不機嫌な赤いバラ −1−
マッカー 様
イーストフィールド メリーランドシティ レストランバラティエ −ルフィ
ここがおれたちの仕事場 そしてホーム メシを食わしてくれるところ
サンジの仕事場
「おい! ルフィ! 聞いてんのか?」
こいつがサンジ 金髪 コック まゆげ 好きなもの 女
「おう!聞いてるぞ ルーレットがなんだって?」
「‥あのな‥聞いてなかっただろ?」
まるいテーブルの周りにはオレをふくめて5人の男
これがおれのチーム
「クラウンホテルの賭場だよ」
「なんで?」
「上がりが合わないってさっきから言ってるだろ‥」
「オーナーは誰だ?」
「バギーだ」
「あいつか」
「サイテー野郎」
「クソだな」
「あぁ カスだ」
しぶい顔してそれぞれ答える バギーはみんなから好かれていない 人をいっつもだますから しんようがない
「どうやら 騙し騙し 上がりをアーロンに流してるって」
焼きたてのうまいピッツアをほおばりながらチョッパーは言う
いいなあれ おれも食べたい
「もっぱらの噂だ」
アーロン おれたちとはまた別のファミリー
「しっかし バギーはオレたちを騙して何か得があんのか?」
「普通に考えたらねぇよな」
「ま それを調べてくるのが俺の仕事だ」
「何を調べてくるんだ?」
どかどかと店ん中に入り
おれのまうしろに座わる でかい男
「スモーカー‥」
「よぉ ごついのがそろって昼飯か?」
「まぁな ここのランチはうめぇからな お前こそ仕事ほっぽり出してこんなトコで油売ってていいのか〜?」
エスプレッソをたのんだスモーカーのとなりにはたしぎ
いっつもいっしょだ
「で?おめぇら 次は何しでかすつもりだ?」
「何も」
「世界平和についての講義だ」
「そうだな ラブアンドピース」
「愛が一番」
サンジとウソップとチョッパーはぴったり息が合う
「愛か‥」
大きく はまきのけむりをはき出す
「お前らにそんなもんがあるなんて思えないけどな まぁいい あまり目立つなよ」
「何だ お前そんなこといいにわざわざ来たのか?」
「忠告だ」
「お前も仲間に入るか?」
「入るか バカやろう それだけだ」
そういい残すと外へ出た
たしぎがパティにあわててお金はらってた
こいつはけいさつのくせして 本当におもしろいヤツ
時々頭にくることもあるけど 悪いやつじゃない
ミリオンダラー ホテル クラウン −サンジ
問題になった賭場へ 俺とまりもは向かっている
こういう役目は大体こいつかウソップと組む
こういう場ではビジュアル的にも俺のようなプリンスが生える
美しい花方にもお近づきになれるしな ‥
こいつがいるってのがひとつ気にくわねぇが
俺たちの組織「モンキードルフィン」は構成員756名
このイーストフィールドのホテル、運送会社、建築会社、葬儀屋、レストランに夜の商売、密輸品から賭博、高利貸しなどを支配しそれらの利益は膨大な上がりとしてルフィの懐へと入る
イーストフィールドが俺らのプライド まぁ縄張りみたいなもんだ
ここである事件事故はかならず俺らの耳に ルフィの耳に入るようになる
ルフィ自身を表に出すのは遠慮したいとこだが あの性格で何度も苦労してる
そしてここの賭場もそれらのうちの一つだ
場内は十分な入り 上流階級の方々が楽しげにゲームに興じている
そして俺たちは奥のオーナー専用の部屋へと向かう
用心棒のジョニーと与作もオレたちのファミリーだから 軽く入れるはず‥
「何だてめぇら」
ジョニーと与作がいるはずのそこには見たことないのが二人
「あぁ? おめえらこそ何だ?」
「‥バギーに伝えろ ルフィの使いが来たってな」
「入れられね〜な 帰んな おぼっちゃんたち」
「「あぁ!?」」
曲芸師どもに教育的指導を施して そのまま奥の部屋へとつきすすむ
