不機嫌な赤いバラ  −3−

            

マッカー 様




フィッシュマンズホテル 表ターミナル 夜半 −ウソップからサンジへ


ルフィたちが中に入ってもう30分は過ぎるぞ あいつら 大丈夫なんだろうな? 俺は車を回してこいとだけ言われたけどよぉ 大体 サンジのヤツもちょっとおかしかったし やっぱ女がらみだとなぁ〜

「やれやれ」

流石トップクラスのチャリティパーティー
ご招待された客人は名だたるもんだな〜 テレビで見るようなやつらばっかじゃね〜か
あんな中にサンジとチョッパー入っていって浮いてないだろうな‥
まぁ俺たちのプライドんとこのホテルだったから良かったものの‥

‥浮いてるだろうな‥
あのマユじゃぁな‥

「こんばんは」

「あっ どうも こんばんは」

やべ〜 警察じゃね〜か‥

「ここのパーティ参加者なんですか?」

「おう そうだが〜 何かあったのか?!」

「‥だったら何故 車を預けないんですか? ほら ボーイが入り口に立っていますよ」

「いや!いいんだ! この車はオレが責任もって今預かっているからな」

「責任を持って預かっているのなら こんなところに停めないで 奥の駐車場に停めればいいじゃないですか ‥この車はあなたの車ですか? あら‥? あなたはもしかして‥」

ん? なんだ‥

「すみませんが ちょっと降りてもらえますか?」

「なんだよ〜」

そして俺は車を降りて相手の警察の顔を見て心底びびった
ダレだったかと思うか? 
あのスモーカーといつも一緒にいる女だったんだよ〜 確か‥

「お前‥たしぎ‥って」

「あなたは! 麦わらの‥!! 何してるんですか こんなところで!」

「おおおお前こそ何してるんだよ! いつから交通課になったんだ! ススッスッスス、スモーカーは一緒じゃないのか!?」

「交通課じゃないです! えっと‥」

「ウソップだ!


「そう! 麦わら一味のウソップ! これから任意の同行を求めます!」

「何でだよ〜! まだ何もしてないって言ってるだろ〜〜〜!」

「まだ‥?」

「ぐぐぐげ!! ちっちっちちがう!」

「ウソップ! 逮捕です!」

「いきなり逮捕になるな!!! ちがうっつ〜の! くそ〜(こんな至近距離じゃ 煙星も使えねぇ〜〜!)」

その時だった

「何!?」

「うわぁあああ!っとあぶねぇ!」





「何かロビーの入り口から光ったと思ったら すげ〜音がして 熱い風が吹いて ‥ あとは覚えてねぇな‥」

ウソップはそう言って話終えた
俺たちはあれから一度アジトに戻る派目になった
いきなりの爆発騒ぎでな
ウソップはその余波を食らって車の下直きになっていやがって かなりの大怪我をする事になっちまった
まぁ あの美しいおじょうさんの体をかばってのことだったから役得だな
しっかし全身包帯だらけなんてこりゃミイラだ‥

「サンジたちのほうはどうだったんだ?」

ルフィが俺たちのほうに向き直る

「俺たちか?」

「確か‥サンジが知ってる女がいる〜とか駆け出してってさぁ」

ウソップの余った包帯を巻きながら答える

「それはいいんだ チョッパー‥ 余計な事言うな!」

「爆発どうのは置いておいて 客の質も上級のパーティだったぜ
アーロンもいたな ただ ヤツが一緒に話していた男 聞いたらびっくりするぜ 」

「ダレだ?」

「クロコダイル」

「へぇ あいつがグランドフィールドから出てくるなんてな」

「ヤツは素敵なおね〜さまと一緒だったぜ クールビューティってのだ
初めは表で話していたが 後から奥の部屋にはいっちまった 取引くせぇなありゃ 
ほんで‥ そう 入ったと思ったらあの騒ぎだ 一体ありゃなんだったんだ?」

