春映画のようなノリで追いかけて きました

「ハハハハハ!」
「バカ野郎! こっちに来るんじゃねぇ!!」
「待て待て〜〜!」
「待つかよ ゾロ!斬ってくれよ!!!」
「斬ったらアレが付くだろうが!」
「ゴムゴムの〜!」



「ハァ ハァ‥ チョッパー! サンジ君を置くのよ!」
「だって! そうしたらサンジが!」
「エゲゲ‥!!」
「そうやって時間を稼ぐの! 早く!! このままじゃ私たちもアレに捕まっち ゃうでしょ!」
「船医さん それが正しいと思うわ 見て彼らはもう捕まりそうよ」
「‥ごめんなサンジ!!」
「エゲ‥」  

「見ろ! ルフィ!コックが落ちてるぞ」
「ん〜?」
「そうだ! おやつがあるかもしれないぜ!!」
「オヤツ!!? サンジー!!」

一目散に目標に向かって走り出すルフィ‥

「ゴホッ でかしたぜ ナミ‥」




「ぎゃ〜〜〜〜‥」





どこか遠くで聞こえる黄色い悲鳴を耳に 今日もゴーイングメリー号の平和は守る事ができました








メデタシめでたし

 

<管理人のつぶやき>
マッカー・ザ・ワールド3でした♪別名は「サンジの悲劇」(^_^;)
ルフィの「ハハハハハ!」という爽やかな笑い声が、悪夢のように頭の中に響きます。冷静なナレーションが一層効果的です!
でも、さりげなくゾロナミシーンが挿入されてる辺り、さすがはゾロナミストさんですねv

マッカーさんの三作目の投稿作品です!マッカーさん、おもしろ怖いお話を、どうもありがとうございました!
マッカーさんのあとの二作品を読みたい方は、ここからも飛べますよ〜。
→「
今そこにある危機!
→「
The Seven Gods of Fortune

戻る