不機嫌な赤いバラ  −6−

            

マッカー 様




イーストフィールド アーロンパーク内ココヤシ −ゾロ


「あのアホ‥」

オレたちがサンジの言う場所に来て見たものは 最後の工場が轟音と共に崩れゆく瞬間だった
車を降り その現場へと向かうと崩れた瓦礫の下にいるルフィをサンジが引っ張り上げている
辺りには奴の靴跡付きのゴロツキどもがヘバッっていた それもかなりの数で

「よぉ お前ら 丁度いいとこに来たな」

ルフィはポンポンとズボンをはたくと何の緊張感も無くオレらに声をかける

「全く何してるんだよ‥」

呆れるウソップ

「おう こいつら ここで薬つくってやがったんだ だからツブした」

悪びれることもなく言うルフィ

「あのなぁ ツブした〜 ってこんな事しちまったら〜」

「関係ねぇ ここは俺たちの土地だ ここで薬を作るのも捌くのもダメだ!」

ウソップの言葉に強い目で言い返すルフィ

「あんたたち‥なんて事‥」

現状を目の当たりにしたナミは立ちすくむ

「こんな‥こんなこと勝手にして‥なんなのよ!! ここに住む人の気持ちなんて‥何も知らないくせに‥!」

あまりの怒りに顔色をなくすナミ 思わず声をかけようとしたその時

「いいんだよ ナミ」

「ノジコ! ちょっと‥一体どうしたのその傷‥!!」

瓦礫の向こうから何人かの人影が出てきた みなかなり負傷しているのは見て取れる
「あんたがクロコダイルってヤツのところに行くって話してからこういう事を決意していたんだ これはこいつらだけの仕業じゃないんだ あたしたちも‥やるときはやるんだよ?」

「何してるのよ! こんなドロだらけになって‥どうしてよ‥」

ナミはノジコと呼ばれた女の元に駆け寄っていく
どうやらこの土地はナミにとって知らない土地ではなく 
この女もナミになんらかの関係がある人物だというのは見てとれた
さしずめ あの写真に一緒に写っていた娘だろうな