オレは二本目に点ける

「ま 幸いにして爆発はパーティ会場とは違う正面ロビー玄関みたいだったけどな ルフィ お前ロビー奥のバーでスモーカーと一緒だったんだろ?」

「まぁな」

「お前こそ何か見なかったのかよ?」

「しらねえ ただケムリンは何か知ってたみたいだけどな たしぎを外回りに出していたのも それがあったからみたいだしよ 爆発が起こったあとの手際が良すぎだ」

「なんだ なんだ 警察は知ってて俺たちは知らないってのはどうなんだよ〜」

半泣きになるのはウソップ

わめく連中は置いといて

「おい ナミさんはどうした?」

「‥いた」

「いただと? だったらなんでここにいらっしゃらないんだ?」

折角楽しみにしてたのによ! 偉そうに腕組んでんじゃね〜っつの

「‥無理なんだと」

「はぁ? なんだそりゃ? 本当は迷子になっちまって  たどり着けなかったんじゃね〜のか?」

「違う! ぐるマユ! ‥無理なんだよ 今はよ」

「またわけのわからんことを‥理由はなんだよ!理由は!」

「知らん!」

「この‥」

「あぁ〜もう 止めてよ〜 サンジもゾロも〜〜〜」

「お前らが暴れると‥」

「チビナス! おとなしくしねぇか!」

「くそじじい‥」

ったくたまに差し入れにきたかと思ったら絶妙なタイミングで入ってきやがる‥

「なんだ おめぇらそのザマは 出入りにでも行ってきたのか?」

そう言いながら焼き菓子を出す

「じじいこそ もう深夜だぜ‥一体こんな夜中まで店で何してんだよ」

「ここはオレの店だ 何してようが勝手だろうが それと おい 表に火の玉小僧がきてるぞ」

「エースか!」

エースはルフィの兄貴らしい 今シャンクスの元にはいるが 白ヒゲおやじんとこの者だ
何でも黒ひげってヤツがグランドフィールドのレッドヘアシティに入り込んだ 
あそこはシャンクスのプライドだから
まぁ 友好的ってわけでもないがシャンクスも白ひげは知ってる仲で それ以来ヤツはいついている
シャンクスから伝言預かってくる時もあるし バラティエが気に入ったらしくメシ食べにだけ来るときもある
わざわざイーストフィールドまで
いきなり寝る時も‥初めのうちはこっちもびっくりしたが 単に寝汚いだけ(寝汚いってこういうのに使うか‥?)ってのが分かった時は 流石ルフィの兄貴ってもんだったぜ‥
何だ今日はやけにいい格好してるじゃね〜か‥

「おう!おまえら!」

「何しに来たんだ エース!」

エースは一般客用の席に座り呑気にディナーなんぞ食っていやがる‥
クソ‥あれはナミさんがいらっしゃった時の為に下ごしらえしていたのに‥
クソジジイ‥出しやがったな‥

「お前ら大変だったな!」

「何だもう耳に入れてたのか‥ まぁな〜 おかげでウソップがミイラになっちまってるがな シシシ!」

「そうか そりゃぁ大変だったな〜 すまん!」

いきなり体を直角に折り曲げるエース

‥????

「? なんでエースが謝るんだよ?」

いぶかしげに聞くルフィ
他のやつらも不思議そうにしながら椅子に座りなおす
「いやぁ〜 実はあの爆発‥オレにも一応責任あるからよぉ お前らが怪我したって聞いて一応謝りにだな!」

何?