「バギーちゃん? ちょっとお話あるんだけどよ」
ドアの向こうにいたのは
お目当てのバギーと‥その真向かいに座っていた言語を絶するほどの美女
いや‥女神だ‥
「なっ なんだサンジ! ゾロ!! てめ〜 モージとカバジをどうした!」
「そりゃこっちのセリフだ ジョニーと与作はどうしたんだ?」
ゾロが何か言っている‥あぁしかし‥オレは‥
つややかなお肌に流れるようなオレンジの髪
刺激的な赤いドレスに もはや犯罪的なそのボディ
そしてこっちの魂を抜かれるかの宝石のような瞳と
小さく開かれた味見をしてみたいその果実のような唇‥
俺は‥ 恋に おちた‥
今日のこの日ほど生きてて良かったと感謝したことはない
ルフィとビビちゃんがそういう仲だってわかった時ほど世の中を呪ったことはな かったのに‥
現金な俺‥
イーストフィールド メリーランドシティ バラティエ −ゾロ
「サンジ‥大丈夫か? 何かイッチャッテルみたいだけど」
「ほっとけ いつものことだ それよりウソップ何かわかったか?」
カジノから簀巻きにされたジョニー達を見つけ病院に向い バギー本人と金の流れが入力されてあるはずのチップにMO、金庫から何から全て漁って戻ってきた
ひとつ気になるのはあの女
あの後入れ違いざまに消えていたが
しかし‥ どこかで見覚えのある顔‥だな‥ それも最近‥どこだ?
「あぁ とんでもね〜なこりゃ アーロンに付くために上納しているってのはアリアリだまた額も大したもんだぜ〜 お前さ〜こういうのってもっと分り難いトコに隠しておけよな〜 俺が言うのも何だけど‥ パスも簡単すぎだっての‥」
「うるせー!!」
「見返りは何だ?バギー」
体を縛られ 床に転がり椅子で首の上から押さえられているヤツにルフィは問う
「ばかやろ〜 ダレが言うか」
「バギーちゃ〜ん‥!?」
サンジがバギーの上の椅子に乗り締め付ける
「うげげげ!ごほっつごほっ!」
「オレがこういうの クソ嫌いなの知ってるだろ?」
そう言いながらも茶を飲み干す
「げげげ! わっつ わかったよわかった! お前もわかるだろ〜!」
「何だ」
「プルトンだよ プルトン!」
「?」
耳慣れぬ単語が耳をつく ルフィも初めて聞くようだ
ただチョッパーだけが
「そんなわけない! プルトンなんて意味ないじゃないか!!」
「なんだチョッパー そいつは」
「薬だよ 普通の睡眠薬 それでも効かない人間だっているくらいのものさ 弱いからね
怖いのは複合されたとき 複合した物質をより顕著に長時間保たせる薬なんだけど
今はその複合方法を知る人間がいないはずだよ」
「ただ混ぜるだけではダメなのか?」
「プルトンは非常に揮発性の高い薬品だから‥ 粒子が混ざり合うまでに大体が消えてなくなるんだ‥」
「意味ないじゃんか そんなの」
「ひゃーっはっはっは お前らバカだな ところがいるんだよ 出来るやつがな !」
「うるさい!」
「待てよチョッパー どういうことだ?」
ウソップが先を促す
「アーロンがつれてきたんだ そいつはよ」
「実際もう出回ってるんじゃね〜かぁ?」
「‥麻薬と混ぜあわせるのか?」
「それだけじゃ〜ね〜な 今はおっかない薬品が山ほどあるからなぁ〜」
「クソ野郎が‥」
「金になんね〜んだよ! 実際こんなバカみてぇなファミリーも珍しいぜ〜 薬に手を出さないなんて
そんな奇麗事でこの世界は渡っちゃいけね〜よ 金を生み出すのは薬だ 薬を生み出すのは金! 黄金律なんだ」
そこまで言ってバギーの意識は途切れた
「クソ野郎が‥」
「この土地で薬を売買していたんだな‥」
ルフィはウソップがつぶやいた事を静かに聞いていた
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