「おい ウソップ クソ剣士こっちだ チョッパーは連中の手当てを頼むぜ」

「おう!まかせロ!!」

オレたちは瓦礫を椅子にして座るルフィを中心に集まった
そして見上げて奴は言う

「あのな これからアーロンとこに‥アレだ‥‥ えっとなんだったっけサンジ 」

「落とし前な」

「あぁ そうオトシマエつけに行くぞ いいな」

「どちらにしろ これで終わりじゃね〜からな 先手を打つってわけか」

「まっマジかよ! 相手は魚人なんだぞ」

「ありゃクソ本気だぜ  遅かれ早かれプライドが重なりあってるんだ ここで白黒はっきりさせねぇとな 」

「ハァ〜 しょうがねぇなぁ〜!」

ルフィの決心は固かった
実際アーロンとはコックの言う通り いつかぶつかるのはわかっていた

ここでの暗黙の了解 薬の手出しは厳禁
それを破ったアーロンにルフィがしかけるのは至極自然だ

「オレたちがここから離れている間 残党がくるかもしれねぇ 腕がたつのをよこす 心配すんな」

ナミに振り返りルフィは言う

「あんた‥本気なの?」

「あぁ 本気だ お前らの事悪かった これはおれの責任だこれからはもうこんなことさせねぇからな それにこれからの生活も考えておく」

「あんたたちの言うことなんか信じられないわ」

「そうだな」

ルフィはナミの言う事にもあっけらかんと言い放つ

「今アーロンはどこにいるんだ?」

「‥多分まだ‥フィッシュマンズホテルよ‥」

「そうか」

俺たちは立ち上がったルフィと一緒に車に向かう
オレとウソップ サンジは自分の車でルフィを乗せた

「チョッパー 後たのむな」

俺たちはローグタウンのフィッシュマンズホテルへと向かった





イーストフィールド サウスロード上 −ゾロ


車を走らせながら どうもさっきのナミの態度が‥
あいつはまだ何か隠している
確信はねぇが あのさらりと場所を教えた時の顔が妙にひっかかる

そうだ あの顔をしていやがった‥


風が止まる

「おい! ゾロお前何してるんだ? サンジたちと離れちまうじゃね〜か」

包帯だらけの顔でわめきだす
そして前を走っていた車は遠ざかる

「ウソップ あそこに戻るぞ」

「あぁ? 何言ってるんだ? ローグタウンに行くんじゃねーのか?」

「ローグタウンにサメはいねぇ」

「だってナミがいるって言ったじゃねーか‥」

進行方向を逆へと変える

「あいつは信じねぇって言った オレ達には関わってほしくないって事だろ?」

「そんなバカな事あるかよ これはあの地区だけの問題じゃないんだ ルフィも言ってただろ? 俺たちの責任だ」

「素直にそう思えるタイプだとは思えねぇ とにかくもう一度確かめる」

オレは嫌な予感がした
焦っていた



ウソップのナビのおかげでなんとか先ほどの場所に着くことができた

「アレ? ゾロお前らどうしたんだ?ルフィたちと一緒に行ったんじゃなかったのか?」

村人の怪我の手当てをしていたチョッパーが不思議そうに聞いてきた

「おい ナミはどこにいる?」

あいつの姿が見えない

「あ‥うん なんかさっき用があるってどこか出かけたけど‥?」

「どこに行った?」

「えっと‥ どこだったけかな? アッチ」

チョッパーがオレ達が来た方角とは逆の方向を指差す

「ココヤシホテルだな」

手当てを受けていた村人の一人が答える

「ココヤシホテル?」

「あぁ アーロンのオフィスがある」

「あぁぁあ〜 なんてことだぁ〜〜〜」

一台の車が後ろに止まる なんだ妙な声しやがって

「あ〜 お前ら〜 アーロンさんに歯向かったなぁ〜!」

車から降りてきたのはタコだった‥

「何だてめぇは‥」

「ゾロ!あいつ魚人だぜ〜」

ウソップがぼやきながらオレの背後にまわる

「おれ?おれか? おれは八チャン おまえだな工場つぶしやがったのは〜
アーロンさんカンカンに怒ってるぞ〜 お前ら本当にバカだなぁ」

「バカはてめーだ」

ヤツは魚人の特徴であるでかい体に手が6本‥本当にタコだな‥
チョッパーが雰囲気を感じ取り村人を移動させる

「ナミはこれからかなり酷いことになるぞ〜」

タコが刃物を構えた 御丁寧に6本

「‥なんでナミがそこで出てくるんだ‥?」

鞘からこいつらを出す

「だっておれと行き違いになったからな〜  アーロンさんに詫び入れにいったんだろー?」

「アーロンはローグタウンにいるんじゃないのか‥?」

「あ〜? 何言っているんだお前〜?」

「今‥ナミはココヤシホテルにいるアーロンのトコに行ったんだな‥?」

「そうだ〜な うんそうだ〜」

「‥そこをどけ」

「そ〜れは無理だ お前行ったら騒ぎおこすだろ 麦わらんとこのだろ 仲間の仇だろ」

「‥どけと言った」

時間がねぇわけだ あのバカが
となれば勝負は長引かせられねぇ
口に咥える

「虎‥狩り!!!」

「うひゃぁ〜」

タコはするりと逃げ出し瓦礫の山へと登る

「テメ!逃げんな! 降りてこい!」

「やーだよ」

あのタコ‥いい加減にしろよ‥
タコは瓦礫の上で飛んだり跳ねたりしている またそれに腹が立つ‥

「煙星!!」

瞬間タコが煙に包まれた

「おぉお!? なんだ〜?」

反対側にいるウソップが何やら先を指差している

「ゾロ!こっちだ!」

チョッパーがオレの手を引く

「おい まてよ あのタコ片付けねーと‥」

「いいんだ! お前はココヤシホテルに行くんだ!」

先ほどのオレ達の話を聞いていたのか俺の手をひっぱって行く
タコはまだ煙の向こうこのままほっとくわけには‥

「ゾロさん 後はおまかせ下せぇ」

ルフィがよこすと言っていた奴が チョッパーの向かう先に佇んでいた

「‥ギン」

「サンジさんに言われてきました ここはオレに任せて先に行ってくだせぇ」

少々顔色が悪いのが気にはなるが 確かに腕は立つ男だ

「すまん」

オレは再び車に乗り込むとウソップも助手席に座った

「お前‥一人では行けないだろ?」

ココヤシホテルまで車でならすぐのはずなのにそれが異常に長く感じられた





イーストフィールド サウスロード上 −サンジ


さっきからクソまりもの車が見えねぇ なんだ? 迷ったのか?

「おい ルフィ‥」

「おれ達はこのままローグタウンに行くぞ」

後部座席のルフィは顔も変えずにそう言う
なんだ‥こいつ先刻から気づいていたのか


そうか


「あいつらだけで大丈夫かよ‥?」


「平気だろ」

フィッシュマンズホテルにはサメはいねぇ けど俺達はそこに用がある







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