「なんでおまえがかかわってるんだよ!」

チョッパーが目を白黒しやがってる‥

「黒ヒゲがな! 今夜のチャリティに来るってので勇んで来たはいいが ダレかがタレ込みやがってみたいでよ やたらおまわりは張り付いてるわ いきなり肩当たったってケンカ吹っかけてくるやつはいるわ そしたらその野郎ハナクソ飛ばしやがってよぉ 汚ね〜だろぉ?!頭きたから火拳でちょっと ほんのちょっとの火拳だぞ マッチの火くらいだ! ‥で焼き尽くそうと思ったら いきなり爆発するしよ〜!ありゃぁびびった!」

‥‥

「「「「おまえかぁああああ!!!」」」」

「いやぁ〜〜 すまん!」

‥はは‥

「お前なぁ! あの爆発でこっちの計画はオジャンになっちまったんだぞ!そういう理由でパーティに出席するなら ウチを通せよな! あそこはオレ達のプライドなんだからな‥!」

鼻息あらく怒りまくるチョッパーなのに いまいち迫力不足だな

「あぁ 悪かった! だけど ハナクソだぜハナクソ! やたら飛ぶしよ〜 しかもまさかあんなもんが爆発するとはおもわね〜だろ? まっ オレも黒ヒゲ取り逃がしちまったし ここは痛みわけだな!」

「「「「ダレがだ!!!」」」」

‥だから今夜に限ってこいつスーツなんて着てたのか‥
がっくりと肩を落とす俺たちはエースにうらみがましい視線を送る

「何だよ その目は〜 わかったわかった それじゃぁ いいもん代わりにやるからよ これで恨みっこなしだ!」

そう言って何やらポケットから取り出したのは 一枚の古ぼけた写真
もう今はあまり見ない周りの枠が白くなっているタイプの写真だ

「お前らこの子に用があるんだってな? っとナミって名だっけか」

その写真にはまぎれもなくナミさんの‥しかも幼いころの 
一緒に写っているのはナミさんのお母様か‥?
それとナミさんと同じくらいのリトルレディ

すげ〜幸せそうに笑ってるじゃねーか
あぁ ナミさんこんな頃からお可愛らしい‥
食い入るように見つめる俺‥

「これ ナミか!」

「そうだ と言っても今から相当前の写真だけどな オレのとっておきだったんだが‥ お前らにやるよ!」

「なんでテメェがこんなもん持ってるんだ?」

不信がるゾロ‥まぁ確かにそうだな‥

「それは言えねぇけど ま お前らにとってはこれ以上ないモノになるぜ?
ほんじゃ帰るわ まだシャンクスんとこに帰ってね〜し」

「今から行くのか?」

「まぁな お前らの仕事の邪魔しちまったし 黒ヒゲのこともあるしな ほんじゃ お前らがんばれよ」

じいさん ご馳走さん といってエースは出て行った 

残ったのはこの一枚の写真のみ





イーストフィールド ローグシティ 駅前 午前 −ゾロ


眠ぃ‥
あ〜 世界が白くみえるぜ‥
結局夕べは一睡も出来なかったな‥

写真に写っていた母親らしい身元やらなにやら分かったらしく コックは何故か息ごんでルフィと出て行った
ウソップはあの怪我でチョッパーが面倒見ながらバラティエで留守番

そしてオレは‥
何故かあのベンチに座っていたりする‥

寝れねぇってのは‥
今までなかったな‥ 

「あ〜〜〜 くそ 眠ぃ」

オレは顔をこすり もう一度大きくあくびをする
何してんだ‥ 夕べの今日だ いるわけないか‥
ふと大時計に顔を見やると時刻は昼前を差している

「なんだ‥もう昼‥か‥」

‥帰って寝るか
あいつらが何かつかんで戻るまで まだ時間はあるだろう
自分の家に戻ってひと寝入りでもしてからまたバラティエに行くか
大体こんな真昼間っからここにいるってのも居心地がどうも‥な
周りはじいさんたちやガキどもで全く平和だ

「帰るか‥」

「帰るの?」

「何よ あんた もう帰るの?」

立ち上がろうとしていきなり声をかけられ振り返った視線の先には

「‥おまえ‥」

「お前 じゃないわ ナミっていうのよ」


オレの眠れねぇ原因がいた






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